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あんなに嫌いだった地元を、なぜ残したいと思うようになったのか

次のデータ通りに人口減が進めば、僕の住む長野県の山村:泰阜村は、あと30年もしないうちに限界集落を振り切って、立ち行かなくなるだろう。

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出典:GD Freak!

若い頃はそれでもよかった。むしろ「平成の大合併で近隣の市町村と合併してくれればよかったのに」と住民投票で合併を選ばなかった民意を妬ましく思った時期もあった。

僕は地元が嫌いだった

僕が人前で「どこの生まれ」かを言えなくなったのは高校に入ったときからだ。

高校というのは近隣の市町村から生徒が集まる。それまで”どこの生まれ”など気にしたこともなかった僕は(中学までは同級生はみんな地元だから)、ここで初めて「生まれをバカにされる」という衝撃を受ける。

 ・村なの?
 ・村民かよ~(笑)
 ・信号無いんでしょ?
 ・コンビニある??

高校生のたわゴトなので、悪気があるわけじゃない。でも自己紹介をした途端に地元をディスられるって、どんな気持ちになるか想像したことがあるだろうか?自分という人間性を否定されたような真っ暗な気持ちになる。

たしかに、わが村には信号もコンビニも無い(笑)今なら笑って話せる地元の特徴も、多感な時期には「自分が何か悪いことをしてるんじゃないか」という後ろめたさで胸に刺さった。

以来僕は、地元の話を避けるようになり、とにかく地元から離れることが第一の目標になった。地元へのコンプレックスはこのあと数十年つづく。

おかげで、住んでいる場所のことで悲しい思いをしている人の気持ちは痛いほどわかる。

田舎をバカにする田舎モノ

面白いもので、僕のような山村出身者を小ばかにしている人は、たいてい田舎都市の人だ。僕の地元で言うと隣の飯田市の住民だ。(もちろん一部の人だ)

悪気はないんだろう。市民だろうが、その他の町村民だろうが、「市かそれ以外か」の他に何も変わりはしないんだから。「市民であること」に優越感を感じている一部の人が、町や村を「田舎」とバカにする風潮が、当時は確かにあった。

そんな風潮があった原因は今となってはどうでもいいけど、人の宿命(※)である出生地をネタにしてケチをつけるというのは、田舎の地域性なんだろうか。なんだか侘しい考え方だ。

※注
 変えられないもの・・・宿命
 変えられるもの・・・運命
と思っています。

小さな都市の人たちもその人たちなりに、大都市へのコンプレックスを抱えていたんだろうと思う。そのモヤモヤのぶつけ先が、「自分より田舎モノ」だったようだ。なんとも狭い世界の話。

じゃ、そのコンプレックスを感じている大都市の人は、田舎をどう思っているか?

答えは「うらやましい」だ。田舎であるほどうらやましがる。(例外はもちろんあるけれど)

そこに僕は救われた。

小バカにされ、価値が見えず、早く出ていきたいと思っていた自分の地元を、「住んでみたい!」「宝の山だ!」「うらやましい!」と言ってくれるのは、ほとんどが都会に住む人たちだった。

僕の地元の価値が見える人たち
僕の地元の価値を感じられる人たち
僕の地元を愛してくれる人たち

僕らのように地元にコンプレックスを抱く人間は、こういう人に囲まれなきゃいけない!!そう思えた。

自分の地元の価値に気付けると

自分の周りに、徐々に田舎好きな人間関係ができてくると、自分の中の地元への気持ちに変化が訪れる。

 ・地元をもっと知りたい
 ・田舎をもっと楽しみたい
 ・この村でワクワクして暮らしたい

そして一番は「子供たちが自慢できる地元にしたい」という思い。

僕は地元をバカにされても言い返せなかった。そんな地元で子供たちは今も生きている。大きくなれば価値観の違う人たちが、それぞれの生まれに対しても色々言ってくるだろう。その時に「俺の地元、すげーんだぜ?」と胸を張って言える。そんな未来を作りたいと思った。僕が高校生の時に感じた嫌な思いを、この地に住むこれからの子供たちに味合わせないために。そして、僕自身も地元を自慢できるようになるために。

冒頭のデータの通り、子どもたちが大きくなった時に地元が無くなってるんじゃ切なすぎる。例え学業や仕事で地元を離れ、帰るつもりが無いとしても、「いつでも帰れる場所がある」ことには大きな意味があると思う。地元に帰れる状態を保っておくことは、僕ら親世代のつとめの一つなんじゃないかと思い始めた。

こんな個人的な理由で地方創生に興味を持ち、自分のやり方で地元をブランディングしたい!と思ったんだ。

僕の地元愛はどれほどのものなんだろう

「地元をブランディングしよう!」は、かなり思い付きの部分が多い。”地元愛”と呼べるほど地元の価値を信じ切れている自信もない。

ただ、都心からこの山村に遊びにきてくれたり、移住者の話を聞くと、この村に本当に価値を感じてくれているのがわかる。

でも、外から見える価値って、ずっと住んでる僕らや地元の人にはわからないんだよね。だからその「強み」や「魅力」をまずは言語化したい! = ブランディングと考えてる。要するにこの村を愛してくれる「ファン」を作りたいんだよね。そしてそのファン1号は村の人たちだよね。

まずは、今住んでる僕らがハッキリと地元の強みを認識し、それを「誰に」「どうやって届けていくのか」を考え・行動することから始めよう。

まだ一緒にやってくれる仲間はいない。だから気楽だ(笑)

でも仲間が欲しい。僕らの地元の未来の話だから。

僕の本気度がどれくらいのものなのかも、自分自身で測りつつ、今できることを少しずつ進めよう。

わが子たちが高校に入るまでのあと10年で、少しでも前向きな結果を出していきたいな。

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