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【セリスタで己を戒める】スタッツの扱い方について

こんにちは!TORAです🐯

今回は自分への戒め、自己満足の記事なのでご了承ください。こういった記事ははじめての試みです。

●量なのか質なのか

YouTubeチャンネル「セリエAのスタッツが楽しく読めるようになっちゃいます!」。略してセリスタ。

4/4(日)公開の動画は「残念ストライカー」と称して、フォワードの得点能力にフォーカスを当てた内容でした。

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動画内でASローマ速報の如月さんは、得点能力だけを切り取った評価の場合、

「良いフォワードは得点数がなによりも重要。量が幅を効かせる。」

と仰っています。

得点能力だけを切り取った評価でも、指標となるエレメントは様々存在しますが、それでもここは結果の世界。
"得点数"という量に敵うものはないだろう、ということです。

30回シュートを試みて、0得点。
10回シュートを試みて、ごっつぁんゴールで1得点。

点取り屋というポイント、その一点においては後者が評価されるでしょう。
厳しい話かもですが、的を射ています。

一方でこんなことも発しています。

「じゃあ得点が少ないフォワードは残念なのか?そうではない。他のプレーで貢献してるかもしれない、出場時間が少ないのかもしれない。考慮しなければいけない要素が多々ある。」

得点数の上位は量で評価できますが、下位はできない。
だから、スタッツとスタッツを掛け合わせて質を測れば、ひとつの指標になるのでは?と仮説を立てています。

それが動画の肝になった分析。

■goals per shot
→PKをのぞく得点÷シュート数
→1シュートあたり、どれだけ得点しているのか

になります。

スタッツは量である程度、推断できるものと、
質を見ないと判断・考察できないものがある。

本記事はセリスタの動画を経て改めて再認識しましたよ、注意していこう、というおはなし。

●量をレーダーチャートにしてみた

「じゃあ、どのスタッツが量でどのスタッツが質なの?」

正直なところ僕では説明できません。いや、サクッと説明できる人なんて存在するのか?

食材がまな板の上に乗れば、様々な料理になるように、同じスタッツでも見方や解釈によって性質が変わるものが多いので、「これはこうだよ!それはそう!」とイコールで説明できるものではないのかもしれません。

しかし、取り扱い注意!は多少、言及できます。

あくまで個人的にですが、扱いが難しいと思っているのは攻撃・ボール保持系のスタッツよりも、守備・ボール非保持系のスタッツと解釈しています。

よく見かけませんか?

「◯◯選手のタックル成功数はリーグトップ!だから個人守備性能がすごい!」

みたいな評価。

これ実は危険です。

”リーグトップ”と”すごい!”を紐付けてる点

「え、リーグトップなんだよ?すごいでしょ!リーグ全体で1位!!」

と思われた方。

そう。その通りで決して誤りではないんですよ。
ただし、正確な評価でもない。

どういうことか?
データを用いて、インテルのメンバーたちを例に確認していきます。

■量のレーダーチャート
ⅰ)インテル最終ラインの3選手(バストーニ、デ・フライ、シュクリニアル)のスタッツを8項目のレーダーチャートで表しました。
尚、スタッツは29節時点のものです。

ⅱ)評価軸は「セリエAの全CBと比べて8項目のスタッツが多いか、少ないか」。全選手ではなく、全CBポジションの選手と比べて、です。

ⅲ)スタッツはボール保持系が4種、非保持系が4種。

・ボール保持
パス総回数、前進パス成功数、運ぶドリブル数、チャンス関与数
・ボール非保持
タックル勝利数、インターセプト数、ブロック回数(シュートやパスのブロック)、クリア回数

※尚、項目名は当noteの便宜上の表現です。実際のスタッツ名とは異なります。

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データはFBrefの新機能を活用して算出。
スタッツの傾向が似ている選手はその新機能のうちのひとつです。超興味深かったので10選手紹介されてる内、3選手をピックアップして掲載しています。

平均値は薄い黄色(すべて3)です。

5に進むにつれ、平均よりも回数が多い。

1に進むにつれ、平均よりも回数が低い。

ということです。

インテルは29節現在、チームの失点数が26とユヴェントスの25に次ぐ少なさ。データで挙げた3人はその鉄壁の守備を支える不動の3選手。

ですが、

彼らの非保持系のスタッツで平均値を上回っている項目は、なんとシュクリニアルの”タックル勝利数4”しか存在しません。
デ・フライなんかはかなり見栄えの悪いチャートですね。

彼は昨季のセリエA最優秀DFなんですが、今季は絶不調なんでしょうか?

彼らはディフェンダーとして、ボール非保持のスキルは平均よりも劣るのでしょうか?

もちろんそんなことはありませんし、「そんなことない理由」もわざわざ要りませんよね。

このようなスタッツになる原因は主に2点。

ⅰ)そもそも最終ラインがタックルやインターセプトを試みる機会が少ない。

ⅱ)インテルは組織(選手配置)で守るので個人スタッツが反映しづらい。

要はチーム由来の側面が大きいということ。

リーグ全体の比較は取り扱い注意

チームの戦い方や志向によって大きく左右されるんです。

●質のデータはとっても大変

ではなぜボール非保持系のスタッツは難しいのか。

至極単純で精度が重要視されてるスタッツが多いからです。

先ほど例に挙げたタックルで説明します。
仮に3回ボール奪取しても、その他10回奪取ミスをして相手をフリーにさせてしまい、チームの失点に発端となってしまった!なんてことだったら、評価としてはむしろマイナス。

俗に言う「FWはどんなにミスしても点を決めれば賞賛されるが、守備陣はどんなに良いプレーをしてもひとつのミスで批判される」ってやつですね。

とはいえ、これはもちろん保持系にも当てはまります。
分かりやすいのはパス成功率でしょうか。

例えば、とあるチームにMFが5人いて、とある選手の成功率が悪目立ちしてるとします。

「この選手はパスが下手なんだ!」

当然そうではありません。

その選手はMFの中でどのポジションでしょうか。どんなタスクでしょうか。

それがチームを超えてリーグ全体で比較した場合、今のままの分析や解釈で本当に大丈夫でしょうか。

本質に合った分析ができているか?​

残念ながら至ってない記事が世にはたくさんあります。
否定的な表現になってしまいましたが、他ならぬ僕も知ってか知らずかやっちゃってます笑
そして、それを弁解したくもある。

量のみで推断できるスタッツは実はそんなに多くなくて、大半は質が求められるでしょう。

質は複数のスタッツを比べてみたり、Goals per Shotのようにスタッツを掛け合わて仮説を立てての考察が必要になると考えていますが、これがデータのめちゃくちゃ面白い点である一方、難度が高いちょっと腰が引ける点でもあるんですよね。

あと、時間がかかるし、文章も長くなる!笑

意外とこれが致命的かも。

計画から始まり、スタッツ収集やデータづくりって本当に時間が溶けるし、それを説明するとなるとどうしても文量が不可欠になる(僕の場合はとくに)。

てことで、”やむを得ず”という側面も多少はあるかと思います。

僕の過去の事例を出すと、セリエA全チームの考察記事内のフィオレンティーナの項で思いっきり、「○○選手はリーグトップ!」って表現しています。

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フィオレンティーナの項より抜粋。

あらららら笑

ただ、これは表現不足でして、取り上げた意図や考えはちゃんとあるんです

本項でフィオレンティーナの課題を、

ⅰ)チームのクロスの回数がリーグトップ。だが、そのクロスがPA内に通った回数は非常に少なく歩留まりが悪い。

ⅱ)ボール奪回(タックル+インターセプトの回数)がリーグワースト。理由はともかくクリーンにボールを奪えない。

と挙げていて、それに対し

「歩留まりが非常に悪いフィオレンティーナのクロスで最もPA内に通してるのはビラーギだよ!その値はなんとリーグトップだよ!」

「チームとしてのボール奪回は厳しいけど、ミレンコヴィッチは少なくてもドリブル突破阻止率はリーグトップだよ!率だから質も見込めるよ!」

と、実はそれぞれに紐付けているつもりです。

ただ、これを全チーム分、事細かに執筆すると本題が薄まっちゃうので、サラリと表現しているんですよ、お、お分かりいただけますか!?
…なーんて、言い訳させてください笑

しかし、そんなのは出力側の都合。

受け手側はすべてを鵜呑みしてしまわないよう、スタッツの記事をご覧になられる際は情報の精査に十分お気をつけください。

●チーム内なら一定の指標にはなる

尚、同じチーム内ならある程度、量だけで見ても一定の指標になると思います。

せっかく作成したので先ほどのデータで見てみましょう。

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例えば、運ぶドリブル。

バストーニが5の値。
回数が全CBの中でもトップクラスに多く、それに伴ってか、チャンスへの関与も多いですね。回数のみならず、一定のリターンも得られていそう。

個人的に、これは自身のイメージと合致します。

もちろん、タスクの側面やチームの設計も考慮しなければいけませんが、逆を言えばそれを評価されてるからこそのタスクや設計なので、バストーニがチームの中で持ち運びのスキルに長けているとは言えそうです。

同様にデ・フライのインターセプト回数やクリア回数にも同じことが言えそう。

ちなみに彼のインターセプトやクリアの回数は昨季はもっと多い値でした。

今季、この値を減らしたのは彼が衰えたとかではなく、デ・フライがそのプレーに至る前に相手の攻撃をストップできていることを意味すると推断しています。

同じチームなら一定の指標になり得る、と唱えましたが複数スタッツとの比較や組み合わせ。そこから派生する考察は必要そうですね。

やはり、量のみで推断できるスタッツは少ない。

いかがでしたでしょうか。

繰り返しですが、この記事はリマインドの意を込めて自分用に執筆しています。

が、もしご覧頂いた方にも響いて、受け手側の注意喚起に繋がって頂けたら、この記事にとってそれ以上の喜びはありません。

最後になりましたが、万が一、この記事をご覧いただいて、「スタッツに興味あって、何かやってみたかったけど怖くなった…」という方がいらっしゃったら心からお詫び申し上げます。それは僕の本意ではないです。

僕自身、まだまだまだまだ未熟なのでこんなことを言うのはおこがましいですが、スタッツってアクションしてみないと頭に入りづらいと思っています。ただ、ボーッと目で追っているだけだといまいち咀嚼できないというか。

なので、ぜひトライして欲しい!

スタッツをせかせか追うよりも、試合をしっかり見ることの方が当然大事ですが、視野が広がったり、深みが出る付加価値になると僕は信じています。

最後までご覧頂きましてありがとうございました!


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