マガジンのカバー画像

読書記録

28
感想文を書くのはなかなか苦手なのですが極力書くようにしています。
運営しているクリエイター

#小説

リカバリー・カバヒコ(青山美智子)を読んで

青山美智子さんの新刊「リカバリー・カバヒコ」を読みました。 公園の古びたカバの遊具、自分の怪我とか病気とか治してもらいたいところを触ると回復するという。 ※以下若干ネタバレあります。 とあるマンションに住む人々で綴る5つの短編集。 中学のときは優秀だったが高校に入って成績不振に悩む高校生は「正直であること」の大切さに気づき、 ママ友たちとの人間関係に悩む元アパレル店員は関係づくりが大切なのではなく「大切なことははっきりと言葉にすること」と気づき、 ストレスで休職中の女

「ただいま神様当番」(青山美智子)を読んで

青山美智子さんの本はどれを読んでも物語の構成が面白く、暖かく、生きるヒントが得られます。また構成がよくできていて完成度の高さも魅力です。 順不同で読んでいるのですが、今回は2020年の作品「ただいま神様当番」。 5人の登場人物による短編集ですが、ある落とし物を拾うことによって普通想像するような姿とは全く違う神様が登場します。普通は神様に願いごとを頼みたいところですが、この神様は逆に人間に「お願いごと、きいて」と言い出します。その願い事こそが登場人物の課題となるのですが・・・

オオルリ流星群(伊与原新)

久々に小説を読みました。僕の好きな伊与原新さんの「オオルリ流星群」です。 高校三年の夏、文化祭の出展のために空き缶で巨大なタペストリーを作った仲間たちは年を重ねて四十五歳の中年になっていた。 その中の一人は国立天文台の研究員を経て、高校時代の地元に戻り天文台を作るという。当時の仲間たちは28年ぶりに再会し、再び高校の時にタペストリーを作った時のように暑い夏の製作が始まる。 私設天文台を作るという夢を持つ彗子、親を後を継ぐ薬局店員の久志、高校教師の千佳、会社を辞めて弁護士

「チルドレン」伊坂幸太郎【読書録】

初めて読了した“伊坂幸太郎”作品。 というのも昔、図書館で借りて途中で止めた本があったからだ。 そんなことはどうでもいいのだけど、読書好きの人々の中では“伊坂幸太郎”の本は評判が良い。 それならば一度は何か読んでみようと手に取ったのはこの本だった。 伊坂幸太郎の作品は長編が多い(?)ようだが、この作品は少し異色の短編ということだったが読みやすそうだったので。(異色と誰が書いていたかは忘れたが) 今さっき読み終わったところだが、巧妙な仕掛けがたくさんって面白い。 こんな本

「生きるぼくら」(原田マハ)【読書録】

子供の頃から学生時代、そした大人になって、未来へ・・・そんな壮大なテーマでは無いと思うが、この本を読みながら僕は楽しかったことも、苦い思いや辛い思いが湧いてきた。そして過去から近い未来へ思いは巡り、身の周りの家族や自分のことまでついつい憂いてしまう自分がいた。 ただし、この本はそんな重い内容ではない。 原田マハさんの本を読むのは2冊目。(前回は「キネマの神様」) 今回はあまり内容を知らないまま、評価が高いという安直な理由で読んでみたが、今回も読みやすくて面白かった。緩急がつ

とんでもない設定!ヤクザと出版社経営。~文庫「任侠書房」(今野敏)~

タイトルは「任侠書房」・・・ なんだこの極道と本の関係は? 近頃本屋をうろうろしていると文庫コーナーや映画化コーナーなどで“これ系”のシリーズが並んでいる。 どうやらこの任侠シリーズの「任侠学園」ってのが映画化(実写)されているようだ。 現在4作発売されているが、映画化された「任侠学園」を選ぶか、やはり順番通り一作目から読むか・・ と悩んだ結果1作目の「任侠書房」を選んだのであります。 内容は今どき珍しく?義理と人情の任侠道をわきまえたヤクザが、破産寸前の出版社経営を引