見出し画像

会議の質を高めるファシリテーションを学ぶ【ILY,BootCamp #07レポート】

Hello, people.

デザイナー・ディレクターとしてのスキル向上を目標に、弊社ではオンライン勉強会「ILY, Boot Camp」を開催しています。
今回は「ファシリテーション」を題材に、その役割やプロセス、必要なスキルなど、“ファシリテーションの基礎”について学んだ様子をレポートします。

幅広いデザインに携わっているILY,では、チームでのミーティングやクライアントとの打ち合わせ、さらにはこうした勉強会など、複数人でのお仕事が多いです。
複数メンバーでアイデアを出し合ったり、意見を交わしたりしながら進めるプロジェクトや勉強会において、有意義にチーム活動を進めるためには、進行役のファシリテーションは非常に重要です。
よいファシリテーションに必要なものを知るために、“ファシリテーションとは何か”から学んでいきましょう。

ファシリテーションとは

「ファシリテーション」とは、会議や話し合い、グループ学習などにおいて、人々の活動が容易にできるよう支援し、うまくことが運ぶよう舵取りすることを指します。
グループの発言や参加を促したり、話の流れを整理したり、メンバーの認識の一致を確認する行為で介入し、合意形成や相互認識をサポートする、コミュニケーションスキルのひとつです。
「ファシリテーター」はファシリテーションの役割を担い、会議では進行役に当たります。

ファシリテーションの発祥は1960年代のアメリカに遡ります。エンカウンターグループと呼ばれる、グループ体験によって学習を促す技法として生まれました。その手法は、今でも体験学習や教育系のファシリテーションとして続いています。
ビジネス分野での応用は1970年代頃からアメリカで始まりました。ビジネスの場では、会議を効率的に進める方法として開発され、現場主導型のワークショップに応用されていきます。

ファシリテーションの役割

ファシリテーションには、4つの役割があります。

①衆知を集めよりよいプランを生み出す
②グループの合意を形成して物事を前に進める
③メンバーのモチベーションを高めて促す
④部下の能力を高める

「衆知を集めよりよいプランを生み出す」「グループの合意を形成して物事を前に進める」行動は、プロジェクトチームのキックオフや、利害が対立する部署との調整会議など、オーガナイザーやリーダーの機能を担う場面で重要な役割です。
「メンバーのモチベーションを高めて促す」「部下の能力を高める」行動は、目標設定や評価面談といった、意思や気持ちのやり取りの場面で発揮されるスキルです。
つまり、コミュニケーションを通じてリーダーシップを示すときに必要なのが、「ファシリテーション」。
「ファリシテーション」とは、リーダーシップ発揮のための中核となるスキルなのです。

ファシリテーションの2つのプロセス

ファシリ1

ファシリテーションを発揮するには、2つのプロセスがあります。

process.1:活動の目的を達成するための外面的なプロセス
process.2:メンバーの頭や心の中にある内面的(心理的)なプロセス

process.1の「外面的なプロセス」は、活動全体の段取りや進行、プログラム作成など、活動の目的を達成するためのプロセスです。
前述した4つの役割のうち、「衆知を集めよりよいプランを生み出す」「グループの合意を形成して物事を前に進める」がこれに当てはまります。
外面的なプロセスを踏むことによって、チーム活動を円滑に進めることができるのです。

process.2の「内面的(心理的)プロセス」は、感情による関係性や思考を重要視し、メンバー個人の内面的・心理的側面からアプローチします。
「メンバーのモチベーションを高めて促す」「部下の能力を高める」役割を担い、メンバーが生み出した成果や満足感を左右するプロセスです。

ファシリテーターは両方のプロセスにかかわることで、人と人の相互作用を促進します。
この“人と人との相互作用”は、固定化された思考の枠組みを打ち破り、新しい考え方を生み出します。他者とぶつかり合い、互いの違いを知ることで自分の壁を悟り、新しい自分や考え方を発見していくことで、人と組織を活性化するのです。
こうしてチームの質を上げることこそ、両方のプロセスに介入するファシリテーターの役目と言えるでしょう。

ファシリテーションの3つの応用分野

ファシリテーションが応用される分野は、大きく3つに分類されます。

ふぁし2

参考:特定非営利活動法人日本ファシリテーション活動協会(http://www.faj.or.jp/)

1つ目は「組織系」。問題解決や組織活性化などで必要なファシリテーションです。
会議や商品開発、多職種連携など、ビジネス活動に最もなじみ深い分野であり、合理的な成果とスピードが求められます。

2つ目は「社会系」。社会的な合意形成が必要となる場面で必要なファシリテーションです。
共通の目標や課題を発見することがこの分野での成果なので、計画づくりや災害復興などのほかに、企業の労働組合やCSR活動などにも用いられます。

3つ目は「人間系」。ファシリテーションはここに属するグループ体験学習から生まれました。教育学習など、心理的問題に関連した分野で、ファシリテーターは内面的なプロセスにかかわります。
企業活動では、参加型研修やキャリアデザインなどに利用されています。

ファシリテーションの4つのスキル

ファシリテーションは、リーダーが果たすべき重要な役割であり、必要なスキルです。次は、ファシリテーターに求められる4つのスキルを掘り下げてみます。

skill.1:場のデザイン
skill.2:対人関係
skill.3:構造化
skill.4:合意形成

skill.1:場のデザイン

ふぁし3

「場のデザイン」とは、議論を始める前に、何を目的にし、誰を集め、どういうやり方で議論していくのか、といった段取りを行うスキルです。
目的の明確化と共有、最適な議論、議論を促すアイスブレイクなどで、議論の場を準備します。
また、メンバー同士の関係性を適切にデザインし、話しやすい場を用意することも重要です。
議論の場をつくり、活発な意見交換につなげることがファシリテーターに求められています。

skill.2:対人関係

ふぁし4

議論が始まったら、できるだけ多くの意見や考えを出し合い、理解と共感を深め、アイデアを広げていきます。
そのためにも、ファシリテーターはメンバーの意見を受け止め、さらなる思考や思いを引き出していく必要があります。また、意見と意見の連鎖をつくり、思考の枠を広げ、メンバーが幅広い論点で考えられるようにします。
メンバーの意見に耳を傾け、適切に応答し、メンバーの感情を観察。時には質問を挟みながらコミュニケーションを図る、いわゆる“右脳系・対人系”のスキルが必要です。

skill.3:構造化

ふぁし5

議論の収束に向けて、個々の意見と議論の全体像を整理し、論点を絞り込んでいきます。
その時に、“ファシリテーション・グラフィック“を利用すれば、議論を分かりやすくまとめることができます。
“ファシリテーション・グラフィック”は、議論の対象と構造について、メンバーの認識を一致させるために、発言を記録・図式化したもののこと。議論を可視化するためには、“左脳系・論理系”のスキルが重要です。フレームワーク(構造化ツール)などを上手に使いながら、効率よく議論を展開し、まとめていきましょう。

skill.4:合意形成

ふぁし6

議論の方向性が絞られてきたら、着地点を決定します。
合意を形成するうえでファシリテーターの力量が最も問われるのが、異なる意見をどのように解決するのか、という“コンフリクト・マネジメント”のスキルです。

異なる意見・対立する意見に適切に対処すれば、納得感の高い合意や創造的な結論が得られ、チームの結束力も高まります。

議論を合意形成へと進めるためには、さまざまな技術が必要です。
まずは「この会議をどのようにしたいか」をメンバーできちんと共有し、「コミュニケーション」を大事に図っていくことを心がけたいですね。

ファシリテーションを体験してみる

実際にクライアントやパートナー企業とミーティングを行う際、参加者の緊張感を払拭し、話しやすい場をつくることは非常に重要です。
そこで、「ファシリテーションの4つのスキル」の「skill.1:場のデザイン」から、“アイスブレイク”を実践してみました。

1つ目は「たけのこニョッキ」オンライン版です。ファシリテーターの掛け声のあとに、チャット欄に数字を書き込んでいきます。数字がかぶることなく、全員が書き込めたら成功です。

ふぁし7

なかなか難しいですが、全員でひとつのことに集中すると、連帯感が生まれます。

2つ目は「笑顔でGO!」オンライン版。ファシリテーターの合図に合わせて、全員で笑顔をつくります。

ふぁし8

笑 顔は円滑なコミュニケーションの起点になります。

持っていきたい議論の方向性や相手に合わせて、柔軟にコミュニケーションをとることが大切ですね。


勉強会を終えて、「それぞれの議論の合意形成方法」について話が盛り上がりました。
現場で議論が煮詰まったときにどのように対処しているのか?メンバーが用いる技法はさまざまで、ファシリテーションの奥深さをあらためて感じました。
こうしてそれぞれの経験やメソッドを持ち寄り、共有することで、“ILY,流のファシリテーション”というナレッジを築く。そしてそこから新たに学び、個人や相手によってアレンジする。言葉にしづらく、見えにくいスキルだからこそ、知恵を出し合い高めていきたい分野です。
クライアントに最適なソリューションを提供できるよう、これからも学びを積み重ねていきたいと思います。

Thank you, we love you.


画像9

Service Designer & Strategic Planner

三枝ふみ

税理士事務所で経理&事務を経験した後、WEBデザイナーに転向。デザイナー兼コーダーとしてWEB制作会社に入社し、WEBデザイン制作、フロントコーディング、wordpress構築を約6年間経験。その後、ILY, incにjoinし、制作のできるディレクターとして活躍する。デザイン&コーディングの経験を活かし、進行管理だけでなくシステム開発のUIUX設計も担当。幼少期よりピアノとヴァイオリンを嗜む。

私たちILY,は、ロゴ制作やビジュアルデザインなどの”見た目のデザイン”にとどまらず、MVV策定や事業・サービスのコンセプト設計などの”コトのデザイン”もご提供しております。お気軽にご相談ください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?