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「奥さん、昭和が出てますよ」

 ひと昔は、券売機の前で天井近くに掲げられている地図を見ながら、行き先までの駅名を探して切符を購入したものだが、今はなんとスムーズに電車に乗ることができるようになったものか。
人通りの多い駅前で、慣れない駅名を探しだすのに時間がかかり、焦りと人さまの邪魔、自分への苛立ちを抱えていたのは、遠い昔の話になった。

それが今や、チャージされた電子カード1枚で、いとも容易く改札を抜けることができる。運賃を確認しないせいで、後からの請求に唸ることもあるけれど。

 最近わたしは、スマホにモバイルSuicaを導入した。
以前からICOCAカードやクレジットカードに付帯しているPiTaPaを使ってはいたけれど、そのカードさえ取り出すのが億劫になり、とうとうモバイルSuicaに手を出した。

 モバイルSuicaは、いちいちスマホを開かなくてもスマホでタッチするだけなので、さらに便利だ。チャージも移動中に出来てしまうので、なんのストレスもない。
スマホ片手に改札を通るたび、
(わたしって、なんて!スマートでかっこいいんだろう)と得意顔であった。

 そんなある日、娘と出かけ、いつものようにスマートに改札を通ると娘からこう言われた。
「ママ、タッチはスマホ立てなくていいんだよ」

 …わたしのスマホは、タッチパネルに直角に当てられている…

なんとなく、先っちょから光線が出ている気がしていたから…
そう!ガラケー時代の赤外線通信の名残りである。

 昭和が滲み出ている。
『スマートにカッコよく』は、なかなかステージが高かったな。
昭和女子は、指の先、いやいや、スマホの先まで気をつけなくてはならない。


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