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「書店や出版物は、文化の自由と多様性を表し、それらに影響を及ぼす。」

最近、週末に台湾のテレビドキュメンタリーを観るのにハマっています。よく観ているのは、公共電視(PTS)の「 誰來晚餐」と「 獨立特派員」。最近は台湾での放送と同時間にYou Tubeでも観ることができるんですよ。(余談ですが、誰來晚餐の「中の人」は、視聴者とのやり取りも活発で面白く、どこか親近感さえ感じでしまう、センスの良さ。思わずファンになっちゃいそうな、やり手SNS運営者だと密かに尊敬しています。笑)

さて、昨日の「獨立特派員」では、「独立書店」と呼ばれる個人経営の書店が、大手資本の書店・ネットサービスとの激しい競争の中で、生き残りと存在意義のための取り組んでいる様々な取り組みや挑戦が紹介されていました。また、「書店」の存在や価値について、とても考えさせられる、いい内容でした。

台湾では、新型コロナの影響で二年連続ブックフェアが中止(今年はオンラインでの開催)になってしまい、出版業界や書店業界も大きな影響を受けています。先日は、蔡英文總統がフェイスブックでハッシュタグキャンペーンを呼びかけこんなニュースも出ていましたね。そんな中、台湾のいわゆるNHKやKBS的存在である「公共電視(PTS)」でも、出版業界や書店業界についての特集が組まれたようです。

「独立書店」という空間、その存在

台湾には、全国あちこちに「独立書店」と呼ばれる個人経営の本屋さんがあります。台北や高雄、台中などの都市だけでなく、いわゆる「田舎町」や「離島」にも個性豊かな独立書店があります。その数は、300以上とも言われています。

独立書店は、本当に個性が豊かで書店ごとに色や雰囲気、性格、扱っているテーマや書籍など、本当に全てが多様です。また、そこでは、暮らしから政治や環境、ジェンダーなど、様々な社会問題に関するトークショーやワークショップ、展示やドキュメンタリー映画上映会など多様なイベントが開催されます。

私自身、大学生の頃、原発・反核運動や「台湾・沖縄・済州 平和の島ピースキャンプ」等色んなイベントで場所を借してもらったり、学習会やトークショーなどのイベントに参加させてもらいました。そこでは、年齢や職業に関わらず本当に色んな人と出会えました。きっと大学だけでは出会えなかった人々であり、学びや思考に対する多くの刺激とエネルギーをもらった場所でもあります。私はそんな経験から、台湾の独立書店は「本を読み、本を購入する空間」を超えて、「人と人が’言葉’や’知’を交わし、つながる場」であると思っています。

気が付かないうちに、失くしてしまわないように…

近年、日本や韓国でも注目されている台湾のダイナミックで肯定的な社会的変化の背景には、言論や報道の自由、それらを勝ち取ってきた活発な市民運動など、様々な要素があると思います。私は、よくそれら変化やその要素に関した質問を受けるのですが…それらのエネルギーを作り出す/支えるものは何かと考えたとき、それぞれの個性と主張が溢れている台湾各地の「独立書店」の存在は、少なからずそれらのエネルギーを作り出したり、支える役割を担っているようにも感じます。

そんな中、映像の中で出てきたこの言葉がとても印象深かったです。

【不管是出版品或書店,都承載著文化的自由性與多樣性,一旦被價格跟銷售壟斷時,文化的自由與多元也會被破壞。】
「出版物であれ書店であれ、それらは文化の自由と多様性を示す。しかしひと度、価格と売上に独占されると、文化の自由と多様性は破壊される。」

台湾、韓国、日本…場所がどこであれ、ネットサービスや大手書店はとても便利です。割引やポイント制度も多様です。しかし、その便利さやちょっとした金銭的なお得さと引き換えに「大切なもの」を失くしてしまう可能性も無きにしもあらずだよなと、改めてはっとさせられた映像リポートでした。

私自身、独立書店で本を買うこともあるけど、ネットサービスや大手書店も利用しています。このあたりは、いつも経済的な理由や時間の問題など、時には自分の中の色んな矛盾との闘いなのですが、「~~のものは、使わないぞ」とかそういうことではなく、「急がないときは街の独立書店で買う。」とか…生き方として「消費」や「選択」の仕方をもっと考えていきたいところです。

今、少なくとも私が地理的/文化的/言語的に暮らしている場所(日本、韓国、台湾)では、出版物や文化は多種多様であり、当たり前のようにそれらを楽しんだり、自由に手に取ることができます。しかし、それが当たり前でなかった過去があるということ、当たり前でなくなってきているかもしれないということ、当たり前は永遠に当たり前ではない、ということを改めてふと思ったのでした。

気が付かないうちに、文化の自由や多様性が失くなってしまわないように、奪われてしまわないように…。

ーーー学びであり、気づきを残しておこうと、久しぶりにnoteに書きました。

📺 冒頭で紹介した映像の前篇も一緒に紹介します。(通常は、一話完結だけど、この回だけは何故か同じテーマで二話ある…。)

📔韓国にも似たようなな存在として、「독립서점(독립책방,동네책방)」などがあります。(こちらについても紹介したいのですが、脱線してしまうので、こちらはまた今度。)あぁ…、それにしても早く台湾に行きたい~。


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