Another010 Spontaneous dance
この州に入ってからすでに数時間がたった。
車窓は相変わらず、地平線の彼方まで続く荒野を映している。
雑誌を開いては夢見ていたメトロポリスとは、あまりにもかけ離れた景色だ。
「ベルリン、ロンドン、セレニティ、私達のフロンティア」
イーサは聞き慣れたフレーズを控えめに口ずさんでいる。
満員とは行かないまでも、まずまずの乗車率である。
二十代も半ばに差し掛かった彼女は、それなりの常識も忘れずに持ってきていた。
「あぁ退屈!」
前の席の少女がつまらなくて仕方がないという様子ではっきり