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ボローニャ絵本原画展と表現技法
板橋区立美術館で開催中のボローニャ絵本原画展を観てきた。ここのところ、印刷とイラストレーションについて書いてきたこともあり、今回は最近の傾向を含め表現技法と技術に注目してみた。
デジタル化が一般化し、インクジェット・プリントで仕上げた作品も多く、観ただけでは判別しにくい技法がかなりある。そこで、作品に付されているキャプションを手がかりにしてみたが、すっきり頭に入ってこないものもある。大切なのはイ
イラストレーションとグラフィック表現
東京オペラシティー・ギャラリーで開催されていた宇野亜喜良展が終了した。会場の混雑ぶりから、相当数の来館者があったのだろう。壁面を天井までうめるほどの空間もあり、膨大な展示作品に圧倒された。今なお制作を続ける情熱もそうだが、表現の多彩さに驚嘆する。
1960年代から作品に接してきたものとしては、やはりグラフィック作品が気になる。あらためて50年ほどの作品を辿ってみると、印刷によって表現されること
アウトプットとインプット
昨年9月から再開した研究会が先日4回目を終えた。参加者は7~8名ほどだが、私にとっては想定していなかった収穫があった。参加者からの希望もあり、これまで私が話してきたテーマを4回に分けて講義した。イメージによるコミュニケーションとイメージはどのように視覚化されてきたか、というのが大きなテーマである。
参加者は研究者、美術館学芸員、編集者、翻訳家、表現者と多彩だが、それぞれが抱えている問題意識を刺激
絵本のイラストレーション
私が絵本に興味を持ったのは、絵本はことばとイラストレーションが織りなす重層的な空間であることだ。複数のページがもたらす独特の時間と空間の表現に惹かれる。次の画面があることを前提にした構成と展開は、一枚の絵と異なり一冊全体で構想される。テキストだけを読んでも、イラストレーションだけを見てもすべては伝わってこない。この両者の相関性こそが大きな特徴になっている。
絵本と関わるようになったきっかけは、
身体的記憶とデザイン
デパートのエスカレーターが点検のために途中で止まっていた。4階から3階へは歩いて下りなければならない。歩いて下りると足の踏む出し方が不自然でなんともぎこちない。このような経験はこれまでにも何度かある。その度にぎこちなさを感じる。動いていることを前提に、身体的な記憶が止まったエスカレーターに反応してしまうからだろう。
人は、経験や身体の記憶を手がかりに行動していることが思いのほかある。突き出たもの
受け継がれてきたもの−原弘のデザイン
武蔵野美術大学美術館で「原弘と造型:1920年代の新興美術運動から」展が開催されている。原弘の仕事は、東京国立近代美術館をはじめ多くの美術館で紹介されてきた。ほとんどは戦後のポスターや装幀を中心にしたものだが、1920年代30年代に焦点を合わせた展覧会ははじめてだろう。
展示作品には東京府立工芸学校教員時代のものも含まれている。新興美術運動に身を投じた20代30代のものが中心で、展示公開されてこ
見つけだすこと、感じとること
挨拶は小さな声で、友だちとも距離を空ける。映像で流れる小学校の授業風景を見ていると切なくなる。とりわけコロナ禍で入学した子どもたちにとって、学校生活がどのようなものかいまだに手探りのままだ。小学校低学年は、いろいろ学ぶことも多いだけに心が痛む。
思い返すと、私が小学校低学年のころは学校での生活も遊びも目一杯楽しんでいた。学校は特別の空間であり、周辺の空き地や丘、池、友だちの家、すべての場所が繋
コミュニケーション・デザインと絵本
日本ではなぜ絵本とデザインを分けて考えるのだろう。これはデザイン的な絵本だとか、デザイン的で子ども向きではない、という声をときどき聞く。だとすれば、デザイン的でない絵本や絵本らしい絵本とはどのようなものを指すのだろう。
デザインという言葉も、使われ方がさまざまであることを考えれば、仕方のないことかもしれないが、絵本の分野ではどうも造形的な面、しかもシンプルで飾り気のない平面的な形や色彩に対してい
エリック・カールを偲ぶ
エリック・カールが亡くなった。訃報に接したのが、コラージュについてエッセーを書いた翌日だったこともあり驚いている。エリック・カールにも触れていたからだ。
代表作『はらぺこあおむし』は、最も親しまれている絵本だが、鮮やかな色紙によるコラージュが、独特の世界をつくり出し、色彩の魔術師とも呼ばれている。
カールがつくる色紙は、薄い紙に色をつけたものだが、筆で塗るだけでなく、こすったり、ひっかいたりと
コラージュ、イメージの引き出し
最近コラージュにはまっている。これもコロナ禍の影響かもしれないが、つくることが愉しい。つくづく手を動かすことが好きなのだと実感している。
といっても印刷物などを貼り付けるのではなく、パソコンのモニター上で作業する。アプリケーション・ソフトを使い、数枚のレイヤーを重ねていく。重ねる順番や大きさ、配置を自在に変えることができる。空間に縛られることのない自由度がとてもいい。
最終的な仕上がりは一切考