ひとりが好きな人は、みんなのことも好き。
ひとりが好き。
最近は、この言葉がずいぶんと便利に使われるようになったなーと思いますが、この言葉を簡単に使っている人に、違和感を抱きます。
ひとりが好きという人に、「ひとりの時間、何してるの?」と聞くと、だいたいは「アニメや漫画を楽しんでいる」「誰にも邪魔されずに、自分の趣味を楽しめるのが最高!」と答えます。
ほとんどの人がひとりが好きというよりも、趣味を楽しむためにひとりを選んでいるだけにすぎず、ひとりになる重要性を語る人は、あまり多くないのです。
つまり、ひとりになることは手段であって、目的ではないのです。
ただ単純に、趣味が好きなんです。
一方で、本当にひとりが好きな人は、ひとりになることが、何よりの目的になります。
「ひとりが好き」というと、自分勝手に自由なことができて、誰にも邪魔されない幸せがあると思われがちですが、それは少し違うのです。
ひとりの時間がないと、自分のことを後回しにしちゃうから、ひとりの時間を欲するのです。
その時間で、自分の今の状態や未来のことを考えて、他人に飲み込まれてた自分を、生き返らせるのです。
その作業が終わって、ようやく趣味に走れるのです。
他人が好きだから、目の前に他人がいると、どうしても気にかけてしまい、周りの顔色を伺います。
自分よりも、常に周りの人が大事だと思っているから、自分を押し殺すことに慣れているのです。
そうやって失った自己は、ひとりの時間でしか回復できないのです。
ひとりの時間を経て、前向きになった自分が嬉しくて、その結果、「ひとりが好き」になっていくのです。
そういう人は、割と簡単に「ひとりが好き」とは言いません。
話しているうちに、「えっ、そこにひとりで行ったの?」みたいなエピソードを披露することが多いです。
いろんなところにひとりで行っても、社交的にするわけじゃなく、ただひとりを味わって帰ってきます。
そんな人を見て、「精神大丈夫かな?」とか「もっと楽しめばいいのに」と思うこともありますが、その人にとっては、楽しむためのお出かけではなく、ひとりになるためのお出かけだったりするのです。
本当にひとりが好きな人は、こういう人のことを言うと思うんです。
ひとりの時間でちゃんと回復して、また他人の前に元気な姿で現れる。
「なんか、調子が悪いなー」と思う人は、もしかしたら、ひとりの時間が足りないのかもしれません。
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