銀河系の孤独

何もない一日がある。社会人になってしまった私にとって、それはたまらなく貴重で幸福なものであるといえるけど、翻って退屈であったり窮屈であったりする。
私は概ねどこにいてもその「居場所のなさ」を感じてしまう非常に残念な生き物であるが、それはまるでこの星のようではないかと思うのだ。酷暑に見舞われているとある日曜日。クーラーという文明の利器によりある一定程度の快適さ、過ごしやすい涼しい環境が与えられた中で、あるいは私以上にこの炎天下で想像を絶する苦労を強いられている誰かや、私と同じ環境下にいながら他の誰かと過すものや、わざわざ外に出てはしゃぐ者たちもいるだろうけど、私はこのどこかにいるようで実はどこにもいないのだろう。
どこの誰より微かで、静かで、退屈に押し殺されそうな片隅に「私」はいる。
誰かに助けてほしい気もするけど、ほっといてほしい気もする。
どこにもいけない私、どこにも行かせてもらえない私。
私をどこまでも縛り付けるこの首輪を、いつか噛み千切ってしまう日がくるのだろうか。
あるいは、私も知らないような誰かが、この首輪に括られた私を連れ去り、どこか知らない場所へ連れて行ってくれるだろうか。
ありもしない空想が、あの夏の積乱雲のように膨らんでは、この虚しさに雨を降らせ、悲しみに変えてしまう前に、いつかあの大海原へ飛び込んでしまえたらいい。
願わくば誰も知らない銀河へ解き放ってくれやしないか。宇宙服さえ身に纏う事無く此の躯をスペースシャトルに載せて知らない星へ連れ去られてしまわれないか。
どこまでもくだらない虚無なる想像が、「私」という「銀河系の孤独」を作り上げるのだった。

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