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「後出しくん」に、私たちは恋をする。

自分が思う自分と、他人が思う自分にギャップがあると、誰も本当の自分のことを分かってくれていない気がして、ちょっと寂しくなります。

そんなとき、「俺は、あなたの本当の姿をよく分かっているよ」なんて言われると、人は簡単に「えっ…。嬉しい…」と喜んでしまいます。

そのテクニックを知っている人は、「私、実は〇〇なんだよね…」と言う人がいれば、すかさず「意外とそうだよね!みんなには、気づかれていないけど…」と、自分は相手の本当の姿に気づいていると、後出しで告げます。

そして、言われた側は「嬉しい!この人には、私の本当の姿をさらせる!」と、思ってしまいます。

しかし、本当にその人は、あなたの本当の姿に気づいているのでしょうか?

本当に気づいていたなら、「私、実は〇〇なんだよね」と言う前に、「あなた、こういう性格なんじゃない?」と、先に言い当てるのではないでしょうか?

人を常に疑うクセがある僕は、本当のことを告白した後に、「俺も、そう思ってたんだよねー」と言う、「後出しくん」のことは、信用しません。

なぜ、僕が後出しくんを疑うかというと、僕自身が、ときどき、嘘をつくことがあるからです。

ここからは、ちょっとややこしい話になります。

例えば、場が盛り上がっている飲み会に出席したとき。

実際は自分が楽しいとしても、周りの人があまり楽しんでいない気がするときは、周りの人が思っていそうなことを、先に自分が代弁することがあります。

「いやぁー、あの人の話が長すぎて疲れましたねー」など、周りの人が楽しめていない1番の要因を推察して、サッと言葉にします。

そうすることで、言葉にするのが苦手な人は、意外と心が落ち着くし、愚痴が多いタイプの人も、「それほどではないよー笑」と言いながら、気持ちが和らいでいきます。

しかし、そんなときに、後出しくんは、こう言います。

「あぁ、だから中盤ぐらいで、あんなに疲れた顔してたんだー」



違ぇぇぇぇぇぇえよ!



本当は、そう言いたい。

しかし、周りに合わせるために空気を読んだ僕は、今さら自分の発言を撤回するわけにもいかず、その言葉を認めざるを得ないのです。

そして、1番腹が立つのは、こういう後出しくんが、「鋭ーい!」「人の気持ちが分かるんだね!」と、なにかと良い評価をもらうことです。

本当の俺の気持ちなんて、1mmも分かっていないのに。

そんな悔しい思いをたくさんしてきたので、僕は後出しくんが許せないのです笑

そもそも、他人の気持ちがすべて分かれば、言葉は要りません。

でも、そこがコミュニケーションの良いところです。

誰かのために本当の自分を隠したり、自分の本音を伝えたいがために、自分をさらけ出したり、そうやっていろんな顔があるから、人は人と話したくなるのです。

まぁ、周りに合わせて、嘘をつく自分が1番悪いのですが笑

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