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9月第2週〜海王丸〜

はじめに

 今回はこれまでのおでかけ記録とは違う、これから乗船する人への情報をメインとして書くものにしようと思う。というのも私が海王丸への乗船を悩んだ際に詳細な情報が出てこず悩んだからである。もちろんネタバレしないように分けるので安心して読んでほしい。その特性上ネタバレ無しの前半で良さを伝えるのは難しいのでまず初めに断言しようと思う。

海王丸の体験航海は最っ高に楽しいので悩んでも悩まなくてもぜひ乗船してほしい!!

これから乗る人へ

乗船までの流れ

 私の場合9月6日からの乗船で8月20日に乗船決定のメールが届いた。次の日には速達レターパックで必要書類やテキストが届きこのタイミングで金額の内訳が分かることになる。私たちの回は9000円×4泊だったのだが20代の学生は学割適用により2割引されたのでお得に楽しむことが出来た。ここで持ち物も把握出来たので買い足すことになったのだがこれについては後で書くことにする。このメールから先は医師の診断書が要らない私は誓約書をメールで送り、お金を振り込むくらいで次の動きは当日7時30分頃の集合まで無いことになる。乗船時の動きはネタバレゾーンに書くので内容が気になる人はそちらも読んでほしい。
 ちなみに、定員は10名で募集に対して27名の応募があったと乗船後の話で分かったので割と狭き門ではあるということになる。1番短い日程だったことも関係していると思われ、同時期に乗船していた学生さん達にはこの回は特別若い人が多いと言われた。もちろん年齢も経歴も様々なのでその多様さも楽しいポイントである。

準備物

 乗船が決定すると修学旅行のように以下のような持ち物リストが送られてくる。

・テキスト類、筆記用具
・船内で過ごす用のトレーニングウェア等、運動靴
・衣類(靴下必須)、パジャマ、スリッパやサンダル
・ポロシャツ(必須では無いが暑い時期は許可される。襟付き青系で華美でないもの。ワンポイント程度は可。)
・洗面、入浴具(タオルも)
・軍手、眼鏡バンド(眼鏡使用者)
・健康保険証または写し
・嗜好品(乗船中は禁酒。喫煙は可。)
・消耗品(石鹸、洗剤、歯ブラシ、ティッシュ等)
・携帯電話
・マグカップ(割れないもの)もしくは水筒
・マスク
・必要な人はサングラス、日焼け止めクリーム

 これに追加で貸与品として作業服やヘルメット、寝具が与えられる。船内で着用する帽子は最終的に持ち帰ることができた。
 これだけの量があるともちろんあって便利だったものとなくても良かったものがある。私が追加で持っていったものも含めこの必要不必要は私の感想でしかないので実際に乗船する際には参考程度に考えていただきたい。

・ポロシャツ
▶︎長袖での作業時以外はポロシャツを着用する方が涼しいので替えも含め2枚あると安心であった。ポケット付きにして私はそこへスマホを入れていた。女子は乾燥機があるから取り違えが起きにくいがそれでもワンポイントを自分で付けて分かりやすくしている方はいた。

・スリッパやサンダル
▶︎お風呂と部屋の往復でしか履くことができないので結局靴下を履いて靴を履いていた。私はあまり使わなかった。

・運動靴
▶︎通常履いている靴がスニーカーだったので持っていかなかったが必要なかった。

・眼鏡バンド
▶︎ほとんどの人が付けていなかった。私も持っていったが使わなかった。

・嗜好品
▶︎お菓子やカルピスの原液を持ってきている人が多数。無くても困らないがあってもよかったかもしれない。

・洗剤
▶︎4泊で短かったため下着類を枚数持っていけたことで洗濯が必要なかった。

・マグカップ、水筒
▶︎絶対に水筒がオススメ。部屋がある階で水を汲んで1つ上の階に運んでご飯を食べるのでマグカップだと揺れる船内ではかなり難しそうであった。

・マスク
▶︎付けるタイミングが無かったので日数分持っていかなくてもよかったと思う。

・サングラス
▶︎眩しいがそれだけなので私はしなかった。周りはしている人もしていない人もいた。

・スマホストラップ
▶︎首から下げるタイプを持っていったが安心感があったのでよかった。

・酔い止め
▶︎無くてもよかったかもしれないが安心感のためにこちらも持っていくことをおすすめする。

・ベルト
▶︎支給される服のタイプによっては必要。無くても貸してはくれる。

・ハンガー
▶︎部屋に沢山あるので必要無し。

驚きポイント

 乗船してからは沢山のびっくりがあるが1番はトイレとご飯である。まずはトイレだがこれは自分達でバルブを捻る必要がある。陸やフェリーのように簡単に流すことは出来ず慣れないうちは何度も逆流させたがそれでも慣れはくるものでそのうち上手く出来るようになるので安心してほしい。私が乗船して1番最初に習ったのはトイレの流し方であった。
 次にご飯だが航海中は1日3食+夜食が出て、3食で3000kcal以上あるとても豪華なものだ。だが驚きはそこではなく時間なのである。朝昼は良心的な時間なのだが夜は16時30分からというなんとも早い時間に食べることになる。もちろんこれも22時30分に寝るので意外とお腹はすかない。
 細かい驚きポイントは他にも沢山あるが指導員の方や学生さんが優しく教えてくれるので後はお楽しみとする。分からないことで緊張する方は「絶対怒られないけどなんでも教えてくれる」という安心感を得て楽しんでみてほしい。

乗船記録

 ここからは⚠️ネタバレゾーン⚠️となるので読みたくない方は何枚かの写真を貼る間にページを閉じていただきたい。

海図についての勉強
5日間過ごした部屋
函館での海王丸
青空教室

1日目

初日の動き


 早めの朝7時に港に行くと既に2人いて今思うとぎこちない雰囲気の中これからの乗船を心待ちにする。7時15分には1回目の参加者確認があり25分には乗船が開始された。乗るとまずは部屋に行き用意された服に着替えることとなる。このタイミングで初めて5日間の動きが分かった。この日課予定はスマホで写真を撮っておくと便利である。
 この日は正直先の動きが読めなさすぎて何がなにやらという感じだったのであまり記録が残っていない。覚えているのは隣の部屋の女子学生さん達が時間を見つけて話しかけにきて下さったことだ。彼女たちにはこの5日間何度も優しくしてもらって助けられたので今でも感謝している。この学生さん達に限らず誰もが優しいとても良い環境だったのでそれだけで緊張が解れた。ちなみに初日は同室の方ともまだ打ち解けられずあまり雑談が出来なかったのでひたすらお絵描きをしていた。
 出航準備や乗船式で船内をあちこち移動するのだが船内の説明を受けても全くと言っていいほどマッピングが出来ずに不安になったが、指導員の方が時間の前には部屋の前までお迎えに来てくれるのであまり困らなかった。後半になって覚えた頃にはそれも無くなったので最初は本当にひよっことして扱ってもらっていたことを今では感じる。初日はあまりにも疲れて20時頃には就寝してしまった。

2日目

 2日目からは船内の動きに混ぜてもらうような形で通常の動きが始まる。授業のようなものがあるのだが実際に働いている人に話を聞いて自由に質問ができるので本当に面白くて幸せな時間だった。この日は事務部と無線部の見学を行い実際に厨房や無線室にみんなで入って説明を受けた。如何にして良い質問をしてその人の持っているエピソードや知識を引き出せるかという感じはあるので気になることを探すのが重要だった。
 午後は操練という月に一度の避難訓練のようなものが行われた。事前にこちらはシナリオを貰うので持ち物も場所も分かっていてドキドキすることは無く行えた。この操練の日はご飯にカレーとアイスが出るので特別な日であるという感じがした。この日に当たったのも運が良かったと言えるだろう。
 夜は船橋で当直見学を行った。数字の意味を教えてもらいながら実際に操舵したのは本当に楽しい時間であった。実習生が来てからはとにかく後ろをついてまわって沢山の質問に答えてもらった。海図に書き込んでるもの、レーダー、気象観測、鐘、どれもが最高に面白く分かることの楽しさを味わえるのだ。気象観測は実際に海水を採らせてもらって百葉箱を開けて目盛りを読む。理科の時間に何に役立つのかと問うた答えがここにあって今この瞬間に活きている事実が嬉しかった。定時の鐘を鳴らし報告をし、計器を読んで答え合わせをするという普段絶対にできないこの時間は私がこの乗船期間で1番楽しかった時間である。

3日目

 3日目は日直ということでドキドキの朝から始まった。これは乗ったときに発覚したので特段立候補したとかでは無いのだがこれもまあ貴重な経験であろう。絶対に怒られることは無いからやれる経験はした方が得であるという考えからもやってよかった。同じ研修生にも点呼の声が出ていたことを褒められたのが嬉しくて今でも覚えている。ここら辺から互いの仲が良くなってきて過ごしやすくなっていった。
 この日のメインは浦賀水道の見学である。次席一等航海士の方が船や見える建物、航路の解説をしてくれるという最高のクルージングだった。質問に答えてもらえるからというのもあるがこの方がとても話が上手い方で沢山聞いていても飽きないからというのもある。昨日今日でわかる単語が増えてるから実習生に対する指示を聞き取れるのが面白かった。
 ここからは仮泊となり中ノ瀬という場所に留まるので動きが当直が行われているときとは違うから基本みんな居住区にいて賑やかだった。巡検での動きもお隣の部屋の男子学生さんがわかります?って気にして声をかけてくれたりと本当に優しい。事前に女子学生さんも今日の当直優しい人だから!って教えてくれたりしてもっと長い日数を共に過ごしたかったと思った。そして巡検の後には研修生で大富豪大会を行うことに。年が近いけど自分よりも多くの世界を知っている人と話せることがとても楽しかった。

4日目

 この日は絶望から始まった。前日の朝掃除の時間に行った甲板流しを再度行うことになったのだ。これはヤシの実を持ってわっしょいわっしょいと言いながらしゃがんでデッキを磨く作業なのだがあまりにも身体への負担が大きいので唯一の大嫌いな部分である。もう一生やらないという点があってギリギリいい思い出にならないレベルであった。
 この日の授業では海図に書き込んでの航路決定を行った。当直見学で実習生に話を沢山聞いたおかげでなんとなくのイメージが持てておりスムーズに取り組むことができた。最後に海王丸の現在地を自分で実際に度数を調べ位置を特定し書き込んだ際に筋がいいと褒められてとても嬉しかった。自分でも信じられないくらい綺麗に位置が特定出来たので思わず笑みがこぼれたのは言うまでもない。
 午後には展帆体験を行ったのだが1番楽しかったのはその後の旗や飛行機の話である。これは授業とは違うのだが私達研修生の興味に沿ってどんどん知識を与えてくれるのだ。好きを満たしてくれる空間がいかに幸せかをここで知ってしまった。
 夜には実習生の方々も混ざってみんなでUNOをした。自分の知らない海王丸での訓練を知れたし私達が海王丸を楽しめてよかったってみんな口ぐちに言うから素敵だと感じながら1日が終わった。

5日目

 最終日は帰る準備を行う日という感じであった。研修生間で別れを惜しんでSNSを交換したり荷物をまとめたらあっという間にその時間はきてしまう。下船式をしたらそのまま拍手で見送られて船を降りる。あまりにもすぐに降りることになるので分かっていても心の準備はできない。ただ、船長に個々で敬礼をして降りみんなで帽振りを行う経験はとても良いものであった。見送りの実習生が帰ったあとも航海士の方が残って船からお別れの言葉を伝えてくれ、指導員の方々としっかり言葉を交わした。駅に向かって歩くにつれ研修生同士も段々と人数が減り、それぞれ固い握手を行い最後にホームで1人になったときに私の体験航海は終わった。

見送ってくれる実習生

おわりに

 これからも船が身近であり続けるであろう私の人生においてここでの経験はとても重要なターニングポイントになったと感じる。帆走は行わなくても船で様々な背景を持った人と同じ研修生として学び、違う立場の人とも同じ船に乗る仲間として過ごしたこの思い出は一生モノである。私はこの海王丸への乗船を強く推奨してこの記録を終わる。

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