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島暮らし 1.5 初夏

夏の始まり、40代モラトリアム

ただ今10月の大島にて、夏の始まりを思い出している。

雨は多く降ってなかった。朝はパラパラと降って気がつけば止んで、午後には透き通った海が見える。そんな日々に、私はモラトリアムに陥っていた。

会社勤めを辞めて、Webでのサービスを作ろうとし、すぐに挫折し、そしていわゆるフリーランスに。比較的長く続いているのは、技術調査のお仕事。元々文系で、地政学とかエネルギーセキュリティの方が好き、なんだけど...。

それが5月のあるとき、仕事が減った。それまで自分の都合でセーブしていたのに先方の都合でセーブ。こうなったら焦る焦る。

元々息子が生まれた時、夫と離別死別しようとも1人で育てられる自分でいたいと思った(予定も事件性もありませんよ)。家事労働を年収に換算するとという話があるが、私の家事労働は大したものでなく余暇時間がどんなに増えようと増えることはない。つまりそういうタイプ。

そんな訳で一気に職探しモード。できれば地元が良い。と言っても就職はしたくない。でも私は何が出来るのか?前は造船もやってる会社にいたけど、今治造船さんに私のポジションあるのか?

少し遠くの地元の仕事に

縁あって見つかったのが、中国地方のとある会社の新規事業企画ワーキングをファシリテートする仕事。社内の異部門からメンバーを集めたワークショップというのは結構あるもので、実はこういうの専門請負で生きる道ってあるのでは?とサラリーマン時代から思っていた。

内部の人材で回すと、お互い内情やリソース制限を知っているので、発想の広がりに限界があるんじゃないかと。外部の人が一人入るだけで触媒的に活性化できないか。単に司会というのではなく、外部環境を整理して伝えるという機能にも価値がるのでは、と。

という訳で1年間のプロジェクトが始まる。

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補助金を申請してみない?

離別も死別もしていない夫から、そんな提案があったのもこの頃。愛媛県内の創業時の補助金で、自己出資の半分を上限金額まで補助するというもの。つまり自分も出資する必要がある。申請が通った場合は否が応にも前に進まざるを得ない。やってみたいことは色々あるけど、本当に今やるべきか。

四国産木材高付加価値化に向けた改質技術
家を建てようとして驚いたのが、国産木材は高いから使われないというのは、幻想だったということ。実際は、少々コスト高でも外国材が選ばれている。国産木材で代表的な杉は変形しやすく床暖房に向かない。外壁用途でも灰色に変色することが嫌われるため、相対的に変色が遅い外材が選ばれる。

いつか取り組みたいテーマだけど、これは大学と材木屋さんと一緒にやりたいので先送りに。

庭先柑橘を集めてその年ビンテージの石鹸
移住前に幾度となくしまなみに訪れたものの、どこに泊まってもアメニティはナショナルブランドであることに落胆していた。しかし、いきなりしまなみコスメを作るとなると製造設備が大き過ぎ、現実的には外部委託となるだろう。そこで石鹸。

○ 庭先や畑で放置されている柑橘を収集するプロセスで、異年齢のコミュニケーションを活発化
○ 20XX年ビンテージとすることで、使用品種のバラエティを売りに

× 柑橘オイルは圧搾法を用いることで光毒性懸念がある(お肌にシミが)
× 原料コストが高く気軽に買える値段(〜1,000円)ではペイしない

早々に却下。しかも私は手仕事が苦手。苦手なことはやらない方がいい。

あかり時々灯すレストラン
島には夜飲みに行く場所がほとんどない。特にワイン。これはすごく困る。ヨーロッパの田舎に行くと、景色の良いところには必ずステキなレストランがあるというのに。とは言え需要の見えないところに投資する料理人がいるだろうか。だったら、最初から箱を用意しておいて、そこに居住スペースを確保して、料理人がふらりとやってきてその時限りのレストラン(いやビストロやオステリアくらい?)を出来るようにしてはどうだろう?

○ 夜行ける店があると島に宿泊客が増える → 島に落ちるお金が増える
○ 島の食材の魅力を料理人に伝えられる → 出荷先増、関係人口増?
○ 地元の人が島の魅力を再認識する機会になる
× 収益性が低い
× 実際に需要があるか不明

ということで、イニシャル投資を出来るだけ抑え、補助金を用いてテストマーケティングとしてイベント的に実施し、需要を検証する、こととして企画を申請した。協力してもらう料理人のイメージとしては、1)地産地消に興味がある、2)ワーケーション、サバティカル休暇に島に来る、ことを想定。1)については、私の好きな自然派ワインにぴったり。2)について、本当にそんなことあるのか?ということについては、やはり検証対象として、補助金の予算内に組み込む。

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全ては通常運転に戻り

そうこうしている内に、フリーランス業務の方も通常運転に。まぁこうして定期収入があるからチャレンジできるわけで。島に移住する人は、基本的にはクリエーター系や手仕事ができる人が多い。でも、中には私のように、ごく普通のサラリーマン的な人がいるっていうのも、一つのロールモデルでは?と思ったりして。

八月には補助金も採択され、気忙しい秋を迎えることになる。ここはしばし島の夏を楽しむこととしよう。

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