実家にいい思い出がない。
虚無が鎮座してるリビングに
そこにはいつだって正解なんてなかった。

惰性と怠惰の渦に呑まれる時間が
僕を苦しめた。

いくら手を伸ばそうとも這い上がることが出来ないのを知った。
目の前の現実に爪を突き立てなければ、
いつだって沈黙はやまないのだろう。

誰だって鋭い爪を持って生まれてくる。
だが、それを鋭利なままに生きてく人が少数だ。
気づかずに削りとられてしまっている。
環境、親、他人、どうでもいいものに身を削られながら生き長らえている。

おまえの爪はなんだ

綺麗な明るい爪 汚く黒い爪
何を見て何を壊してきたんだ?

形あるものは崩れていく。
それを崩すではなく壊すことができるのなら

生まれてから続くこの沈黙を
終わらせることができるだろう