
【創薬AI・画像解析】毒性研究における画像解析AIの活用
こんにちは。エルピクセル株式会社にてサイエンス事業本部の事業開発を担当している加藤です。
当社は、創薬研究を支援する画像解析AI「IMACEL」を展開しており、私はIMACELの価値最大化と普及を一つのミッションとして日々業務にあたっています。
今回は、7月に開催された日本毒性学会学術年会での当社講演での発表内容を中心に、毒性研究における画像解析AIの活用に関する記事をお届けします。
IMACELとは...?
エルピクセル社で提供している創薬に特化した画像解析AIで、製品として下記のような特徴を有しています。
・ライフサイエンス・AI双方に精通した研究者による質の高い実装
・候補化合物スクリーニング~前臨床試験~治験・臨床試験の幅広いフェズにおいて、大手製薬企業様を中心とした豊富な提供実績
過去の取組事例等については、IMACELプロダクトサイトにて掲載をしておりますので、お時間のあるときにぜひご覧くださいね。
前臨床での毒性試験を支援する「IMACEL TOX」
IMACELは創薬プロセスにおける幅広い研究フェーズ・疾患領域でサービスを提供しておりますが、現在力を入れているもののはひとつは、今回のテーマでもある前臨床試験における毒性試験のためのサービス「IMACEL TOX」です。
創薬においては、安全性が担保されていることを確かめるため、複数の毒性試験を実施する必要があります。
毒性試験では、実験動物に対する候補化合物の投与により臓器・組織に障害が起こるのか、培養細胞に対する候補化合物の添加により特異的な毒性所見が認められるか、などを観察しますが、それぞれの試験で膨大な量の標本を目視で評価しなくてはなりません。
そのため、毒性試験の実施においては以下のような課題があります。
・解析に要する工数負担(莫大な人的・金銭的コスト、長い試験期間)
・試験実施者の経験等に依存する判定結果のバラつき(低い再現性)
IMACEL TOXは、AIによる画像解析技術を用いて毒性試験を支援することで、上記の課題の解決を図り、創薬コストの削減、時間短縮、成功確率向上を実現します。
AIで支援する新しい毒性試験の形
私たちは2021年7月7日から7月9日にかけて神戸で開催された日本毒性学会学術年会にて講演の機会をいただき、サイエンス事業本部ゼネラルマネージャー袴田がこれまでの実績やそれらの応用可能性について講演を行いました。この記事でも講演でご紹介させていただいたIMACEL TOXの活用例を一部をご紹介します。
遺伝毒性試験における小核試験の自動化
・培養細胞中の細胞及び小核を画像解析AIで自動認識
・現場の評価者による結果とAIによる判定結果で高い相関を示しており、目視による試験の代替としても十分に機能することが期待できる
・成果は学会でも発表されている
薬剤投与マウスの行動パターン解析
・ケージ内で飼育されているマウスの動画から、特徴部位を自動認識することで自動で行動を追跡
・得られる数値データから、移動度などの行動量の定量化や行動パターンの解析が可能
前臨床におけるAIの活用は、すでに実装レベルに到達しています。
一方で、信頼性の面では今後の実績によって担保していかないといけない余地を残しているのも事実です。
今後の普及においては、人では確認できない量についてAIによる解析を実施し、正常例や所見無しのケースのスクリーニングはAIに、所見有りのケースについては専門家によるダブルチェックを行うなど、人とAIの協力体制を築いていくことも重要になってくるかもしれません。
おわりに
講演と同時に出展させていただいた企業ブースには、製薬企業・アカデミアにおいて安全性研究を行っている方々、非臨床試験受託研究機関(CRO)の方々に数多くお立ち寄りいただきました。
お越しいただいた皆様、ありがとうございました。
コロナ禍ということもあり、Web参加の方々も多く、現地参加者は例年よりも少なかったようです。
展示ブースは、ふらっと立ち寄って頂いてたところから始まる意見交換が魅力であり、それはWeb展示ではなかなか味わえないもの。改めて、COVID-19が収束し、より多くの方にお会いできることを願っています。
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