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自己愛は努力で培うものじゃなく、自ら満たすもの。

「俺の彼女が、男性アイドルのファンで、なんかそれが嫌なんだよね・・・」

とあるファミレスで、高校の同級生の代々木くんは、男性アイドルに対しての嫉妬の気持ちを僕にぶつけてきました。

僕は、彼と10年来の友人のため、ちょっとした違和感を抱きました。

代々木くんは、これまで恋愛においての嫉妬の話がでると、「ふーん」と、急にクールな対応をして、嫉妬がどういうものか分からないという素振りを見せていました。

そんな彼が、本気で嫉妬するということは、彼女のことが相当好きなのでしょう。

僕は、代々木くんに「えっ、お前もついに嫉妬するようになったんだなー」と感慨深く話していると、代々木くんは、こう言いました。

「いや、今までも嫉妬はあったけど、嫉妬しない方がカッコいいと思って、その気持ちを隠してた」

僕は、彼が10年にわたってカッコつけていたことに驚きました(笑)。

嫉妬しない人だからといってカッコいいとも思わないし、嫉妬する人だからといってダサいとも思いません。

それは、異性からしても同じでしょう。

しかし、この言葉は僕にとって、深く考えさせられるものになりました。

なぜ人は、嫉妬を醜く感じるのだろうか?

恋人関係は、公的かつ対外的に結ぶことで、好きな人を独占することができるという暗黙の契約があります。

この契約は、少しでも両想いから外れる行動があると不安になるし、自分の唯一無二の恋人を奪われかねないと察知した場合、身の危険を感じるのは当然のことでしょう。

だからこそ、嫉妬するのは当然だし、それを醜いと感じる必要もないはずです。

しかし、代々木くんのように嫉妬している気持ちを隠したい人もいるし、ずっと隠し続けている人もいるでしょう。

代々木くんに続けて聞くと、嫉妬対象となるのは、基本的に男性アイドルが多いと言います。

そして、もし彼女が最終的に男性アイドルを選ぶのなら、「まぁ、所詮その程度の女か」と思い、次の恋に進むと話していました。

彼女を振り向かせるために頑張るのではなく、自分のことを一番に見てくれる人を探すようです。

僕が知っている人間の中でも、代々木くんは圧倒的な自己愛を持つ人間です。

もっと自信をつければ嫉妬なんてしなくて済むと思うのですが、そんな彼でも嫉妬と直面するのは辛いし、できれば解放されたい。

つまり、嫉妬という感情は、自己愛を崩すものなのです。

特に、恋人関係においては、自分が相手に最も愛されているという前提で付き合っています。

それなのに、自分といるよりも楽しそうにしている場面を見たり、自分以外の異性と近い距離にいると、自己愛は粉々に砕け散っていきます。

自己愛が崩れると、人は自己愛を取り戻すために必死になります。

誰かに認めてもらうため、愛してもらうためだけに生きると、人の気持ちなんて考えられなくなるし、精神的な余裕もなくなります。

きっと代々木くんは、そんな自分を見せるのがみっともないと思っているのでしょう。

だから、嫉妬は醜いのです。

自己愛は努力で培うものじゃなく、自ら満たすものです。

自分の貴重なエネルギーを嫉妬に奪われるのも嫌だし、それで自分が自分じゃなくなるのも嫌だ。

そんな気持ちがあるから、嫉妬という感情に蓋をしたくなるのかもしれません。

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