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料理好きにもおすすめ! 水産加工の現場

南房総市の外房に位置する千倉は、市内最大の人口を誇るエリア。行政施設が多く、経済的な中心地でもあります。かつては漁業が盛んで、現在では養殖にも力を入れています。

水産加工の社長のなかには、「漁業が衰退した現在、千倉を支えているのは水産加工だ」とおっしゃる方も。数カ月前、そんな千倉の水産加工の現場を取材・見学させていただきました。

千倉水産加工開発協同組合 千倉水産加工販売の安達利昭さんが「千倉の現場は全員が70代」とおっしゃるとおり、高齢化が進んでいます。ただし、外国人技能実習制度が活用され、若い人も活躍。中国からが6割・ベトナムからが4割となっています。基本3年間の受け入れですが、安達さんいわく、「本人が仕事の継続を望む場合、あと2年は日本人と同様の労働者として働いてもらいます」とのこと。2019年に施工された「改正入管法」で新設された「特定技能1号」に飲食料品製造も含まれることから、「相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人」は在留期間が「通算で上限5年まで」認められるようになったからです。

技能実習では、講習(座学)が終了すれば雇用関係が結ばれ、労働基準に関する法制度も適用。そのため、年次有給休暇の制度に関しても、半年を経れば10日間取得できます。

「ただし、実習生の出身国内のブローカーに100〜200万円の借金を背負わされてくることもあり、こちらの残業がない仕事を辞め、残業代が稼げる仕事を求めて失踪してしまう人も存在する」そうです。おそらく安達さんは、残って働き続ける仲間から、そのような話をお聞きになったのでしょう。

さて、現場では、冠婚葬祭や、パルシステムをはじめとする生活協同組合向けの水産加工品をつくっています。中心となるのは、魚介類を塩漬けしたり日干ししたりして加工した塩干物(えんかんぶつ)です。あじ開きやさばの干物、だしやトッピングに利用するさば節など。また、しめさばを扱う割合も高いそうです。


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加工原料の冷凍物としては一般的な、頭と内臓を取り除いた状態の「ドレス」。左右両方に骨がつくように切るが、やわらかいと切りづらいので凍結させている。写真は、さけ。


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「ドレス」の状態のさけを、さらに切り身にしていく。


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作業中の実習生たち。


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塩とごまとで加工したノルウェーのさば。


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みりんにつけ込んださば。


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塩漬けにしたさば。水温は2℃。


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ノルウェー産は脂ののりがいい。国内向けのものは、すべて骨を抜く。


「ひととおり覚えるまでに、早い人でも1年2〜3カ月は、かかりますね。クライアントにより、たとえばみりんでも使用する成分が異なります」と、安達さん。

魚をさばくなど、料理の下ごしらえのような感じの作業内容なので、料理好きにも向いているかも。関心をおもちの方がいらっしゃれば、短期間のバイトなどの相談も受けてくださるとのことです。

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