UXDコンセプトシート

UXデザインコンセプトマップを作ってみた。

久しぶりの投稿になってしまいました、UXteamの蓮見です。

今年度チームが始動し、ありがたいことに社内でたくさんの業務に関わってきた中で得た気づきなどここに書いて発信したいことは山ほどあるのに、全然書けていない...。

記事を書くのはちょこちょこっと隙間時間を使っていくらでもできるはずなのに、人間はできない&やらない理由を探す才能に長けているとはよく言ったもので、何かやろうと思っても”忙しいし大変だし”と自分を納得させる言い訳ばかり並べた結果がこれです...反省。


さてさて、本題です。昨年度実施したUXコミュニティ(社内の勉強会)で取り上げた「UXデザインコンセプトマップの回」の報告を社内向けのブログで公開していたのですが、「社外に公開したら?」というコメントをもらっていたので、一部サービス名などの情報は伏せてこちらにも転載してみようかなとふと思い立ったが吉日、できない理由を探す前に早速書きます。


ここで取り上げているのは弊社内で実際に開発&利用しているB2Bのサービスです。B2Bの領域でUXデザインは取り入れにくいって言われることが多いけれど、Bの先には必ず"使う人"がいるんだから、できないって事はないし、やらない理由もないはずなんだけどなー。

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2018/9/13(木)と2018/10/2(火)の2回で「UXデザインコンセプトマップ」を作成しました。

弊社で利用している○○入力サービスについて、これまでのコミュニティの回にてユーザインタビューをし、ユーザの発言や行動をカスタマージャーニーマップにまとめたり、インタビュー結果からKA法を使ってユーザの求める価値を抽出し、価値マップを作成して可視化してきましたが、今回は今までに得て整理してきた情報を基にして、ユーザにどんな価値を提供するために何をどうデザインをしていくのかコンセプトを決定するところをお勉強しました。

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このコンセプトマップに費やした時間は1回約2時間半、計約5時間。
これまでで一番時間がかかりました。

なぜそんなに時間がかかったのか、、、

今回策定したコンセプトは、今後の意思決定の際に核となる非常に大切なものであるがゆえ、何度も何度も話し合いチーム全員が同じ方向を見れるようにしたことや、話し合いを重ねることで「ユーザ像やユーザの声と自分たちの仮説に矛盾点が見つかる」ことも多く、慣れない作業の上、何度も修正を繰り返した為だと思います。

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「いつでもどこでも簡単に入力できる」というキーフレーズだけ見ると、
これってとっても当たり前なことだし、わざわざこんなに時間をかけなくても出てくることなんじゃないの?とか、そんなこと深く掘らなくてもみんな分かるようなことだよねと思ってしまうところですが、

”ペルソナにとってのいつでもって何?”
”どこでもって何?”
”簡単ってどういうこと?”


これらをそれぞれ掘り下げて、ユーザのどんな生活(ワークスタイル)のどんなシーンでどのように使われるのか、これを使うことで、使い続けることでどんな嬉しいことや使いやすさを感じるのか、その嬉しいことというのはユーザが本当に望んでいる価値と合致するものなのか、自分たちの立てた仮説に矛盾がないか、矛盾があるなら何を間違えたのかを行ったり来たりして、「使う人にとっていつでもどこでも簡単に入力できることって一体どういうことなのか」を突き詰めています。

話し合いにしても、全員が全員、常に考えがまとまった状態になっているわけではなく、
「うまく言葉にできないけど伝えたい何かはある」という状態で、
会話の端々からキーワードを拾い、付箋に書き出して可視化してから整理するということも行いました。

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可視化をしてみるとポツリとしたつぶやきからインスピレーションを受けた誰かが良い言葉を出してくれ、その言葉から素敵なアイデアが出てくる・・・。
そのうちに「これだ!」というものがたくさんでてきて、それらを組み合わせると、いつのまにか頭の中が整理され「言いたいことってこういうことだよね!」と全員腑に落ちるタイミングが必ず出てきます。「発散と収束」の繰り返しです。

発散収束

ストーリー自体も聞けば単純なものかもしれません。

ただしこれも、行動の裏に隠れたユーザの感情や価値観、習慣や社会的承認、本質的要求など、これまでに得た様々な情報からくみ取った上で「簡単に入力できる」ための流れがどういうものになるのかという「行動」をデザインしています。


こんなことを繰り返していたので確かに時間はかかりましたが、ここでサービスのあるべき姿について全員のコンセンサスがとれ、誰もが決定したコンセプトについて理論立てて説明することができる状態になれたことは非常に良い流れを作ることができたし、ここに注力したことが結果的に良い効果をもたらすことは明らかです。

これは、このあとのフェーズで機能要件に落とし込んでいった際に、「〇〇って機能があったら便利そうじゃない?」とアイディアがたくさん出てきたり、ユーザから「〇〇ができるようにしてほしい」という声が上がってきた際に、その意思決定に関わる全員がこのコンセプトにそぐうものなのかどうかを正しく判断し取捨選択することができる状態になっているということであり、そのことが一貫した良いユーザ体験をデザインし、その良い体験をユーザに提供することにつながっていくからです。

製品やサービスの改修が繰り返されていった末に、つぎはぎ感が出て使いづらくなってしまったものや、もはやクーロン城的な感じになってしまい使い勝手もメンテすらも大変になってしまったものなど「誰のための何を作っているのか」が見失われてしまったものは、このコンセプトが曖昧であったり、チームで共有しきれていなかったことが原因である場合が多いように感じます。

優れた機能をたくさん持つことやユーザの要望を実現することはモノの魅力を高め収益をあげる上で大切なことですが、それらが本当に検討中の製品・サービスで実現すべきことであるのかどうかをUXデザインコンセプトを基に検討してみると、実は別に解決策があったり、他の製品・サービスで実現したほうが製品・サービスの価値をより高めることができると思います、

ということを実感した、と今回コンセプトマップを作った方からも感想をもらっているので、ここに少し時間をかけてやってみる価値は十分にあるのではないでしょうか。


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