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【読書】自転しながら公転する 山本文緒

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図書館では自分なら買わないだろうという本を借りるようにしている。
しかしあまりにも面白くないと時間の無駄なので、アマゾンの書評を見て借りている。
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この本、全く知らない作者だが、評価が異様に高かったので借りてみたのだが…。
思わずこの本を読み続けるために会社に行きたくない…と思えるほど面白かった。その面白さがトリックがあるとかミステリーとかではなく、淡々と優柔不断のアラサー女子の生活を描いているのだが、もう引き込まれてしまい、次が気になる。これぞ小説の醍醐味であろう。こんな本に出会うから読書はやめせれない。
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【梗概】
どこにでもいるようなふわふわしたアラサーの女の子。昔から服が好きで自分の好きなブランドのショップでバイトから正社員、店長まで上り詰めるのだが、親の介護問題で店舗をやめ田舎に帰り、近くのアウトレットでパートとして働き出すのだが…。
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その主人公のダメダメぶり、身勝手が「こりゃあいくら何でも…」と途中で怒りさえこみあげてくるようなシーンが何度もあり,そのたびに何となく解決していき,なんだかなあ~と思っていて,最後に決定的なハピーエンドかと思いきや…。とにかく読み続けなければならない本です。
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【ネタバレ】
森ガールと呼ばれるような服を好むアラサーの女の子。その服を着るのにはある意味があったのだが。ショップの店長まで経験したが親の介護問題という名目で退職し実家に帰る。その実家近くのアウトレットでパートとして働きだし,近くの回転すしの板前さんと付き合い始める。そこまで至るのにもいろいろグダグダあるのだが。その板前さんは店が閉店したとの事で「無職だ~」とあっけらかんとしているが,中卒との事で,主人公はこの先本当にやっていけるのだろうか…と不安になる。
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結局この二人の生き方というかやり取りに,友人や会社関係の人たち,両方の親などが色々関わって来て,途中でセクハラとかも出てきて,いったいどうなるのだ~とひやひやしながら読み続けるのだが,最後は落ち着くところに落ち着いてよかったなぁ…と思っていたら…。
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何でこんな展開になるのだとイライラしながらまた読み始める。そして本当に最後の最後で…。
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この本の面白い所が,プロローグとエピローグが,主人公ではなく主人公の娘の語りの内容になっている事。もうひとつ,主人公が自分の境遇を二人の女友達(同級生)に相談したところ,二人が全く正反対の答えを導き出したところ。その一人の答えが,もう心にズーンと来る重たい答えで主人公は鬱になるのでは…と心配したくらい。
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とにかく,面白いので読んでみて下さい。

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