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#20 ビジョンを取り巻く相関関係について

個人が未来へのビジョン描くことで、その人らしい行動や目標を持てると良いよね!なんて話が社内でもよくされる。
確かにそのとおりで、ワクワクするようなビジョンを持っていたら、さぞ毎日が楽しいのではないかと思う。
それなら早速、ビジョンってやつを考えたらいいじゃん。みないなことを言って、考えようとするけど。中々そう簡単にビジョンが思い浮かぶわけでもない。
これは困った... 楽しいはずのビジョンがなんだか重い... そもそもビジョンってどう考えたら良いのか?
今回は、ビジョンと楽しく向き合うことを前提に、ビジョンを取り巻く9つの要素を考えてみたというお話。

9つの登場人物

ビジョンについてググってみると、理想像、未来像、展望、見通し、なんて単語が出てくるけど、まずは、将来的にどうしても成し遂げたいことから、絶対にやらないことまで、段階ごとに8つのモチベーション分けてみる。

執着 →成し遂げたい
願望 →やりたい
関心 →興味が湧く
把握→どうでも良い
未開→まだ知らない
倦怠 →きらい
嫌悪 →やりたくない
拒絶 →やらない

これらが今回の登場人物となる要素たちだ。ここに加えて未来への微かな希望として “奇跡” が加わり、全9つを集めてみた。あなたとの関係性は以下のとおり。

あなた
├執着 →【もはや運命の人】
├願望 →【近くて遠くなる想い人】
├関心 →【ビタミンをくれる友人】
├把握 →【その他大勢の中の他人】
├未開 →【その他大勢の中の他人】
├倦怠 →【昔ながらの宿敵】
├嫌悪 →【三軒先の邪魔な犬】
├拒絶 →【滴か味方か?】
└奇跡 →【最後の相談役】

さて、この9つとどのように付き合っていけば良いのか?
まずは付き合っても疲れるだけな3つから。

倦怠:昔ながらの宿敵

大体の人は倦怠と戦っている。
漫画家の古谷実さんの著書である “グリーンヒル” の中で、主人公が「人生最大の敵はめんどくさいである」と気づきを得たように、僕たちは “めんどくさい” と、どの様に向き合うかで殆どの体力を消費している。

仕事をするよりも、お金がない方が倦怠なので、仕方がないから仕事をしているなんて人もいるかもしれない。

ところが100年ぐらい前までは、どれだけ倦怠を解消できるかが大きな利益を生み出す材料になっていた。そのお陰もあり自動車ができたりなど、世の中の常識を塗り替えるほどの発明があった。ところが現在では、何をするにも便利な世の中となり、倦怠と戦っているだけではゲームチェンジが生まれない。ただの面倒な敵となってしまった…

把握/未開:その他大勢に逃避する

知ってはいるけどどうでも良いこと、そもそも知らないこと、それが “把握と未開”。誰かからの紹介や出会いがあれば、大きく関心に変わることもあるかもしれない。しかし、こちらも待っているほど暇じゃない。

何かに悩んだときに、ついつい求めて自分探しの旅に出たり、出会いを探してしまうのだけど、把握にしても未開にしても、現代の情報過多な世の中では劇的な出会いは生まれにくく、人生を変えてくれる存在は少ない。残念だ…

ここから先の人物が、あなたを突き動かすきっかけをつくる。

関心:ビタミンをくれる友人

関心の幅が広いと言うのは良いことだと思う。
能動的な行動のきっかけにもなるし、 “めんどくさい” に対抗する要素の一つでもある。

僕らの様に、デザイナーになろうと思ったきっかけも、関心の一つに違いなく、多少のオーバーワークでもやってやろうという気持ちにもさせてくれる。(筆者はデザイナーです)

何に興味を持っているのか?どんなことにチャレンジしてきたのか?など、どれだけの関心で自分は駆動しているのかを言語化して知っておくことは良い。

一方で、関心はなくなることもあるので、手札にいつの間にか関心が消えていることがある。不意にそれに気が付くと、把握と未開を求める旅に出ることがある… さようなら…

嫌悪:三軒先の邪魔な犬

もはや、倦怠のようにめんどくさいどころではない。

駅までは真っ直ぐ行くだけなのに、三軒先の家の犬が毎回吠えるので、わざわざ遠回りすることがある。ところが関心と同じく、嫌悪もまた動機を生み出す根源になっている。

そこだけは避けて通りたいことや、これをやったら “かっこ悪い”、“嫌われそう” など、「自分はこうありたい」と思う像を脅かし兼ねないのが嫌悪である。
人は嫌悪を避けるために能動的になったりもする。自分は関心がごとが少ない、と感じた時には嫌悪のことを思い浮かべて向き合ってみるのも良い。

願望:近くて遠くなる想い人

よくも悪くも、優しい人が多いので、自己犠牲をしてしまいせっかくの願望を先送りにする人が多い。

人の幸せが自分の幸せになることもあるけど、ヒッチハイクする人を拾って、目的地とは真逆に行く必要はない。自分の目的とベクトルが合うのなら相乗りし、合わないのであれば受け入れない意思がいる。

また、自信がもてずにアプローチできずに先送りにすることがある。それではいつになったらアプローチするのか?

自転車に乗りたい、といった願望がある時、乗った経験がないから自信が持てないのか?自信を持てるまで待って挑戦するのか?これではパラドックスに陥って一生乗ることができない。
みんな、勇気を出して自信を持ったつもりで挑戦した結果、乗れる様になった。自信は前借りして後で戻れば儲けものなのだ。願望を寄せ付けるには強い意思がいる。

拒絶:敵か味方か?

これだけは関わりたくないと、キッパリ言えることは(非道徳的なことを抜かせば)あるか、ないか、だと思う。

絶対にやらないこととして、決めていることなんて殆どなく、大体のことは取り組む様に善処している。ところが、もし執着する何かを守らなければならない時に、拒絶の選択を行うことがある。言い換えれば「やるべきこと」のために「やらないこと」を決めること。拒絶とは敵の様に見えて、最後は味方になる展開に。

しかし、やらないことを決めることは、蓋をしてしまうことでもあるので、後で取り出すタイミングが難しくなる。気が付けは手遅れになることも。

執着:運命の執着

後天的に執着に至るほど真っ直ぐなれるモチベーションは、本当に希少だと思う。

執着の多くは、幼少期〜小学生くらいまでの間で形成される価値観によって生まれる。また、そこで何に対して執着するのか?それが強いのか弱いのか?が決まると言っても過言ではない。野望とか野心につながる核の部分である。

後から執着に出会うのは難しい。願望を強く意識して、それをどの様に達成させるかを明確にすることで、執着に変えていくしかない。

自分を信じて手段を吟味した時、いつの間にかそばにいる。そんなものかもしれない。

奇跡:最後の相談役

ドラマが終盤に近づくと、そんなまさか… と思う展開が待っている。

以前、Insight(インサイト)と言う本を読んだ時、こんな手法があったか、と思ったものが「ミラクルクエッション」と言うもの。

これは、自分の行動に迷いが出た時や、本当にやりたいことはなんだったのか?など、突如として虚無と対峙した時の助けとなる。

やり方は、入眠時にベットの中で「あした奇跡が起きて」と言った感じで “もし” を想像をしてみる。自分も含めて、周囲の人や物事が全てうまくいく状態が起きたとしたらどうだろうか?

もし、自分に(またはあの人に)こんな能力があったらどうなるか? SF以外の想像の範囲であれば、意外と叶わないほどのことではない。それを探し出すことが「ミラクルクエッション」の役割。

しかし、奇跡は何度も起きるものではないので、これに頼りすぎるとただの夢みがちな人になってしまうので注意。

まとめ

今回はビジョンを設計していく上で、たくさんのモチベーションを材料にすることで組み立てていけるのでは?と思い書いてみた。しかし、日々たくさんの人からビジョンの相談を受けていると、どうしても作ることが難しい人もいる。

将来やりたいことがないの?みたいなコミュニケーションになるときもあり、それでも本当に思い浮かばなくて、自分にガッカリしたり、焦ったりもすると思うけど、それも良いと思う。

自分の中のたくさんのモチベーションの中の、それぞれどの様に付き合っていけば良いか?

たとえピカピカなビジョンがなかったとしても、自分らしい向き合い方さえすれば、それはきっと良い人生になると思う。そう願いたい。

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