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自分がおいしいと思うものを提供すること

先日、大学時代の同級生が来京、久しぶりに会うことができました。利き酒師の資格を取りに来ていて、無事に合格したとのこと。彼はビジネスとして日本酒がメインの酒屋もやっているので、仕事として利き酒師の資格をとったのだと思いきや、自分の嗅覚、味覚が利き酒師や他の方々と違っているのか、あるいは同じように感じられているのかといったことを確認するのが一番の目的だったといっていました。仕事で日々日本酒に触れあっていても、そのようにふと不安になることもあるのだと思いました。

彼と別れてから、下北沢のワインバーで、よくお世話になっているフレンチのシェフが偶然隣の席にいらっしゃいました。他の下北沢のお店でも、GWはすごい人だったと聞いていたので、「GWはすごい忙しかったのではないですか?」と聞いたところ、「GWの3,4,5の三日間は家族サービスで休業だったんですよ」と。お店としてはかきいれ時なのに、子供がお休みのときに家族と一緒に過ごすという選択はなかなかできないことではないでしょうか?そのシェフもフロアマネジャーの方も、僕と同様に小学生の子供がいます。お店のことももちろん大事だけど、家族との時間を大切にすることが一番と言われていたのが、僕と一緒な感覚だったので本当にうれしくなりました。

そのシェフは家庭菜園というには大きすぎる土地でいろいろな野菜を作っているそうです。そこで子供と野菜の世話をしたり、そこでBBQしたりしたそうです。一年に一度はフランスに行き、コロナ渦では国内のいろいろな地域に食材やワインを探しに行って、伺うといつも新しいワインや新しい料理を用意してくれています。家庭菜園でもいろいろな野菜を作っているようで、それを自分の料理に使って、日々新しい試みをしているとのことでした。

GWに自分の店のグランドオープンしてから、お客様の反応が良かったシャンパーニュやワイン、料理を振り返って分析し、今後どのように新しい試みをしていこうかと日々考えていました。ちょうどいい機会に恵まれたので、そのシェフに「どのように新しい料理やワインを開発して、どのように提供していくのがシェフの理想とするところなのでしょうか?」と尋ねてみました。そのシェフはまったく躊躇することなく「自分が本当においしいと思ったワインや料理を出し続けていくにつきるかな」といわれました。

ワイン王国 2022年5月号の記事で、鮨通を魅了する熱々のしゃりで出す大トロについて、すし 佐たけの佐竹さんが次のようなことを言われていました。熱々のシャリがあわないお客様もいるが、それはそれで仕方のないこととして受け止めて、それよりも自分の鮨を気に入っていただいたお客様にどうしたらもっと好きになってもらえるかを考えることが大事。

NHKの朝ドラ、ちむどんどんで、主人公ののぶこがイタリアンレストランのテストで沖縄そばを出すことを一瞬迷ったあとで、「自分がおいしいと思うものを出す」と決めたシーンがありました。

「自分が本当においしいと思えるものを提供する」というすごく大事な軸を、偶然にも最近であったいくつかのことから改めて気づかせていただきました。同級生の利き酒師のように自分をみつめて、自分を信じることにいつも戻れるようにしておきたいなと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!



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