いまり

詩を書いています。投稿もぼちぼちしています。まだまだ新人ですが、よろしくお願いします。

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最近の記事

age9 電信柱が折れている 支えすぎたのだろうか 寂しいことは有り難い あの人の名前はもう忘れた

    • 言いなり

      ねえ頭に思い浮かべた魚とほんとうに存在する魚とどっちがなまなましいのふたりでこんなことになって ねえまた飛び跳ねてるの、なにが飛び散るはずなの、生まれるまえはえら呼吸だったし魚みたいな形してたでしょう あ、あ、何をすればいいの あ、あ、何て言えばいいの 望まれたことならなんでもしてあげたいけど思うようにからだが動かない言いなり言いなり言いなり、そんなとこまでとどかないよ あなたどんどん賢しくなって わたしだんだん気化していく それはどうしても言えないことばだけがあるのに

      • 場所

        あれは何の形だったろう レモン色をしたまま風に吹かれていった 子供をやめようともがいて大人になった いたずらな理由を盾にして 続いていく世界に憧れて 折り紙を千切り続けていた ほらね、と差し出した手とは 逆のほうの手に握られたおはじきひとつ しましまのセーターに擦りつけていた この円はいくらでも広がっていく 水に立つ人の波紋のように まだ夏が続いているかのように 言い出せない言葉が熱を持つ 数時間遅れてやってきた正午は わたしの瞳を水晶にしたから 光しか見ることは出来ない

        • 水紋

          水辺があろうとなかろうと そこに清らかさはある 〈それでは約束を果たせますか? 〈なんて綺麗な透きとおるブルー この広い世界で わたしを許すこと それが幸福に繋がるならば 円弧の端と端を結んで 見つめられなかったものを 触れられる強さにする 〈明日死にますか? いいえ 〈それではどうしますか? 分かりません 〈もっと反らして 〈少しずらして 〈みんな雛なのですよ 〈あなただけではないのです わたしは微笑む 作り笑いでもいい 誰が星になれるというのだろう そんなことさえ 風

        age9 電信柱が折れている 支えすぎたのだろうか 寂しいことは有り難い あの人の名前はもう忘れた

          ダンスダンスダンス

          うろたえてたゆたってなりふりかまわず花と咲いて彷徨って履き違えて止むに止まれず泡と消えて、保健室で見た淡い夢なんだろう、理由もなしに擦ったマッチなんだろう、頭に乗せたりんごでなく僕の心臓を射抜いてくれ この世の全てに恋をして 虫になろうとしていた僕に あの人が手渡した一枚の栞 丁寧に差し出され 丁寧に受け取った 羽ばたくとしても鳥でない悲しみならば 大切なものを失いたい 怖気づいて、 断ち切って、 それでもかまわないと微笑んで、 償って振り向いて迷いを可視化するスローモー

          ダンスダンスダンス

          ブラック企業の見分け方

          学生時代に発達障害(ADHD)であることが分かり、社会に出てからは仕事ではとても苦労してきた。転職回数はちょっとここには書けないが、余裕で上位1%以内に入ると思うし、もしかすると0.1%以内にも入るかもしれない、というところだ。 30歳を超えて初めて正社員になろうと思ったのが運のツキ。例外もあるのかもしれないが、私の感触では、ハローワークに求人を出している会社の7割以上はブラックである。ここで参考までにハローワークに求人を出している会社のブラックの見分け方をご紹介しておく。

          ブラック企業の見分け方

          発達障害

          そこに転がっていたよ きらめかない万華鏡 回しても無駄だよ 死ぬの、怖いだろ? 誰でもそうだよってきついね その割にふてぶてしいよね あ、そう 秒針がいちばん長い針なの ふざけんな 檻に入れて出すんじゃねえ 紙とペンさえあれば証明できることが 利き腕で半年かかるんだ 足し算と引き算でゼロになることが 前頭葉で寸止めを喰らう マジック貸せよ 赤じゃ駄目だ 黒じゃ駄目だ 白で書き殴ろうとしたら 気遣われてばかりだ畜生! 生きるってみっともないよ 生まれてしまって恥ずかしいよ

          発達障害

          評論 たもつ氏「手を繋いでいた」「さよなら中継」より

          ネット詩人、たもつ氏の詩より「手を繋いでいた」と「さよなら中継」を選び、論じることによって作者が抱えているであろう、事実と真実の乖離について述べる。 まずひとつめ、「手を繋いでいた」より。 >さっきまで、きみと手を繋いで歩いていたはずなのに >いつの間にか壊れたメトロノームを引きずっている >メトロノームは壊れていく しばしば、作者の詩に出てくる「きみ」との関係性を描いた部分。 きみと手を繋いでいたつもりが、いつの間にか壊れたメトロノームを引きずっている。なお、「メトロ

          評論 たもつ氏「手を繋いでいた」「さよなら中継」より

          それはどこの国の地面でもないのかもしれない、果たして太陽などあるのだろうか。ひとつの芽が土のかたまりを押しのけて、空に向かおうとしている。あらゆる瞼は閉じられ、すべての睫毛は伏せられている。そこにこめられた願いなど無いのかもしれない。命が、芽吹こうとしている。 Rさん、高校の卒業式の日に母親 が自殺した。結婚して五年目の 秋、そのことを夫に打ち明けた。 晩ご飯はハンバーグ、ケチャップ の赤をみつめながら、彼

          エンドライン

          不意打ちのミントが切ない 冬の始まり 出来るさよならを済ませた 残り火であたたまる僕の 生き方にちいさな印を 枯れ方にすこしの幸せを 好きなようにさせてと喚き 何かを覚悟したかった コートを着るほどじゃないから 蛍光灯でも寂しくなくて ペットボトルのゴミ箱に 味の残ったガムを捨てる 片耳の切れた猫の眼が 嫌いだった教師に似ていた 好きな人もいたよ 眼鏡をいつも触っていた 今なら言える気がする 髪を切れば似合うよって 捨てられない憧れなら 連れて行こうとも思う 今なら受

          エンドライン

          ○blanc et noir ●

          ○振り下ろされた腕は 秒速でも分速でも測れない 焦げついた投げやりなひと匙のそれは 表面張力で2秒もてばいいほう あとは零れるだけ涙のように馬鹿みたいに 私は風が吹いたなんて知らない、風を吹かせたとも思わない、使い古したあなたのペン、持ち手の折れた風車に息をかける。許せない、許されない、数えられないものばかりが真珠のように溜まっっていく。ひとつ、ふたつ、みっつ、気がつくと数えている息苦しさ。強い力で真空にする、一度死ぬための呼吸を、そして穏やかな破裂を。 ●平行ならば交わ

          ○blanc et noir ●

          スタートライン

          栓を抜くと浴槽の排水溝に 悲劇がひとつ吸い込まれていった うろおぼえのぬるま湯とともに 生まれる間もなく死んでいった 煙草を押しあてた畳の焦げ跡は、うれしいと後ろ頭をさするみっともない癖は、酔った勢いで初めて抱いた女の名は、夜ごと綿棒を突っ込まれる耳のはがゆさは、かなしいという言葉では足りないのだ、さみしいという言葉ではかなしいのだ、僕は中学校教師になりたかった、僕は一級建築士になりたかった、すべてが失われてしまう前に、誰かの人生を横切ってみたかった、 風呂掃除を終えて

          スタートライン

          joker

          なだらかな丘で こまった人たちを仕分けていた 必然的に降り積もる ガム、 のように冷静な方解石は 底でねばついて 次の誰かのよりどころになる リピートアフタミー 自信家だった五十五年目の夏 きみを助けられるとぼくは思った わたしはわたしなりの水晶をかかえてあなたにたどりついた。苔な んてたくさん食べてきたから目をそらしていた。靄なのに輪郭を持ちたくて、トランプをめくりはじめる。キングがでたら手当た り次第に結婚して死ぬつもりだった。 きみが苛立てば

          無言の月

          とても遠いところからやってきた羊 かわいそうにずぶ濡れ 言葉を話すからかつては人だったのだろうか 部屋に入れて柔らかなタオルで拭いてあげた わたしがどこからやってきたかを あなたには教えられない わたしがどれだけ傷つけてきたのかを あなたに示してほしい たとえば泣いているひとがいる となりで笑っているひとがいる どちらが悲しみに耐えてきたのかは 誰にもわからないということだ わたしが羊になった理由を あなたに言いたくはない わたしがどれだけ傷ついてきたのかを あなたが測

          無言の月

          円の繋ぎ目

          【名前】 あなたはいつも離れすぎないようにして 花を摘んでくれる 鍵をさがしてくれる すこし泣いてくれる 雨が降るだろうなんて言わないでください もう何もかぞえないと決めたのだから あたらしい名前が見つかれば もう一度わたしを呼んでください 強く、 何度でも、 わたしのことを呼んでください。 【跡】 剥がしたらやわらいでしまった、息つぎが苦しい。あなたは傷ついたのだろう、しるしをひとつ壊した。わたしはノイズを受信しては如雨露で水やりをして、好んで群青ばかりならべた。四角

          円の繋ぎ目

          途方

          もう永いあいだ 空から海を見上げている なにも落ちてこないから じぶんの影をねがってやまない 涙を流す、ということを もっとかろやかに躱したかった なにに濡れそぼったのかを 伝えることはせぬまま ああ、ぼくは今ごろになって思い知るのだ、 泣いていたと、泣いていたんだと、あこがれが泣いていた、やましさが泣いていた、あわれみが泣いていた、はがゆさが泣いていた、いらだちが泣いていた、ふがいなさが泣いていた、とまどいが泣いていた、よるべなさが泣いていた、みんなみんな泣いていた、