セルフ・コンパッション - 1｜自分への優しさとは？

1. セルフ・コンパッションとは？

Self-Compassion（セルフ・コンパッション）は「自己への慈 いつくしみ」と訳される心の状態です。Compassion コンパッションには、慈 いつくしみという訳の他に、「優しさ」や「思いやり」などの訳もあります。これらの訳語をつかうとセルフ・コンパッションを簡単に表現すると「自分への優しさ」と言えます。

自分への優しさというと、なんだか自分を甘やかしているような気持ちになってしまう人もいるかもしれません。甘やかしと慈しみの違いは何かということを知るために、Self-Compassion セルフ・コンパッションの心理学的な定義を見てみましょう。

Self-Compassion セルフ・コンパッションの定義（Neff, 2003）
自分に対して思いやりを持ち、その苦しみを緩和かんわしたいという心構え

この心理学の定義を見ると、「苦しみを緩和かんわしたい」という積極的な態度であることがわかります。たしかに、自分が苦しい時は、その苦しみにどっぷりと浸ひたってしまい、抜けだそうと思えるまで時間がかかることもあります。自分に優しくする方法を実践するために、Self-Compassion セルフ・コンパッションについて理解をもう少し深めていきましょう。

2. セルフ・コンパッションの測定

自分にはSelf-Compassion セルフ・コンパッションがどのくらいあるかを測ることができます。Self-Compassion セルフ・コンパッションについて測定できる尺度に回答すると、セルフ・コンパッションとその対極にある状態について知ることができます。

上の図には、「セルフ・コンパッション」と「セルフ・コンパッションの対極」にある状態がそれぞれ対になって示されています（例：共通の人間性 - 孤独感）。自分では自分への優しさになかなか気づくのが難しいこともあるかもしれませんが、これらの概念 がいねんを意識するだけでも気づきが生まれると思います。

3. セルフ・コンパッションを高めるものと妨げるもの

Self-Compassion セルフ・コンパッションは「自分への優しさ」だと言われると、もともとの性格のように思えてしまうかもしれません。性格だとしたらなかなか身につけられないのではないかと思う人もいるかもしれません。しかし、Self-Compassion セルフ・コンパッションは性格とは異なる側面があるので、高めることもできますし、反対に妨げてしまうこともあります。

Self-Compassion セルフ・コンパッションを高めるものには「ウェルビーイングへの配慮」があります。ウェルビーイングとは、心身ともに良好な状態になることを意味する概念 がいねんで「幸福」とも訳されています。やはり、Self-Compassion セルフ・コンパッションは幸福を求めるストイックな態度だと言われていることもよく分かります。

反対に、Self-Compassion セルフ・コンパッションを妨げるものには、「過剰な努力と完全主義」があります。「過剰な努力」も「完全主義」も日本では美徳とされているものです。しかし、これらが行き過ぎると苦しくなるのは経験的に理解できるところだと思います。

Self-Compassion セルフ・コンパッションを高めるもの、妨げるものは様々に報告されていますので、これらの特徴については別の記事やブログでまたご紹介できたらと思っています。