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人間が深くなる瞬間

「人事を尽くして天命を待つ」とは、
自分の全力をかけ
努力をしたら、その後は
静かに天命に任せるということである。

事の成否は人知を越えたところに
あるのだから、どんな結果になろうとも
悔いはないという、
心境のたとえである。

とはいうものの、やはり結果が気になる。
特に、自分の思った結果に
ならなければ、愕然とする。
これが人情である。

でも、やっぱりこの瞬間が
とってもとっても大事なんだ。
人事を尽くしても、
思う結果にならない。
そんな時は、人生の理不尽さを感じ、
自分の能力や今までの積み重ねを、
疑い、虚しさを感じ、自暴自棄になるんだ。

「やらなきゃ良かった」なんて後悔する、
とってもツラく苦しい経験である。
でも、この瞬間が、人間として
一段階深くなる。
そんな大事な瞬間なんだ。

絶対に受け入れ難い。
そんな天命を受け入れるんだ。
そして、天命の前で、嘆き悲しみ、
どうすることもできない。
無力な自分を認めるんだ。

そうやってまた立ち上がる。
その逞しさこそ、その不屈の精神こそ、
人間が深くなった証拠である。
そんなふうに感じるんだ。

いい加減に生きている。
そんなヤツはいない。
誰しもが思いを込めて、生きている。
やっているんだ。

でも、最悪の天命を、受け入れるヤツと、
そうでないヤツがいる。
ただそれだけのことなんだ。
最悪のはずの天命を最高の天命に変えて、
生きてゆけるかどうかの鍵は、
受容力なんだ。

そしてその受容力ってヤツは、
生い立ち、特に母親との健全な関係から
得られる能力なんだ。

与えられた天命を素直に
受け入れられない。
落ち込みが激しく立ち直れない。
そんな自分の弱さは、
そのあたりからきているって
あらためて感じるんだ。

でも、弱くなることが、
挫けて動けなくなることが、
決して悪いわけじゃない。
弱さは深さを意味するからだ。

弱くならなければ、深く生きれない。
深い人間になることができない。
つまりはそういうことなんだ。

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