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【読書感想文・目の見えない人は世界をどう見ているのか(伊藤亜紗 著)】異なる世界の見方、感じ方を知ろう

Audibleで「目の見えない人は世界をどう見ているのか」を読みました。

本書は、娘が学校の図書室で借りてきた「みえるとかみえないとか」を読んで、とても考えさせられる内容だったので、原作と言っていい本書がAudibleにあったので早速聴いた次第です。

本書は、本書の言葉を借りれば「福祉的な視点とは異なる視点から障害者を理解する」ことを目的としていて、よく考えがちな「障害者にしてあげられること」みたいな内容ではなく、健常者と障害者の「世界の『見え方』の違い」について大変興味深い内容が書かれています。

まず、本書で理解したことは「障害」の捉え方です。本書に、障害者基本法第2条の説明がありました。以下内閣府ウェブページからの抜粋です。

一 障害者 身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であつて、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。

二 社会的障壁 障害がある者にとつて日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。

障害者基本法第2条「https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/kihonhou/s45-84.html」、内閣府

「障害」に対する見方が変わったのは、障害は「体や心の機能的損傷そのもの」ではなく「現行の社会システムによって生活などに制限、不便を受けている状態」のことを示していることです。

しかしながら、自分も、環境がそうせたのかもしれませんが、「体や心の機能的損傷がある」人たちに対して、「からかってはいけない」とか、「困っていたら助けてあげましょう」とか教わってきました。特に後者の「助けてあげる」という考え方が、健常者と障害者という言葉の間にヒエラルキーを生んでいたことを、本書で納得しました。

ところが、本書が障害者として取り上げている「目が見えない人」は、「目が見えないからこそ見えるもの」があったり、「見えないからこその体の動かし方」があったりし、目が見える人たちとの違いはあれど、「同じ世界で普通に生活している」ことがわかりました。

確かに「不便・制限」があるから「障害者」なのだけれど、みるべき視点はそこではなくて、見える人と見えない人が感じる世界の「違い」なのだということが、本書で一番学んだことです。

これは、自分の経験と照らし合わせると「海外の人が日本に来て、日本人が気づかないことに気づく」「日本人が海外に行った後、日本に帰ってきて日本がより好きになる」みたいなことにとても似ている、と感じています。海外で異文化を垣間見るように、見えない人、聞こえない人の世界を垣間見る、そんな感覚になれたら、世界が広がるのだろうな、と思いました。

本書は、この「違い」を

・ 4本脚と3本脚の椅子
・ そっちの世界、こっちの世界

といった言葉で表現し(実際に視覚障害者の方が使っている表現のようです)、非常にわかりやすく説明してくれています。ですので、障害者を理解するという意味では、とても良書であり、自分としてかなりインパクトのある本でした。今年ベスト3に入ります。

正直なところ、自分には小さい頃に植え付けられたであろう固定観念がまだあると思います。人生40年この感覚できたわけですから簡単には抜けないかもしれません。ですが、本書にあることを意識し続けることで、ブレインロックを解除していきたい、そう思った次第です。

最後まで読んでいただきありがとうございました。



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