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卒制について

卒展が中止になってほかの展示も延期になって、クラスメイトと教授と親の目にしか触れられずにずっと家のリビングに飾ってある卒業制作。

SNSに写真は載せたものの、この卒制に込めた想いやテーマについてはまだ大した発信をしていなかった。
正直わたしは自分の作品は見てくれる人にタイトルやテーマ文をしっかり読んで欲しくは無いと思っているタイプだ。
しかし今回は異例の事態により作品を中々直接見てもらえない。フォロワーの中の目に止めた人がケータイの長方形でスワイプして流し見してくれた程度だ。
この卒制はその見方だと「かわいいのが詰め込まれてる〜」ぐらいにしか思われないだろう。
それは仕方がないことだけど、ただかわいい卒制作った人と思われたままは嫌なので、ここで作品について少し説明しようとおもう。

『heaven until the end』

過去と未来を内包する今一瞬を刻み続ける私たち。そんな世界が今日にも終わってしまうかもしれない可能性を忘れて生きてはいないだろうか。産まれた瞬間に与えられた終わりまでのこの不確かな時間の中で、得るもの、生み出すもの、愛したもの、生きている中でつくり出すひとりひとりの果てしない宇宙は、色とりどりに輝いているだろうか。


素材:ミクストメディア
技法:編、刺繍
2.4×2m

写真で見るとサイズ感が分かりづらいが、実際は人間よりも何周りか大きい半立体の作品である。
近くで見ると細かい刺繍や編みやアイテムが縫い付けられており、何分も見つめたくなる作品を目指した。
離れて見ると実は半立体の部分が人間のような形をしていて、気がつく人と気がつかない人がいる。

上のテーマ文を読めばなんとなく言いたいことは分かるかもしれないが、分かりやすくいうと、自分はいつ死ぬかも分からない世界にいることを意識してますか?過去、未来を含む今を明るく美しく見ることが出来ていますか? ということを訴えかけている。

わたしはこれまで作品を作る上では哲学的な意味でのカワイイ、ときめき、などから着想を得てテーマを決めていることが多かった。卒制はこれまでの総まとめということで大きなテーマで大きなものを作りたいと思い、今回のテーマに決定した。
普段から人生、生と死、時間、宇宙などの哲学的な対象について考えたりすることが多く、作品にするときは自分の好きなカラフルな世界観を通している。


卒業制作2020優秀作品に選抜され、教授からこのようなコメントをいただいた。
"見るものの想像力は刺激され不可思議な空間へと引きこまれる。"
という文がとても嬉しい。
わたしは作品を見てもらうとき、テーマやタイトルを見てからふーん、と思われるのは好きではなく、見た人に自由な解釈をして欲しいと思っているからだ。
この作品もこれまで見てくれた人によって感想や解釈が違く、それがとても面白かった。
この教授のように、同心円がオーラのように見えるという人もいれば、色が混ざり合って見えるという人もいて、この作品の中にくまは何匹いるんだろう?と数える人もいた。

テーマと作品を照らし合わせるのではなく、その人なりの想像力で見て欲しい。これからも、そのような作品をつくっていきたい。

やはり作品は直接見てもらうのが1番だ。
特に今回の卒制は写真と実物では全く別物だと思っている。

今のところ卒展をやるはずだった場所、表参道スパイラルにて行われる9月のイベントに出展させていただく予定なので、まだ何が起こるか分からないご時世だが開催できた場合はぜひ足を運んでいただきたい。

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