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「空き家」と火災保険~実家が空き家になる前に~

平成30年住宅・土地統計調査(総務省統計局)によると「居住世帯のない住宅」のうち,空き家は846万戸、全住宅に占める空き家の割合は13.55%と平成25年の前回調査より増え過去最高を記録しているようです。

人が住んでいない「空き家」は増加傾向にあり、空き家の増加に伴って空き家トラブルも増えています。自然災害などが理由で空き家が倒壊し第三者にケガを負わせたりしたような場合には空き家の持ち主は賠償責任を負う事になります。空き家は放火のリスクが高いなど空き家のリスクがあります。

空き家こそ火災保険の備えが必要!でも・・・

空き家であれば火を使わないから火災保険は必要ない、という考えは誤りです。空き家は人が住んでいる住宅よりも管理が徹底されていないことが多く、放火の被害に遭いやすいです。

放火のリスク

チラシがポストから溢れているなど、管理が行き届いていないような空き家では、放火犯に狙われやすいというリスクがあります。一般の住宅より放火の被害に遭いやすいという側面があり、火災保険で備えておく必要性が高いです。

電気系統や隣家からの火災リスク

空き家でも漏電などにより火災が発生してしまう事があります。自分の家が火元で隣家へ延焼した場合、失火責任法により重大な過失がなければ損害賠償責任は負いませんが、隣家に見舞金の支払を希望する場合などを考えると数百万円の費用がかかってしまう場合もあります。

隣家からの延焼(もらい火)による火災の心配もあります。こちらも失火責任法の適用となるため人的被害がなかったとしても後始末費用などを自分で負担する必要があります。

自然災害による損害リスク

空き家と言えども自然災害で住宅に損害を受けるリスクを考えておく必要があります。人が住んでいない分、メンテナンスが行き届いておらず、損害が大きくなる可能性があります。

賠償責任を負うリスク

空き家では建物の老朽化による倒壊や飛散で隣家や通行人などに損害を与えてしまうなど、所有者が第三者に損害賠償責任を負ってしまうリスクがあります。

空き家の持ち主は損害賠償リスクが一番心配なところかもしれません。空き家への放火による火災や電気系統や隣家からの火災、自然災害による損害はどれも隣家や通行人など他人にも損害を与えてしまうリスクが高いのが空き家問題でもあります。

空き家の火災保険契約は引受が難しい

上記のようなリスクを考えると空き家も火災保険で備えておく必要があります。

しかし、空き家の火災保険加入は保険会社の引受けが難しく断られるケースが多いのが現状です。

売りたいが買ってくれる人がいない、更地にしたいが固定資産税が高くなるためそのままにしている倒壊しそうな空き家(上記の④)などは、ほぼ引受けてくれる保険会社がないと考えた方が良いかもしれません。

人が住んでいないけれども住宅の中に家具などが残っており、電気系統が通っているような空き家は、まだ、火災保険に契約できる可能性があるようです。

しかしながら、「空き家」といってもいろいろな状態があります。それぞれ個別の相談となり、保険会社の引受け状況次第なので空き家の火災保険加入について悩んでいる人は保険会社に相談してみましょう。保険会社によって対応は異なるので、1社だけでなく複数社に相談してみましょう。

空き家の火災保険契約をそのままにしておくのは危険!

親が亡くなったりなどで空き家となってしまった実家・・・
誰かが住んでいた時に契約していた火災保険契約が空き家となってからもそのまま、というような場合があります。

空き家の火災保険は契約し辛いと言うから、契約期間も残っているしそのままにしている。
と、いうのは危険です。
火災保険にも「告知義務」や「通知義務」があります。火災保険の補償の対象となっている住宅が空き家になったらその旨を保険会社に連絡しなければいけません。

通知を怠ってたために、空き家が放火の被害にあうなどで保険事故が起こっても通知義務違反で保険金を受け取ることができなくなってしまいます。

「空き家」になる前に考えておくこと

世帯数よりも住宅が多く余る時代。
実家の相続などで居住しない住宅を所有することになる人も増えてきます。

「親が住んでいた実家を相続したが、活用できずに困っている」
「親が住んでいた実家の相続問題」

親が亡くなり、空き家となった住宅を引継ぐことになったために、処分について困っているという人は多いようです。また、相続財産が実家しかなくどう分けたらよいか困っているというケースなどもあります。

空き家を相続すればその時点で相続税と固定資産税が発生します。固定資産税は毎年発生しますし、空き家のままの放置が不安なため更地にすると更地にする費用に加え、固定資産税の優遇措置がなくなるため税金がぐんと高くなります。

処分することが難しい遠方の実家の空き家を所有することになると管理に行く手間や交通費なども大変です。空き家の状態が続けば空き家の劣化も進んでいき、ますます火災保険契約が難しい状態となってしまします。
いつまでも実家の空き家が悩みの種となってしまわないように実家は空き家になってしまう前に兄弟や親戚と方向性を相談しておくことが大切です。また、住宅の価値や処分についてなど事前に確認しておく事も大切です。



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