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アート思考のインターンプログラムを実施しました!

この記事は昨年IJで実施したアート思考インターンプログラムのレポートを加筆・編集したものです。

大学でインテリアデザインを専攻するインターンの安藤さんが当社で企画やリサーチを行ってくれました。2週間という短い期間でしたが、&donutsが入居する湘南オフィスの照明を企画しながら、「アート思考」の概念に関して社内インタビューなどを通じて考えを整理してもらったりと、当社内にアートの感覚を吹き込んでもらったと思います!

インターンの締めくくりとして、アート思考に関する概念整理をレポートにまとめてもらいました。代表やクリエイティブディレクターへのインタビュー、学生として普段感じていることなどが詰まっていますので是非ご覧ください!

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価値のある文脈を紡ぎだす。そのための思考法とは

国籍が違えば、話す言葉や身に纏う文化が違う。性別や年齢が異なれば生活スタイルや考え方が変わる。

例えば普段僕らが何気なく使っている駅でも、海外の人が使うとなれば、表記を英語にしたりピクトグラムにしたりしなければならないし、目が不自由な人のために点字ブロックをつけなければいけない。様々な人々が相互的に行き交う現代の社会において、それぞれが抱えている問題、状況もまちまちである。

本来、こういった問題を解決しビジネスに変えるメソッドといえば、マーケティングやデザイン思考だったと思う。問題の本質的な部分が複雑化するにつれ、今までのメソッドでは解決しきれない状況が出てきている中で、本質を見つけ、それが本当に価値のあるものなのか判断するための心得としてアート思考の考え方が必要となっているのではないか。

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マーケティングとデザイン思考の意義

では、今までのメソッドはもう使えないのか?答えはNOだ。今日ではインターネットが発達し、大量の情報がインタラクティブに影響しあっている。その中で情報を理解・分析し、異なる価値観を持った人々のだれに情報を届けるか定めるために、マーケティングというフレームワークは必要不可欠なものであり続けている。

またデザイン思考とは、多様な人々がチームとして価値を作っていく際に、コミュニケーションを円滑に運び、価値を大きく拡張させていくためのフレームワークである。異なる考え方、文化を身に纏った人々が共に新たな価値を創出していこうと考える場合、それぞれが専門の言語、異なる言語を使って会話をしようと試みる。そうすると、話の熱や本質の部分が伝わりにくい。

せっかくそれぞれが突出したスキルを持っていたとしても、うまく歯車が噛み合わず機能しない。この歯車をかみ合わせるための共通の言語としてデザイン思考は必要なものとなっている。世界の共通言語として英語があるように、チームにおいての共通言語としてデザイン思考が存在しているのである。

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新たな手法がもとめられている

ここまで下記の重要性について考えてきたが、これだけでは足りないのだろうか。
・最適な価値伝達を実現するためのマーケティング
・多様性のあるチームが新たな価値を創出するためのデザイン思考

いままでであれば消費者が求めているもの、不便だと思っている点を発見、問題点とし、それにどうやって答えていくかを考え、改善策を提供していくことが価値提供とされてきた。しかし、生活が便利になるにつれて、改善策的価値が消費し尽くされ、消費者の目が肥えてきている。

また、どのような価値を提供すべきかの判断もいいねの数に左右され、一つ一つのものやサービスの良し悪しが多数決のように決められてしまっており、消費者任せの発見方法では社会を豊かにするような新しい価値を持つ文脈は、生まれにくくなっている。自分たちで価値のある文脈を見つけ出し定義するために、アート思考が必要となっているのである。

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価値ある文脈を見つけ出し定義するアーティストやキュレーターのアート思考

さて、価値を見つけ出すためにはどうしたら良いのだろうか。
そうしたプロセスを行なっている人々の中にアーティストやアートのキュレーターがいる。

彼らは日々、感度を高く持ち、様々なものを見ている。感度の高い人とは、顕微鏡みたいな視点を持っていたり、望遠鏡みたいな視点を持っていたり、赤外線みたいな視点を持っていたり、様々な次元で物事を捉えて、それをできる限り解像度の高い形で言語化できる人のことをいう。

アーティストやキュレーターはこうした目を持ち、一見関係のないように思える背景となる点と点をつなぎ合わせ、新しい文脈を作り上げることによってアートとしての価値を創出している。例えば、キュレーターが「この作品は価値が出る!!」といったことが判断できるのは、そのアートの背景を知り、深みを知り(見た目だけではない領域)、常人が作ることのできない物であることがわかっているからである。

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そして、良いものも、悪いものも、様々なものを感度よく見るという積み重ねを多く行なっているからこそ、直感的にそのアートの良さ、何がすごいのかということがわかるのである。

こうした日々の蓄積により得られる感度の質というものは、ビジネスの分野でも活用できる。様々なものを感度よくインプットし、好奇心の点を多く蓄えておくことで、 人とは違った文脈(垣根を越えた点と点を繋げた線)を見つけ出し価値を提供することができる。そしてビジネスの事例でも多くの成功例、失敗例、 様々な考え方を蓄えておくことで感覚的にこれは成功する、しないが判断できるようになったりする。価値を見つけ出し定義するためには、アーティストやキュレーターのように日々感度を高くもち、 好奇心の点を多く作っていく心得を身につけることが必要なのである。

アート思考とは、独自の価値を持つ文脈を作り出す「ひらめき」を産むための心得とも言える。

現代において価値基準とは、いいねの数に左右され、一つ一つのものやサービスの良し悪しが、多数決のように決められてしまっている。そんななか、自分たちで価値を持つ文脈を見つけ、定義づけすることができるアート思考の考え方は、一人一人の幸せを、自分たち自身で考えていく上で大切なものになるのではないだろうか。

おわりに:アートにふれることの意味

ひらめきを産む。知識と知識をつなぎあわせる。そのために日々、好奇心をもて!!
と言われてもそんな簡単にできるものではないと思うし、まず何を言っているんだとなる。なのでそういった感覚を体験してもらうとか、そういったひらめき的感覚を養うのにアートをみることがかなりいいトレーニングであり体験であると思う。

先日、塩田千春展「魂がふるえる」を見に行ったが、正直ぱっと見ただけではそれが何を意味するのか結局のところわからなかったりする。でも、よく観察し、表面上に現れていない作者の背景であったり、使われている技法であったり、そういった点と点がつながりあい作者が作った文脈を読み取ることに成功すると、そのアートが、意味不明なものから意味を持った面白いものに急に変化する瞬間がある。

この変化する瞬間がまさにひらめきの瞬間であり、この経験を積み重ねることによって知識をつなぎあわせることに慣れてくるのだと思う。直感的にわかるということも同じことで、頭の中で感覚的に知識と知識がつなぎ合わされ、それにより瞬間的に良し悪しが判断されているのではないかと思う。

こうした知識と知識をつなぎあわせる感覚を養っておけば、ビジネスにおいても異なった知識同士をつなぎあわせ、新たな価値や面白さを見つけていくことができてくるのではないかと僕は思う。

世間でもアートに触れたほうがいいと言われているが、まさにこういった感覚を養いなさいということを言っているのかもしれない。

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