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蜘蛛の糸

芥川龍之介の小説「蜘蛛の糸」は、
地獄で苦しむ罪人カンダタが主人公である。

お釈迦様は、生前、蜘蛛の命を助けた
唯一の善行により、
蜘蛛の糸をカンダタの上に垂らした。

カンダタは、これで、地獄から出られると思い、
必死にその糸をよじ登った。
しかし、他の罪人も大勢蜘蛛の糸をよじ登ってきた。

重みで糸が切れてしまうと思った
カンダタは、下に向かって叫んだ。
「この蜘蛛の糸はおれのものだぞ。」
「下りろ。下りろ。」と喚いた。

その途端、蜘蛛の糸が真上の部分で切れ、
カンダタは再び地獄の底に堕ちてしまった。
そんな話しである。

カンダタの間違いは、
以前と同じ場所に戻ろうと努力したことだ。

せっかく地獄に落ちたのだから、
戻るべき場所が同じじゃやっぱりダメなんだ。

前とは次元が違う。新しいカンダタになって、
新しい場所に戻らなくちゃダメだったんだ。

カンダタが不味かったのは、
地獄での過ごし方だったんだ。

せっかく地獄に落ちたのに、気づいていない。
自分に目覚めていない。
意識が変わっていない。
そいつが致命的だったって
そんなふうに思うんだ。

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