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若さのムダづかい。

昨日、恋愛体質で幼馴染みの千葉くんと会ったのですが、若さのムダづかいをしていると感じました。

彼は僕と同い年ですが、僕の母親と同じようなことをきいてきます。

「最近よくCMとかに出てる、あの俳優って誰だっけ? ほら、いつの間にか売れてた人!」

「これって、まるであれみたいだな。なんだっけ。ほら、いたじゃん!」

23歳の青年が言うには早すぎるセリフです。しかも、ヒントが少ない(笑)。

そういう風に千葉くんが、大人に近づいている瞬間を見ると、本当にもったいないなと思ってしまいます。

これは、千葉くんに限った話ではないのですが、ほとんどの人がそうやって大人になっていきます。思い出せないことに悔しいと思えなくなったり、未体験のことに抵抗感が強まったり、お酒さえあれば何でもいいという考え方になっていきます。

すると、体は楽な方に動いてしまうので、新たな経験が蓄積されません。

その結果、出てくる言葉は同じ言葉ばかりになってしまいますし、慣れないことには、傷つきやすくもろくなっていきます。

もちろん、大人になることでのメリットもあるから、そうしているのは分かるんですが、生きていると自然と大人になっていくので、若いときは若いままでいた方が良いに決まっています。

僕は大学に行ってないので、大学で充実した勉強を出来ている人たちが羨ましいです。そこで、僕以上に本を読んでいるでしょうし、たくさんの知識をインプットして、アウトプットして、思い出せなくて点数が取れないと落ち込んだりして、僕より4年間も若者らしく過ごせたはずなんです。

それが卒業した途端に、知識の引き出しができなくなってしまうというのは、もったいないことですし、必死になって彼らに劣らないように若くあろうとしてきた自分が、ちょっと虚しくなってきます(笑)。

記憶力が全然劣らない僕を見て、千葉くんはこう言います。

「お前の記憶力、本当にヤバいからな」

僕は千葉くんにこう返します。

「確かに、俺の記憶力は全国トップクラスだから(笑)」

しかしながら、本当はそんなことはありません。僕は、学校のテストで100点を取ったことはありませんし、赤点だって取ったことはあります。大学だって、入学も卒業もしていません。

ただ、若い頭脳が衰えないように、必死になって、たくさんの物事を頭の中に叩き込んでいっただけです。僕と千葉くんの違いは、その意識の違いだけなんです。

つまり、正しく言えば、千葉くんの記憶力が低下しただけなのです。

それを分かっているのに、僕が自分の記憶力を誇る理由は、相手を傷つけないためです。だって、こうやって僕の能力のせいにしておけば、千葉くんは自分の能力の低下を感じなくなりますよね。劣等感に苛まれる必要はなくなります。

僕は、こういう風に千葉くんを傷つけないようにしていました。そんな自分を「優しい人」だと思って酔っていましたが、実際のところは、千葉くんの能力を下げているだけです(笑)。

千葉くんの記憶力の低下の一番の要因は、千葉くん自身の意識の問題ではなく、僕のせいかもしれません。今更ながら、ごめんなさい(笑)。

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