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「赤と青のエスキース」(青山美智子)

こう来たか。
帯に「仕掛けに満ちた傑作連作短編」と書いているとおり仕掛けがたっぷりでした。

青山美智子さんの本はいろいろと読みましたが、この作品は他の青山さんの本とはちょっと違う雰囲気を醸していたのでなんとなく後回しになっていました。

しかし、他の作品とは少し毛色が違うもののやっぱり青山さんワールドでした。割と短編ですがいつものようにメッセージが詰め込まれていて良い本でした。

50歳を過ぎても恋愛をして活き活きと生きる人。絵描きにはなれなかったけど、額縁アーティストになる人。モノを作った人が凄いんじゃなくて出来上がったモノが凄いということ。夢は生きるうえで大事な要素ということ。

僕自身、登場人物同様に50歳を過ぎてしまいましたが、恋愛、生き方や仕事、職業についてのメッセージが込められていて励まされる気持ちになりました。

全体の構成や設定も抜かりなく、最後のエピローグで解明される物語の完成度の高さに拍手です。

ちなみに、他の青山さんの作品と違う雰囲気を醸しているのは装丁デザインかもしれません。
例のミニチュア作品ではなく上品な雰囲気の他の作品同様にストーリーとリンクしておりまして、本を読みながら途中で時々装丁(カバー)を見て、「あーこれがアレか」などとニヤニヤしてしまうのでした。
本当に隅から隅まで凝っていて楽しめました。

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