長い春休みのためのブックガイド


3月2日より、多くの学校が休校となりました。いもいも小論文東戸塚教室では、休校直前の授業で、生徒たちにこの長い休みの間に読みたいおすすめの本を選んでもらいました。

本人のコメントとともにどうぞ。

まずはTKくん

軽妙な場面転換と躍動的な展開に引き込まれる。続編も出版済み。同じタイプのものだと、宮内悠介『あとは野となれ大和撫子』なども


魔法が存在する十二世紀ヨーロッパにおいてのミステリー。ミステリーと魔法は、本来相容れないものだが、魔法をミステリーの中にしっかりと組み込んでいる。また謎解き以外の場合もとても充実したもので、とても完成度の高い作品だと思う。


個としての人間の自我をテーマにしたディストピアSF。ディストピアSFとして知られているのは『1984年』『華氏451度』など、海外のものが多いが、この小説はそれに引けをとらない面白さだ。特に心理描写の巧みさとテーマに対する物語の展開の仕方は圧巻。同著者の『虐殺器官』『屍者の帝国』も名作。


未来の人類の宇宙戦争を描いたスペースオペラ。本編10冊、外伝5冊におよぶ大作。戦争自体の描写はもちろんのこと、有能な主人公に対する嫉妬や、都合の良い上役に苦しめられる主人公の葛藤などが、安易な戦争ものとは一線を画するリアリティをもたらしている。また、漫画が連載中であったり、アニメが新しく作られたりと、今、とても熱い小説である。


題名の通り1200年前期における少年十字軍をテーマとした作品。テーマがテーマだけに明るい物語とはいかないが、少年少女たちを中心とした庶民の希望と、それを利用する商人や聖職者などの思惑がとても細やかに描写されていて興味深い。同著者の『海賊女王』と共に歴史小説としての最高の作品であると思う。

『Fate/stay night』 奈須きのこ
万能の願望機である「聖杯」の奪い合いを描いたノベルゲーム。正直これより文学的な本はいくらでもあるだろうが、格好良さの一点であれば本書を超えるものは皆無であろう。聖杯を奪い合う「マスター」と呼ばれる7人の人間と、彼らがそれぞれ召喚する、過去の英霊が昇華された存在であるサーヴァントたちの戦いや、その思いは筆舌に尽くしがたいほどに熱く、引き込まれる。
また、アニメやゲーム、映画など多数の作品が本作を原点に生まれているので、一度好きになれば1つの完成された世界を体験できるのも大きな魅力である。
同著者の『空の境界』と共に格好良いものを感じたいときはこれ、と断言する。


続いてTRくん

バトルロワイヤルみたいな命がけのゲームに主人公が参加する。映画もある。


有名どころ。全国の【佐藤さん】が鬼ごっこをする。鬼に捕まったら死ぬ。


日露戦争を日本側の視点から描いた長編


父が元過激派な主人公の引越し先の沖縄での青春


そしてHRさん


(中1〜)
ピアノコンクールとはこういうものだったのか、と物語を読んでいるだけでわかる本
それぞれのコンテスタント達のコンクール中の生活、才能。



(小5〜)
1人の少女がとてもすてきな人々が暮らしている下宿で、2ヶ月間過ごすお話。


(小4〜)
絵が可愛く、面白い。映画でやっていた「チャーリーとチョコレート工場」とは少しだけ内容が違うが、ワクワクするところがあって面白い。



(小5〜)
キャラクターたちの愉快で楽しい冒険の物語がつまっている。

(小4〜)
主人公である魔女のキキは、13歳(?)の時に、家をでて、海を渡り、コクリコという街にたどり着いた。あたたかい町の人々に見守られ、新米魔女のキキがゆっくりと成長をしていく物語。


(小1〜 『太陽をかこう』もあります)
木の書き方を教えてくれます。木をかく時には必ず規則があります。その規則はどんな形をしていたとしても規則は規則です。

(小6〜)
多分、この本が私が初めて読んだエッセイだと思う。こんなに正直に自分の体験談を書き、そして「こんなにも面白い本があるとは!」とこの時、私は、本を読みながら、驚き、笑っていながら、強く思った。


最後に、授業がなくなってしまった私が今読んでいる本&読もうとしている本です。編集者時代はとにかく新刊を読むことに追われていましたが、今は、むしろ少し前に出た本をじっくり読みたい気持ちです。

タイトルから想像されてしまうような、スピリチャル本ではありません(笑)。身も蓋もない言い方をすれば「偉人の伝記ダイジェスト」ですが、語り方がいいので楽しんで読めています。著者は、ニューヨーク・タイムズの名コラムニストだそう。


小川さやかさんを一躍話題の人にした本です。やっと読める!という感じです。タンザニアのマチンガたち、「いもいも男子」っぽくもあります。

名著と言われる本も、実は結構読んでいません。子どもたちからのおすすめ、今日から読み始めます。


パプアニューギニアの先住民の村の生活を言語人類学者が追ったルポルタージュ。好物です。

『プルーストとイカ』の著者の新作です。『本は読めないものだから心配するな』という 管啓次郎さんによる名著がありますが、本来的に人は「本を読めないもの」なんだなぁ、としみじみ。まあ、ゆっくり読み進めてみます。

高楼方子さんの初の文芸作品だそう。読みたい!

話題作でしたが、救いのないお話みたいで、読みたくないなぁ、でも読まなきゃなぁ、とずっと思っていました。観念して読もうかと思っています。

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