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ちょっと気になる、減農薬の「減」のこと

先日終わったビニールハウス張り。この中で育苗作業が始まるのですが、今回は農薬について少し踏み込んで書こうと思います。

少し前のこの記事にも書いたのですが、稲ほ舎がいう減農薬の「減」っていうのは、何を、どこまで減らしているのでしょう。

減農薬の「減」について

稲ほ舎の減農薬米「銀シリーズ」は、農薬をなるべく使わずに育てています。

なるべくって、すっごくあいまいな表現ですよね(笑)

発送や店頭でのお渡しの際に、お米の袋の裏に貼っているシールには
有機肥料90%、殺虫剤不使用と書いてあります。

もう少し詳しく書くと、殺虫剤、殺菌剤、植物成長調整剤などお米に使用する農薬は一切使っていません。

唯一使っているのが、除草剤です。

農薬とは

農薬は用途別に10種類ほどあります。お米は果物などと比べると、害虫が少なく、農薬を使わずに育てやすい植物ではあります。

一般的にお米づくりに使われるのは、殺虫剤、殺菌剤、植物成長調整剤、除草剤の4種類。

なんだか漢字がいっぱいで難しい…と思うかもしれませんね。

洋菓子の中にケーキやクッキー、マフィンがあるように、農薬というカテゴリーの中に、殺虫剤、殺菌剤、植物成長調整剤、除草剤があるとイメージしてもらうと、分かりやすいかもしれません。

稲ほ舎の減農薬米で使っている農薬は、除草剤だけ。

他の農薬はなくせても、なかなかゼロにするのが難しい除草剤。
なぜそこまで必要なのでしょうか。

除草剤の必要性

除草剤は、田植え前の田んぼの中に1回。
田んぼの周りには4月、6月、8月の3回まきます。

多く感じるかもしれませんが、慣行栽培に比べると除草の回数は少なく、全体では約73%の減農薬となっています。

(ちなみに慣行栽培とは何か?と気になった方は、こちらを読んでみて下さい↓)

実は、慣行栽培の意味とは何かを明確にする基準や規定はありません。「慣行」という言葉は、「以前からの慣わし(ならわし)として行っていること」や「普段から習慣として行っていること」を表します。つまり、国や自治体、JAの指導に沿って、法律に則って農薬や肥料を正しく使用し、多くの農家が当たり前に行っている農業そのものが慣行栽培であるといえます。

一方、有機農業は「有機農業の推進に関する法律」(以下、有機農業推進法)で定義されています。特別栽培はその言葉自体の定義はないものの「特別栽培農産物に係る表示ガイドライン」(以下、特栽ガイドライン)で定められた農産物を生産する栽培方法と定義づけできます。

慣行栽培とは、これらの「これまでのやり方とは違う」特別な農業と対比するため、便宜的に生まれた言葉です。

https://minorasu.basf.co.jp/80357
minorasuより

減らすことができても、ゼロにすることがなかなか難しい除草剤。

その理由は大きく2つあります。

1つは人手不足です。
農薬を使わず育てたお米は、労力をかけて、人の手をかけて除草をしています。


人の手で全部やった方が環境にも、生き物にもやさしいです。
でも現状、稲ほ舎の田んぼメンバーはたった5人。

ディズニーランド1個分、畳にして1800畳分以上の広さの田んぼを、6か月間、草が生えないように除草し続けることは、残念ながら現実的ではありません。

日本人の主食であるお米を、育てて、食べて、後世に繋げていくこと。生き物に配慮しつつも、除草剤を使わないと、今いる人数では田んぼの管理ができない。

だから、なるべく除草剤を使わずに作る
それが今の稲ほ舎の精一杯なのです。

もう1つの理由は、自分たちの畑で除草を行わずに虫や病気が大量発生した場合、稲ほ舎以外の隣接する田んぼにまで、被害が拡大する可能性があるからです。

稲ほ舎で作っている金シリーズは、農薬を一切使っていませんが、他の農家さんの田んぼと隣り合わない場所で栽培しています。

除草と一言でいっても、それに付随するたくさんの要因があり、なかなか一筋縄ではいかない。そんな現状です。

じゃあどうするか?

では、そのまま現状維持でいくのか?というと、そうでもありません。あきらめたくなくて、いろいろと模索しています。

やはり人手が必要なので、会社の枠を超えての連携を進めています。ここについては、また別途書きますね^^


ここからは個人的な思いになります。

農薬に対する考え方は、自分がどの環境にいるかによってかなり変わってくると思います。

小さい子どもがいて、食事に気を遣っている方なら、農薬を使ってほしくないと思うかもしれません。

農薬の危険性や、生態系に関しての知識をお持ちの方なら、農薬に対しては後ろ向きのスタンスになると思います。

私自身もどちらかといえば、自然な方法で育てられた食べ物を口にしたいと思っていますし、そういう選択をしてきたつもりです。

だけど生産者の思いや考えを知ると、それだけでは割り切れない何かがあるのだと思うようになりました。

まだまだ知らないことはたくさんありますが、知ってしまった以上、知らない状態には戻れません。

だけどそこであきらめるのではなく、じゃあどうする?どんな選択をしていく?自分だったらどうしたい?と、問い続けていくことが大切なのかな、と思っています。

今回はちょっと踏み込んだ内容になりましたが、読んでくださった方が少しでも、お米のことを考えるきっかけになったら嬉しいです。


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