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インドの教育システム

ナマステ!
インドでインターンをしている女子大生です👩

今回はインドの教育システムに着目していきたいと思います。
インドの教育は昔に比べて徐々に改善されてきており、今では世界に誇るような有名大学も数多くあります。そんなインドの教育ですが、公立学校と私立学校では教育の質や制度の大きく差があるなどまだまだ多くの課題も抱えています。
そこでインドの教育システムの概要について紹介した後、公立学校、私立学校の特徴にも触れていきたいと思います。

インド教育の概要

インドの教育システムは、歴史が古く、多様で複雑な構造を持っています。国の文化的・社会的な背景を反映しつつ、さまざまな教育機会を提供しています。

1. 教育制度の構造

初等教育 (Primary Education)
6歳から14歳までの子どもが対象で、8年間の基礎教育が義務づけられています。これには1年生から8年生までが含まれます。インド政府は、「初等教育の普及」を目標に、教育へのアクセスを向上させる政策を推進しています。

中等教育 (Secondary Education)
初等教育の後、9年生から12年生までが中等教育となります。これには2つの段階があり、9年生と10年生は「中学 (Secondary School)」、11年生と12年生は「高等中学 (Higher Secondary School)」と呼ばれます。高等中学では、理系、文系、商業系などの専攻を選びます。

高等教育 (Higher Education)
大学レベルの教育は、卒業 (Undergraduate)、修士 (Postgraduate)、博士課程 (Doctoral Programs) で構成されています。インドには多くの大学や専門機関があり、国立大学、州立大学、私立大学、技術系のインド工科大学 (IIT) などがあります。

2. 教育システムの特色


中央教育機関と州政府の役割: 教育制度は中央政府と州政府が共同で管理しており、教育方針やカリキュラムの策定に影響を与えています。
CBSEとICSE: インドには複数の教育ボードが存在し、全国的に影響力があるのは中央中等教育委員会 (CBSE) とインド証明書試験委員会 (ICSE) です。CBSEは標準化されたカリキュラムを提供し、科学や数学に重点を置いています。一方、ICSEはより幅広いカリキュラムを持ち、言語や芸術も重視しています。

3. 高等教育と競争


インドでは高等教育への進学が非常に競争的で、特にIITやインド経営大学 (IIM) などのトップクラスの大学に入学するためには、高い学力と厳しい入学試験の合格が必要です。多くの学生が、工学、医学、経営学などの分野で成功を目指し、厳しい試験準備をしています。

4. 教育課題


〇識字率の格差
インドの識字率は改善されつつありますが、都市部と農村部、男性と女性の間には依然として大きな格差があります。

〇教育へのアクセス
特に農村部では、十分な教育施設や教員の不足が問題となっており、すべての子どもが質の高い教育を受けられるわけではありません。


〇質の向上
公立学校の教育の質を向上させるために、政府は多くの改革を行っていますが、教育の質には地域差があります。


5. 最新の改革


インド政府は2020年に「新教育政策 (National Education Policy, NEP)」を発表しました。この政策では、教育の質を向上させるための多くの改革が提案されています。例えば、教科間の柔軟性を高めることや、職業教育の導入、幼児教育の強化などです。


インドの公立学校


インドの公立学校は、中央政府や各州政府によって運営されており、主に無料または非常に低い費用で教育を提供しています。特に農村部や低所得層の子どもたちにとって、公立学校は教育を受けるための重要な手段となっていますが、多くの課題も存在しています。

1. 公立学校の特徴


初等教育は無償で提供されており、制服や教科書も無料で支給されることが多いです。これは、すべての子どもに教育機会を提供するという政府の目標に基づいています。



ミッドデイミール (Mid-Day Meal) プログラム
栄養失調の解消と学校への出席率向上を目的に、多くの公立学校では昼食が無料で提供されます。特に、貧困家庭の子どもたちにとって大きな支えとなっています。

2. カリキュラムと指導言語

公立学校のカリキュラムは、中央中等教育委員会 (CBSE) または州教育委員会によって設定されます。内容は数学、科学、社会科、言語 (ヒンディー語や英語など) を中心に構成されています。
また地域によって異なりますが、一般的には州の公用語が指導言語として使用されることが多いです。都市部の公立学校では、英語教育も行われることがあります。

3. 施設とインフラ

多くの公立学校は、校舎が老朽化している、教室が不足している、トイレなどの衛生設備が整っていないなどのインフラの問題を抱えています。特に農村部の学校では、基本的な設備の不足が深刻です。
また都市部では、一部の公立学校でデジタル教育やコンピューター教育が導入され始めていますが、農村部では技術の普及が進んでいないことが課題です。

4. 教員と教育の質


教師の質や教員数の不足が問題とされています。教員が十分に訓練されていないことや、適切な指導法が用いられていないことが、学習成果に影響を与えることがあります。また、特に農村部では、教員の不足が深刻であるため、1人の教員が複数の学年を同時に担当する場合もあります。
公立学校では、教育の質が地域によって大きく異なります。都市部の学校は比較的教育の質が高い場合が多いですが、農村部では教育の質が十分に保証されていないことがあります。

5. 課題と取り組み


貧困家庭の子どもたちの中には、経済的な理由で学校を中退せざるを得ない場合があります。家事や仕事を手伝うために通学できない子どもも多く、ドロップアウト率は依然として高いです。

女の子の教育促進も重要な課題であり、農村部では今でも多くの家庭が伝統的な価値観に基づき、女子教育を優先しないこともあります。政府は、女子の教育機会を増やすためのプログラムを推進しています。



6. 政府の取り組みと改革


インド政府は、公立学校の教育の質を改善するための取り組みを行っています。たとえば、教員の訓練プログラムの強化や、学校施設の整備、教育資源の供給などがあります。また、2020年の「新教育政策 (NEP)」では、教育の質向上に重点が置かれています。


私立学校


インドの私立学校は、公立学校に比べて多くの面で異なる特徴を持っています。都市部や中流・上流階級の家庭においては、私立学校が教育の主な選択肢として人気があります。私立学校の数は増加しており、特に質の高い教育を提供することで評価されています。

1. 学費と費用


私立学校は公立学校と比べて学費が高く、授業料、施設使用料、活動費などがかかります。中には、非常に高額な学費を請求するエリート校も存在します。経済的に余裕のある家庭が、質の高い教育を求めて私立学校に子どもを通わせることが多いです。



2. 教育の質とカリキュラム


私立学校は、中央中等教育委員会 (CBSE)、インド証明書試験委員会 (ICSE)、国際バカロレア (IB)、ケンブリッジ国際試験 (CIE) などの異なる教育ボードのカリキュラムを採用しています。これにより、幅広い教育内容が提供され、学生は国内外での進学に対応できる教育を受けることが可能です。
また、科学、数学、言語教育が強化されており、全体的に学術的な質が高いと評価されることが多いです。また、試験結果を重視する競争的な環境が生まれやすいです。

3. 教員と教育の質


私立学校では、しっかりと訓練された教員が多く、一般的に教員の給与も公立学校より高い傾向があります。学校は教育の質を維持するために、教員の研修を行うことが多いです。

4. 施設とインフラ


私立学校は、近代的な設備を備えていることが多く、エアコン完備の教室、科学やコンピューターの実験室、広い運動場、図書館、デジタル教育用のスマートクラスなどが揃っています。一部の私立学校は、特にスポーツや芸術のための施設に力を入れています。
またデジタル教育が積極的に導入されており、インタラクティブな学習体験を提供することを目指しています。特に上位校では、最新の教育技術を駆使した授業が行われています。


5. 課外活動と総合的な成長


私立学校では、学業だけでなく、スポーツ、芸術、音楽、演劇、ボランティア活動など、さまざまな課外活動が提供されています。これにより、学生はリーダーシップやチームワーク、創造性を育む機会を得ます。

6. 言語と国際性


多くの私立学校では英語が主要な指導言語として用いられ、国際的な進学に備える教育が行われています。英語に加えて、外国語の授業も提供されることがあります。

一部の私立学校では、インターナショナル・スクールとして、グローバルな視野を持つ教育が提供されています。これにより、海外の大学に進学する生徒も多く見られます。


7. 課題と批判


私立学校の高い学費は、教育の機会に格差を生む原因となっています。経済的に余裕のない家庭の子どもは、公立学校に通うことが多く、教育の質に違いが生まれることがあります。

まとめ

今回はインドの教育システムについて紹介しました。
日本とはかなり違う教育状況がみられ、発展している面がある一方、課題も多く、貧富の差の広がりにも影響しているようです。しかし、インドでも質の高い教育を受けることができ、実際多くのインド人が世界で活躍しているという現実もあります。
教育問題はなかなか解決が難しいトピックでもありますが、改めてインドの教育について知ることができたとてもいい機会になったのではないでしょうか?

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