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読書記録

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感想文を書くのはなかなか苦手なのですが極力書くようにしています。
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#青山美智子

リカバリー・カバヒコ(青山美智子)を読んで

青山美智子さんの新刊「リカバリー・カバヒコ」を読みました。 公園の古びたカバの遊具、自分の怪我とか病気とか治してもらいたいところを触ると回復するという。 ※以下若干ネタバレあります。 とあるマンションに住む人々で綴る5つの短編集。 中学のときは優秀だったが高校に入って成績不振に悩む高校生は「正直であること」の大切さに気づき、 ママ友たちとの人間関係に悩む元アパレル店員は関係づくりが大切なのではなく「大切なことははっきりと言葉にすること」と気づき、 ストレスで休職中の女

「ただいま神様当番」(青山美智子)を読んで

青山美智子さんの本はどれを読んでも物語の構成が面白く、暖かく、生きるヒントが得られます。また構成がよくできていて完成度の高さも魅力です。 順不同で読んでいるのですが、今回は2020年の作品「ただいま神様当番」。 5人の登場人物による短編集ですが、ある落とし物を拾うことによって普通想像するような姿とは全く違う神様が登場します。普通は神様に願いごとを頼みたいところですが、この神様は逆に人間に「お願いごと、きいて」と言い出します。その願い事こそが登場人物の課題となるのですが・・・

「赤と青のエスキース」(青山美智子)

こう来たか。 帯に「仕掛けに満ちた傑作連作短編」と書いているとおり仕掛けがたっぷりでした。 青山美智子さんの本はいろいろと読みましたが、この作品は他の青山さんの本とはちょっと違う雰囲気を醸していたのでなんとなく後回しになっていました。 しかし、他の作品とは少し毛色が違うもののやっぱり青山さんワールドでした。割と短編ですがいつものようにメッセージが詰め込まれていて良い本でした。 50歳を過ぎても恋愛をして活き活きと生きる人。絵描きにはなれなかったけど、額縁アーティストにな