精霊馬
地元にはキュウリで馬を作ったりする文化はなかったと思うのだ。お盆の風景としてよく語られる「精霊馬」。そういうのがあるんだな、というのは知っていたけど、子どものころ見た記憶がない。見たら絶対覚えていると思うもの。「キュウリで馬を……!?」ってなるはずだし。
聞くところによると、キュウリの馬(精霊馬)はご先祖さまが「早く来る」ために乗るもので、ナスの牛(精霊牛)はご先祖さまが「ゆっくり帰る」ために乗るものらしい。
でも、ゆっくり帰るのってダルくないだろうか。東京から大阪に仕事で行って、「帰りはこだまを取りました」って言われたら君はどう思うのか。速い乗りものにしたほうが現地に長くいれるし、家に早くつけるし、いいことしかない。帰りも馬に乗せたあげたらどうだろう。
というか、馬や牛に1人で乗せるということは、ご先祖さまが馬や牛をコントロールしないといけない。言うことを聞かない馬や牛もいるだろう。ゼルダの伝説のリンクだって暴れ馬をホゥホゥってあやすくらいである。旅先からの帰りなんて「寝てたら家に着く」のが最高なのに、ずっと牛のご機嫌をうかがうのは大変だ。これはキュウリで新幹線を作るのが最適解だろうか。
いや、そもそもなぜ乗りものに乗るのか。乗りものに「早い」「遅い」があるということは、あの世にも移動時間の概念があるということだ。物理的な肉体を離れ、なお時間に縛られるなんてつらい。「エイッ」って念じたらワープするぐらいの世であってほしい。それともゴボウでどこでもドアを作るべきか。
だったら大根でガリバートンネルを作ったり、ジャガイモでムード盛り上げ楽団とか作ったりするのも楽しそう。ちっちゃくなったご先祖さまがご機嫌でやってくる。
それはそれでいいか。
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