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京都 4/5 <おいしいもの三ツ>

京は 美味しいものに溢れている
今回特に嬉しかった 草餅と引き上げ湯葉
そしてあつあつの 土ゴボウ天うどん

菓子司の看板を 至る所で目にした
すすすと引き寄せられるよう ガラスケースの前へ
並んだ和菓子に見惚れていると 脇から女性客の注文の声
さらにもう一人 自転車を止め
手土産になさるよう 先にごめんなぁとひと声
すぐ食べますと 紙に挟んでもらった草餅は
あざやかな緑に うすくふわふわのお餅
こぼれ落ちそうな つぶ餡のきらめき
振りかけられたきな粉の香ばしさに 顔が緩んでいたのだろう
おいしそうに食べるねぇ よかったねぇと
声を掛けられつつ 降り注ぐ日差しの下
しみじみとした美味しさに 包まれた

鴨川上流から宿への戻りしな 精進料理は食べ損ねたが
湯葉を食べずには帰れぬと 湯葉ゆばと検索をかけ
いいところに豆生庵さんを見つけた いそいそと電話をかけて向かう
カウンターに座り わくわくと湯葉を待つ
お料理のひとつひとつが 夢のように美味しく
豆腐ようにも再会し 感動はひとしお
めっきり食べられなくなっていた 揚げ物も
野菜のかりりと芳しい揚げ立ちに 箸は進んで
絹揚げの芳醇な味わい 甘味まで驚きの連続

引き上げ湯葉は 三度引き上げたのち
底のかりり具合をも愉しんで にがりを加えてお豆腐に
三つの食味と食感を 堪能できる

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(何せ集中すると写真は撮れず..是非ご自身の目と舌で味わってみて!)

徐々に豆乳の膜が張り 箸を揃え垂直に立てたら
鍋の際を トントン軽く突いていく
力は抜いて 箸が底まで届くよう深くふかく
そそーと湯葉を 中央へ寄せて上げると
こっくりとふくよかな甘みが広がる 熱せられた底の香ばしいこと
お豆腐のふっくらと濃い大豆の風味 あっという間にさらわれて
おうちでもたべたいなぁと 意識は飛び
しずかな女将の 豊かなお話
お姉さんの軽妙さに いいなぁ
京はいいなぁと 嬉しさと月満ちる夜

飲食店やお菓子屋など 列に並ぶことはまずないのだが
友人が気になっている うどん店があるという
ラオスでカオピアックという もちもちうどんを食べていた仲
普段は蕎麦だが 今日はうどんと決め
昼過ぎに取ってくれた整理券を手に 夕方店へ

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アツアツのうどんがやって来た たっぷりのみぞれが縁まで
添えられた土ゴボウ天の盛り具合 カレーパウダーに食欲は刺激さる
ふわふわとうどんを啜り ごぼうを齧る
カリッとさくっと 旨みがぎゅうぎゅう
有名店なのに(というと語弊があるかもしれないが) 何て気さくな女将
やさしい空気感とうどんの湯気で しあわせにむせる
男の人が多い活気あふれる厨房の中 半袖で立ち働く女将は花のようで
すてきなうどんとお店に 芯からほこほこと温まった日だった

食べている間 常連と思しき初老の男性が入って来て
おそらくいつも通り静かに言葉を交わし 麺を啜り
こういうお客さんを見かけると ますます温もる
心が入っているから 多くの人が動かされ列にもなり
その味と お店を切り盛りする人会いたさに
再訪するのかしらん 思い出すとまたあつあつを頬張りたくなるのだ

生麩湯葉にお豆腐のソースがけ 立呑み魚屋と魅力は尽きない
次回こそ 精進料理と大徳寺納豆をいただきたい

Erat, est, fuit あった、ある、あるであろう....🌛