タイのオンラインメディアの放送差し止め命令

私はタイのニュースや番組をいくつかのメディアで毎日聞いたり見たりしていますが、その中の一つにVoice TVというメディアがあります。Voice TVの番組はFacebookのページから見ていて、基本的に今の政府に対して批判的な立場を取っているメディアです。

そして、今日(10月20日)、Voice TVの全てのオンラインプラットフォームを閉鎖する命令を裁判所が出したというニュースがありました(以下がそのニュース)。オンラインプラットフォームというのはWeb上で展開されるサービスのことで、Voice TVのウェブサイトやFacebookページなどを閉鎖する命令ということです。なお、Voice TV以外にもさらに4つのメディアが閉鎖の調査対象となっていますが、現時点で閉鎖命令が出ているのはVoice TVのみです。

とここまで書いて、少し表現を訂正します。というのは、タイのメディアでもまだ情報が錯綜している状態で、お昼ごろのニュースでは、「オンラインプラットフォームの閉鎖命令」という情報でしたが、現時点で私が確認した限りでは、Voice TVの「放送を差し止める命令を裁判所が出した」という表現になっています。なお、国の治安、国民の平穏または良俗に影響を与える内容の番組を放送したというのが上述の命令の理由だそうです。

私は昨日も書いたように日本の政治にも大して興味があるわけではないので、当然タイの政治にも大して興味はないのですが、さすがに現在のタイの政治状況には注目しています。仕事が忙しくてゆっくり情報を入手する時間もないのですが、Facebookなどを見ていても普段は政治のことなど書かないような人(タイ人)も今の状況について自分の意見を書くようになっており、かなり差し迫った状況になっているように感じます。感覚としては近いうちに何か大きな動きがあるような気がします。(根拠はありません。あくまで直感です)

なお、現時点ではVoice TVのウェブサイトもFacebookページも閉じておらず、Voice TV自身もこの命令に対して争うことを表明しています。いずれにしても、オンラインメディアとは言え、民主主義国家においてメディアの放送差し止めを命じるというのはかなりの状況ですし、逆に言えば、現在のタイの状況は民主主義の体をなしていないとも言えるかもしれません。

<追記>(2020年10月22日)
20日書いたVoice TVに対する放送差し止め命令ですが、本件の訴えを起こしたデジタル経済・社会省(Ministry of Digital Economy and Society)の手続きに抜けがあったとして、裁判所がVoice TVに対する放送差し止め命令を取り消しました。

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