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畑の隣の小屋

・畑: field
・土: soil, earth
・land: 土地
・association: 共通の関心で結びつく集団
・community: 地縁に基づく集団
・Inahouse Project: 稲葉のハウスでイナハウス。2011年から2050年まで小屋を作り続ける計画。

 小屋を作り始めたのは10年前の2011年だったから、これまでいろいろな小屋を作った。
 友達を集めて手伝ってもらって建てた小屋もあるし、作った小屋に人を呼んでお酒を飲んだり歌を歌ったりもした。学校のお祭りの出し物として作ったこともあったし、名古屋の展示で作品として作ったりもした。廃材で0円で作ったり、ビニールひもだけで作ったり、タイヤをつけて動けるようにしたり、折りたためるようにしたこともあった。去年小屋を建てたときは他の友達にお願いして、写真を展示してもらったり、ライブをしてもらったり、映像作品を流してもらったりして、小さめの芸術祭、大きめのホームパーティとして20人くらい人を呼んでお酒を飲んだ。

 2021年の小屋は今住んでいる土浦の家の畑の隅っこに建てることにした。今回は珍しくお金に多少余裕があったので、木材やコンクリートブロックをホームセンターでたくさん買った。
 とりあえず大きなウッドデッキを張った。その上に何をつくろうかなと考えながらウッドデッキを張った。

 同時進行で畑の作業を後輩や友達と始めた。それがまた友達を呼んだりして、少しずつ畑ができてきている。

 今回の小屋はキッチンにしようと思った。
 畑の隣に、シンクや湯沸し器、カセットコンロを置いて。冷蔵庫も余っているし、BBQコンロも2台ある。
 収穫の時期にはとれたての野菜と、近くのスーパーの安いステーキ肉をみんなで食べようと思う。

 人と集まるってどういうことだろう。
 パーティを開いて友達と騒いでお酒を飲んで次の日どっと疲れるってのがここ最近のパターンだったけど、畑作業で集まるようになってからはそういう疲れは無くなったけど同じくらい楽しかったりする。

 小屋をつくるってどういうことだろう。
 毎回その時々にやりたいこと建てたい小屋をつくるけど、用途のない空っぽな箱になることもあるし、壊すのが惜しいくらいお気に入りになることもあるし、何かのために作ることもあったし、作ってから使い方が分かることもある。

・platform: 演台、舞台、台
・depends on: 依存する
・根拠 :rationale, basis, foundation
・基盤: foundation, basis
・attribution: 帰属

 
 ・作業記録
 なんやかんやで去年(2020年)の11月からInahouse 2021の準備を始めた。今住んでいる土浦の家は優しい大家さんが畑も一緒に貸してくれているので、今回の小屋はその畑の隅っこに建てることにした。

2020.11: 畑といっても作業をさぼりっぱなしなので、セイタカアワダチソウの群生の壁に立ち向かうところから始めた。実は見るに見かねた隣の畑のおじさんが畑エリアの半分ほどを刈ってくれていた。草刈りはじめは「ヘビはいないか」「足首が出ていて被れないか」なんて調子で恐る恐る始めた。30分も経つと逆に雑草たちも一生懸命生きていたんじゃないかと可愛そうに思えてきた。さらに30分経つといつの間にか、我を忘れて根っこから草刈り機の刃を当ててまるでゲームをプレイするようにゴリゴリ刈っている自分に気が付いた。なるほど人間の集中力も恐ろしいなんて考えながら草を刈りきった。

 畑の隅っこに小屋を建てるというのもなかなか考えもので、まずコンクリなんて流し込んだら処刑ものだなと思った。取り返しがつかないことになりそうな雰囲気がプンプンしますから。取り返しがつくものにしなきゃいけません。”小屋”って言葉を使うようになった時からずっとそう思っていた気がする。

2020.12-2021.1: とはいっても草が生える度に重労働をするのはマッピラなので、防草シート(水は通すけど光は遮る黒いシート)を張った。水平をとって土台となるコンクリートブロックを置いて基礎とした。その上にツーバイ材を買ってくるたびに並べてウッドデッキにして寝っ転がった。冬でも日向ぼっこは気分がよい。

 このころは、サウナとプールでもつくろうかなとか、長い(10mくらい)長方形に組んだウッドデッキのカタハジを自分で一人で作って、逆サイドに友達が来た時にあーでもないこーでもない言いながらワークショップ的に作ることにしようかななんて計画していた。つまり、作りながら用途を考えていた。

2021.2: 友人や後輩やその友人が畑でもしたいなってことになり、それぞれ区画を分けて、好き勝手に耕し好き勝手に植えた。みるみる畑になっていった。草を刈ったかいもある。神経質な奴、パワーで押す奴、まじめな奴、せっかちな僕、それぞれペースや手の入れ方は違うけれど作業の合間に周りを見渡すのが楽しい。Inahouse 2021、今回の小屋はキッチンにすることにした。カセットコンロや湯沸し器、シンクをジモティーで買って、板を床と平行に取り付ける。棚だろうが作業台だろうがキッチンに床と平行な板たちがあると良い。

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tweet
3/11
Ryo Inaba 稲葉諒 @ryo1789·20分
10年前の今日は大学入学前の春休み。 小学校の友人が肺気胸で入院していたので川崎の病院に別の友人たちとお見舞いに。電柱が爆揺れし、病人を残してお見舞い組で自転車で辺りをパトロールに行き、病院に帰ってから津波の映像をみんなで見た。「ヤバいのでは」とだけその場で共有した記憶。
Ryo Inaba 稲葉諒 @ryo1789
取り返しがつかない匂いがプンプンして、とりあえず取り返しがつくことからすすめようって責任感のない高校生と大学生の間だった僕は思っていたのでしょう。 "小屋"って言葉を使い始めて、Inahouseを始めた頃のことを思い出します。 いつ壊れてもよいものをつくり続けるって態度は未だに大きくある。
午後9:04 · 2021年3月11日·Twitter for iPhone
Ryo Inaba 稲葉諒 @ryo1789
Inahouse 2021を整理しながら、2011のことを思い出す。 Inahouse Project 2011-2050 ちょうど1/4,人間で言うと成人式くらいでしょうか。 例えば"小屋"は"取り返しのつくもの"


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