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"自宅を売るということ"を真剣に考えてみる

こんにちは!稲垣ヨシクニです。
KIZUNA FACTORYという不動産会社の代表で、「東京不動産大学」「リノ内見。」という二つの不動産YouTubeチャンネルを運用しています。

今日のテーマは家の「売却」です。
いい物件を買うことばかりについ目が行きがちですが、
今日は「自宅を売るということ」について真剣に考えてみましょう。


自宅を購入することは投資では無い。

これは私の自宅に関する根本的な考えの一つです。

詳しくは、以前のnote「マンションを買うことは資産形成なのか」を参照していただけますと幸いです。


では偶発的に今住んでいるマンションに「含み益」が出たとき、どの様に考えると良いのでしょうか。

実際、ある時期に東京でマンションを購入された方で含み益が出ている方は珍しくありません。バブル崩壊後、2000年前後の不動産ミニバブルで若干相場が上向き、2008年リーマンショックと2011年東日本大震災で相場が底値を記録、2013年オリンピック決定後現在まで中古マンション市場の相場は上がり続けています。すなわち、2008年~2013年頃の新築物件を当時購入されて今住んでいる方は含み益が出ている可能性が高いでしょう

例えば勝どきにあるTHE TOKYO TOWERSという物件は2008年の新築時坪190万円程度で売られていたが現在は380万程度で流通。
20坪66㎡程度の2LDKを3800万円で購入した方は7600万円で売れるということに...

スクリーンショット 2021-06-18 午後16.28.25 午後

(上から坪393、395、374となっています。 2021年6月18日現在)


では、含み益が出たからいますぐ売って買い替えると得なのでしょうか。
残念ながら、実際はそんなに単純ではございません。


【2006年に30歳で坪200万円20坪の物件を購入して、2021年現在(45歳)相場が坪300万円のケース】


(※売却は減価償却不問で諸経費入れず税率20%で計算、35年ローンの借入金利は常に1%、完済時残存価格は2000万円想定)

上記の条件で①〜④とケース分けをし、45歳から80歳までの期間でお金がどのように動き、どのような結果になるのかを整理してみました。

特に④は驚きの結果になっていますのでぜひ最後までご覧ください。


①同じマンションを持ち続け、住み続けた場合
・45歳~65歳における月のキャッシュフロー:−113000円
・65歳~80歳における月のキャッシュフロー:0円
・持ち出し:2712万円(=113000*12*20)
・残存価格:2000万円
合計:-712万円(=-2712+2000)


②売却と同時に買替
・4000万円で買ったマンションを6000万円で売却
→売却益2000万円(うち所得税400万円)
・2021年現在時点での4000万円のマンションの残債:2400万円
・一軒目のマンションを売却後、手元に残ったお金
→3200万円を貯金(売却価格-残債-所得税)

そこから6000万円で新たに二軒目のマンションを35年ローンで購入
・45歳~80歳における月のキャッシュフロー:-16万9千円
・持ち出し 7098万円(=169000*12*35)
・一軒目のマンションを売却後、手元に残ったお金:3200万円
・二軒目の残存価格:2000万円
合計:-1898万円(=-7098+3200+2000)

やはり、高い時期に売って高い時期に購入してしまうと単純計算でキャッシュフローはマイナスになる。
さらに収入が無くなる65歳以降15年に渡って住宅ローンの支払いをしなければならないので得策では無い。


では相場が下がってから購入するパターンはどうでしょうか。

③2021年に売却、5年賃貸で過ごし、相場が下がってから購入
(賃料15万円、2026年坪250万円30年ローンで購入)

・4000万円で買ったマンションを6000万円で売却
→売却益2000万円(うち所得税400万円)
・2021年現在時点での4000万円のマンションの残債2400万円
・一軒目のマンションを売却後、手元に残ったお金
→3200万円を貯金(売却価格-残債-所得税)

・売却後5年間を賃貸で過ごす
45歳~50歳における月のキャッシュフロー:-150000円(賃料)

そこから6000万円で新たに二軒目のマンションを購入
・50歳~80歳における月のキャッシュフロー:-160000円
・持ち出し:6660万円(=15*12*5+16*12*30)

・一軒目のマンションを売却後、手元に残ったお金:3200万円
・二軒目の残存価格:2000万円
合計:-1460万円(=-6600+3200+2000)

相場が下がっても賃貸に住む5年間で掛け捨てのキャッシュフローが発生。
また、完済年齢を考慮して住宅ローンは30年まででしか組めません。
さらにいえば、5年後に相場がさがる保証もないので危険です。

ここまでを考慮すると、
・実家等キャッシュフローが低い、無いしはゼロの家に引っ越す
・社宅や住宅補助による恩恵がある家に引っ越す
等の特殊事情が無いと売却はほとんど無意味と考えられます。


では、どの様にすれば意味のある売却にすることができるのでしょうか。

④売却と同時に買替、一軒目売却後手元に残ったお金を長期運用
・4000万円で買ったマンションを6000万円で売却
→売却益2000万円(うち所得税400万円)
・2021年現在時点での4000万円のマンションの残債2400万円
一軒目のマンションを売却後、手元に残ったお金
→3200万円(売却価格-残債-所得税)
→その3200万円を利回り5%で35年間運用

そこから6000万円で新たに二軒目のマンションを35年ローンで購入
・45歳~80歳における月のキャッシュフロー:-16万9千円
・持ち出し:7098万円(=169000*12*35)
・3200万円を年利5%で35年間運用した結果:1億7650万円
・二軒目の残存価格:2000万円
合計:+1億2552万円(-7098+17650+2000)

住宅ローンの調達金利は1%で、一軒目の売却で手元に残った3200万円を貯金するでもなく次の購入に充てるでもなく、年利5%で運用できれば差引はプラス。つまり、売却益を長期運用することで資産は膨れ上がります。

このパターンは老後の住居は確保されており、現金資産も潤沢という状態。
至れり尽くせりですね。

利回り5%程度の資産運用の例を挙げると、
・インデックス投資
・ETF投資
・国内不動産投資
・海外不動産投資

などなど。
これからの10年では、ロボアドバイザー投資なども考えられるでしょう。
(AIが発展しすぎるとみんなが同じ行動をして利潤がゼロ、なんてことも考えられますが。笑)

インデックスの個別銘柄で言うと、「eMAXIS 全世界株式インデックス」とか。この10年間は株高だったので、年5%どころの利回りではないですが。気になる方はこちらを参考にしてください。

ローリスクローリターンでも、35年という長期で複利の力を利用するととんでもない金額になるのです。


まとめ

以上を表にするとこのように。

スクリーンショット 2021-06-18 午後20.08.38 午後

ポイント
・65歳以降も住宅ローンの支払いが続くのは大変
・相場が上がっている状況で住宅を売ると、同じく上がった状況での購入に
・いつ相場が下がるかは誰にもわからず、そこを期待するのはリスク
・住宅ローンの金利以上の利回りで長期的に資産運用することがお勧め

単純に「今相場が高いから売りましょう。」という不動産会社の営業を鵜呑みにしてしまうと損をすることも。得られたキャピタルゲイン含めてキャッシュの出口を見据え、長期的な資産ポートフォリオを考えて行動しましょう。

最後に

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