- 運営しているクリエイター
記事一覧
Flow along
窓の外の雹は粉雪へと変わり 冬のときめきは甘い雫に凝縮さる
いとしいひととの距離を 近しく感じるのは何故だらふ
物理的には離れていても 握られた手の感触がいま此処に いつの間にか
渡れるようになった海 しなやかな行き来 よろこび合ふ時間を
一日に二度訪れる朝と夜を縫ふ 夢と現実との逢瀬はゴーグルなしに叶ひ
そなわる感覚を解き放ち 時を練る 真昼にみる夢 夕のあわひ
結晶の一粒ひと粒の内側へと
In Other Words
果てのない泉に口づけ 車越しの投げ接吻 撃ち抜かれ止まらない鼓動
てのひらの感触を辿っては 輝ける灰色の空に音符が舞ふ おなじ町の幸福
愚かしさは悪か これまで答えを躊躇わなかった事ごとが反転し
その奥に隠れた愛に 自覚的になったから 欲望果つる処へ垂直に落ちた星
目に映る姿がすべてではない 眠りについているものたちを 別の角度から
余すことなくみつめたくて 想像がもたらす近しさ 事象や感情の
foreverness
夜半からの雪は寝静まった町を真白く染め 暗闇に滑り出した車体へも
そっと舞い落ちる 反対側へと去りゆくテールランプに視界が滲む
忙しなく拭かれる窓 細く開けた隙間からしんしんと入り込む冷気
平等に流れる時が一瞬でも伸びたなら 耳に届いた曲がまた瞳を湿らせゆく
素のままの感情に 心は強く揺り動かされて 愛より速く 深きをたゆたい
のこされた鮮やかな確かさは 森のなかで他の気配にやすらぐことに似る
pathless woods
心が先に動くとき まだ形を成しえていない感情 口や舌を通さぬ気配
言葉が追いつけない流れの中 思いや波をあたたかなものがさらってゆく
一瞬一瞬のきらめき 愉しかった記憶を転がる音が導く うれしさや喜びが
空間までも解しゆきて 余分のものは外れ 素のあなたが舞い上がる
確かなこの感覚を 魂の呼び声 深い呼吸 背骨を通しつたわる感覚
言葉を望むとき そうと耳をひらく 雪陰 風 土の中 雨粒 木漏