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音楽と凡人

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初めて人前で歌った自分の曲は"凡人"という歌だった。天才だと思って声を枯らしながら歌った。バンドを始めたのは十代の終わりで、バンドを諦めきれない今は二十代の終わりである。 
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#音楽と凡人

音楽と凡人#15 "くだまき本舗"

 ギタリストとして加入していたバンドを脱退した私はある男に連絡をとっていた。当時の私は二…

音楽と凡人#16 "京都mojo"

 バンドのボーカルとして初めてライブをしたのは京都mojoで、流れてしまった解散ライブの予定…

音楽と凡人#17 "本屋との出会い"

 本との出会いは中学3年の頃であったが、本屋との出会いはバンドで自分の曲を作り始めた頃で…

音楽と凡人#18 "大学中退"

 大学を2年通い、1年休学したのち本来なら4回生になっている年の春に私は中退した。強い覚…

音楽と凡人#19 "肺"

 子供の頃から健康だった。病気や病院は自分に関係のあるものではなかった。  GOZORO’Pの2…

音楽と凡人#20 "入院"

 病院で診断された後、タクシーでそのまま京都第二赤十字病院へと移動した。MRIをとって診察…

音楽と凡人#21 "これからのことだけ考える"

 手術台の上で天井を見上げながら、たくさんの人が忙しく私の体に様々な機器をとりつけていくのを目の端で眺めていた。準備が整いしばらくすると、私の血管の中に麻酔薬が流し込まれていくのをしっかりと感じた。薬は一瞬で私の中を満たし、手術台のベッドがゆるりと沈み込んでそのまま暖かいお湯の中に全てが溶けていくように私は意識を失った。  0秒後にはベッドの上であった。間違って水槽の中に落とした機械のように私はすぐ陸に引き上げられた。体はひどく重たく、身動きがとれないほど全身が打ちつけられ