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医療従事者のストレスマネジメント

「医療従事者が陥るコロナ関連ストレスはどのようなものが考えられ、その解決策は何がありますか?」というご質問を医療関係者からいただきました。

医療従事者といってもどのような現場におられるかで違いますが、
一番のストレスは「院内での感染を起こしてはいけない」
という重大な責任を負われていることではないかと思います。

スタッフ、患者やその家族、業者のだれがウィルスを持ち込むかわからない、たとえ感染者がほとんどいない地域でも、現場ではいつも細心の注意をはらい、気を抜けないでおられるのではないかと思います。

しかも、この状態が何か月続くのか、何年続くのか、誰にもわかりません。
常に緊張状態でいると体も心も疲弊してきます。
医療従事者は、人のお世話は上手ですが、自分の面倒をみることが後回しになりがちです。自分が余力を残して仕事をしていることが一番みんなのためになることです。ご自身のことを大事にしていただきたいと思います。

■オン/オフの切り替えをしましょう

ストレスマネジメントとして大事なことは、緊張のオンとオフの切り替えをすることです。短時間でも緊張から解放される時を持つことは、長期戦において特に必要なことです。
たとえば、
・仕事の合間の休憩時間はたとえ数分でもお茶やコーヒーなどの味をゆったり味わう
・食事の間だけは仕事を忘れて味わう
・一日が無事で終わったことにほっとして、体をゆるめてから眠りにつく
・家族や信頼できる人との対面での会話の時間はリラックスする
など、日々の生活の中で、感染リスクの少ない、安全な空間と時間を意識的にもち、細切れにでもでオン/オフを切り替えましょう。

■今ここに意識を向ける”マインドフルネス”を

運動やウォーキングなどで体を動かしたり、
“マインドフルネス”の方法で、体の感覚に意識を向けたり、瞑想をしたりすることで疲労から回復し、ストレスへの耐性もできます。

オフの楽しみとして、ゲーム、SNS、映画、テレビ鑑賞の時間をもつ人もいるかと思います。
それらは”一時的に目の前の現実から距離をとれる”という効果はありますが、次のような逆効果があるのでお勧めしません。
・ディスプレイからのデジタルの刺激が脳を疲弊させます。
・無意識に緊張状態の記憶の引き金になる情報に触れてしまう可能性があります。(気づけばコロナの情報ばかり見ていたなんてことも。)
・あっという間に時間が過ぎて、”こんなことに貴重な時間を使ってしまった”と後悔や罪悪感が生じてさらに疲弊します。
・ディスプレイからくるブルーライトは睡眠のリズムを狂わせ、睡眠の質を低下させます。
ストレスマネジメントのためには良質な睡眠が一番大事ですので、
夜遅い時間は、”デジタル機器”への接触を控えることをお勧めします。

■メディアの影響で疲れないために

一時期、国内外のコロナ最前線の緊迫した医療現場の映像が繰り返し報道されていました。
どんどん患者が運び込まれて並べられている様子
医療物資が十分ではなく自身も感染リスクの不安を抱えて患者の対応にあたっている現場の映像
医療スタッフがどれだけたいへんな状況で働いているかを訴える姿

医療の現場を知り尽くしている医療関係者が
こういった感情が揺さぶられる映像を繰り返し見ていると
まるで自分がそこにいるかのように追体験をしたり、たいへんだなと共感しすぎて、代理トラウマを負ってしまうこともしばしばあります。
感情は、映像からの影響を受けやすいので、映像を見っぱなしになることは避けましょう。メディアや情報を取り入れる時も時間をくぎって、意識的に距離をとって客観的にみることが必要です。

コロナの医療最前線の緊迫した現場と比べると、ご自身の目の前の医療現場がそれほどの緊迫感がない場合は、楽をしているようで申し訳ないと思ったり、自分が何も貢献できていないかのような無力感に陥ったりして、落ち着かなくなることもあります。(今は、どの医療現場でも日常を奪われ、たいへんな思いをしているにもかかわらず、人は自分よりたいへんな人と比べてしまいがちです。)
※同じような現象が東日本大震災後の被災地から離れた地域の人たちの中に起こり、楽しむことや贅沢をすることの自粛が起こりましたね。

目の前の患者さんたちが自分を頼ってきている、その人の健康のために尽くすことが一番の社会貢献であるということを思い出して、今、ここの現実にフォーカスしてください。


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