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ゴールデンルートはどうなる!?インバウンド回復期の広域観光ルートを予想

日本ではまだ先が見えないですが、世界では少しずつコロナ規制を撤廃する国も出てきました。
今後日本でも収束の方向に向かうことを願いますが、インバウンドが回復してきた際、訪日外国人旅行者はどのようなルートで日本を旅するのでしょうか。

今回はコロナ前の定番ルートであったゴールデンルートが、インバウンド回復期にも人気となるかを考察してみたいと思います。


ゴールデンルートとは

ゴールデンルートとは、主にインバウンド業界で使用されている言葉で、東京、箱根、富士山、名古屋、京都、大阪などを周遊する広域観光ルートのこと。インバウンド旅行者の人気ルートであり、成田or羽田空港から入国し、関空から出国(もしくはその逆)することが一般的です。
特に、初めて訪日するインバウンド旅行者にとっては、日本の押さえておくべき名所を一気に観光出来ることから、人気の観光ルートとなっていました。その為、団体旅行を集客したい海外旅行社にとって売れる商品であることも、ゴールデンルートが人気となる背景になっていました。
ただ、旅慣れた個人旅行者にとっては、大筋ゴールデンルートに沿って観光するものの、自身の興味関心に合わせてゴールデンルートから少し離れた観光地へ足を延ばすルートやそもそもゴールデンルート以外のエリアを中心に周遊したりするということも多くあったと思います。
特に台湾、香港、韓国など特に訪日リピーターが多い国では地方分散が進み、多種多様なルートで旅行されていた事実がありました。

参考までに、ゴールデンルート以外のインバウンド向け広域観光ルートとして以下のようなものがあります。

◆昇龍道(昇龍道プロジェクト)
愛知、岐阜、石川など中部北陸9県を中心としたインバウンド向け広域観光ルート。

◆せとうち・海の道
四国・中国地方をめぐる兵庫~山口間の広域ルート。瀬戸内海の自然、食、体験を楽しめるインバウンド向け観光ルート。

◆ダイヤモンドルート
福島県から東京都や栃木県、茨城県の4都県を結ぶインバウンド向け広域観光ルート。4都県の名所を結びあわせた時にダイヤモンドのような形になることから命名された。

◆プライムロードひがし北・海・道
富良野エリア、十勝川温泉エリア、知床エリア、釧路エリア等を周遊する広域観光ルート。道東の大自然や温泉、食が堪能できる。


アフターコロナのインバウンド観光ルート

これからのインバウンド回復期、ゴールデンルートはどうなるのでしょうか。
あくまでも筆者の予測ですが、ゴールデンルートはインバウンドの定番コースとして復活すると思います。

ただ、コロナ前とは少し傾向が変わるかもしれません。
団体旅行者も一定数回復すると思われますが、個人旅行者の割合がより増え、旅行スタイルの多様化が今まで以上に拡大すること予測されます。
そんな中、日本側からの単純な観光ルートの提案ではインバウンド旅行者には響かない可能性がある為、特に仕組みづくりに工夫が必要です。

例えば、広域エリアで連携して誘致したい場合、ルートの開発から始めるのではなく、交通・観光・宿泊・ガイド(着地型体験ツアー)などの情報を一括で取得でき、予約までできるアプリ(プラットフォーム)などをまず開発する。その上で、インバウンド旅行者に対して、このエリアで使える便利なアプリがあるということを訴求する。その結果、交通を軸とした広域ルート全体の価値と利便性を高めつつ海外プロモーションすることで、結果的に人気の広域ルートになっている、という可能性があります。

ゴールデンルートに関しても、「ゴールデンルート」として海外へ売り出したというよりは、結果的に定番コースとなっていたので、その理由をあらためて検証することも大切ではないでしょうか。
つまり、人気となるインバウンド向け広域観光ルートを誕生させるには、インバウンド旅行者のニーズを踏まえた上で、受入れエリアの仕掛けづくりがとても重要であると思います。


着地型体験ツアー

そもそも論となりますが、広域ルートの設定よりは、着地型ツアーに近い半日・1日程度で周遊できるモデルコースを各エリアで設定する方が良いという考え方もあると思います。ドイツのロマンチック街道のような認知度の高い観光コースであれば別ですが、広域ルートを受入れ国側で設定し、インバウンド旅行者に売り込むことは難易度が高いという可能性もあります。もちろん、地道に海外プロモーションをしていけば認知度を上げれる可能性はありますが、中長期的な計画と共に、時間とお金とアイデアが必要です。
そうであれば、個人旅行者がより増えると想定されるこれからの時代。ローカル体験を求める旅行者のニーズは変わりなく存在する為、そのエリアでしかできない体験、観光資源をブラッシュアップし、ディープで骨太な着地型体験ツアーの開発はインバウンドでも有効ではないでしょうか。


まとめ

これから、訪日外国人旅行者が戻ってくる時期は必ず訪れることでしょう。
その際、個人旅行者がより増え、インバウンド業界としても旅行の多様化が進んでいることが予測されます。
その時、ゴールデンルートはもちろん、それ以外の名物ルートが全国各地で誕生していくという状況が、観光立国に向けたリスタートに必要なことかもしれません。

著者:JOINT ONE 嶋田拓司
海外・訪日プロモーション専門広告代理店『インバウンド ONE』
海外インバウンドマーケティング情報マガジン『エの輪』

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