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3-1.新型コロナウィルスの時代を生き抜くために

(特集 新型コロナウィルスに負けないためのココロの道具箱)

下山晴彦(東京大学教授/臨床心理iNEXT代表)

新型コロナウィルス感染対策は,時に「戦い」や「戦争」に喩えられます。確かに日本でも緊急事態宣言が出され,国民全体で不要不急の外出を控え,娯楽施設などの人々が集合する場所は閉鎖され,平和な時代には想像できなかった耐乏生活を送ることが余儀なくされています。

コロナウィルスの感染爆発が起きた中国の都市(特に武漢),さらには欧米諸国では,非常事態宣言が出され,ロックダウン(都市封鎖)が行われ,軍隊が出動し,違反者は逮捕や罰金が課せられるという,確かに戦時下の様相を呈しました。

ウィルスというのは,生物世界には広く存在するものであるので,全てのウィルスとの戦争を宣言し,ウィルスに打ち勝って駆除してしまうということではないとは思います。ウィルスと共存しなければいけない面もあるともいえるでしょう。

しかし,コロナウィルス感染が爆発的に拡大した時期や場所では,戦争時に準じた体制がとられることになりました。医療崩壊が起きた病院は,野戦病院の状態さながらです。緊急の病院施設が,空き地に急遽建設されました。また,多くの医療従事者は不眠不休で治療にあたりました。医療従事者が感染し,命を落とす場合も起きています。不足の医療者を補うための招集がかけられました。また,市民の生活を支えるエッセンシャルワーカーは,感染の危険を犯して任務についています。また,一般市民も外出を控えるとともに,感染の危険のある最前線で働く人々に感謝のエールを送ります。

「臨床心理マガジンiNEXT」第2号では,新型コロナウィルス感染拡大を抑制するために外出自粛を要請されている一般市民の皆様を対象とした記事を特集しました。そして,本号では,ストレスマネジメントをご専門とする竹田伸也先生をゲストにお迎えして,コロナウィルス感染の脅威に直面している医療従事者,そしてエッセンシャルワーカーを含めた市民一人一人がストレスに対処するためのコンテンツを提供してもらうことにしました。

コロナウィルスの感染の危険性との“戦い”は,長期戦になりそうです。一時的に感染拡大が沈静化しても,ワクチンがない限り,油断ができません。ゲリラ的にいつ,どこからともなく再燃し,大きな感染の再爆発が起きる可能性ありあす。我々は,そのような“戦い”に対処するためのココロの道具箱を必要としているのです。

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