#6『ウィル・レ・プリカ』
第一惑星 パラサイト・エデン
(六)ニセモノ
五番街の大型ショッピングモールは、迷宮と呼ばれる五番街地下通路からほぼ直通だ。ハルアキが通路の案内板を見るより早く、クーはこっち、と手を引いた。ランは慣れたように後ろをついてくる。人波のなかをすいすい進んで自動ドアをくぐると、ショッピングモールの軽快なバックミュージックが迎えいれた。ガヤガヤと聞こえる人の声。足音を吸いこむ店内。並んだ色とりどりの店舗。たくさんの世界を閉じこめたカラフルな世界は、めまいがしそうなほどに情報が散乱している。――これから、こんなところを歩くのか。
「まずメシ食わね? オレ腹減っちゃってさぁ」
ひとまず休憩したかったこともあり、賛成する。案内はクーに任せた。中央の吹き抜けにある大きなエスカレーターで四階へ上がりフードコートへ。ちょうど十三時を過ぎた頃で、昼食を一番に済ませた人たちがちらほら席を立ち、入れ替わりに後発の昼食組が座る、といった様子がどこでも見られた。てきとうなファーストフード店でバーガーセットを注文する。空いた席へすべりこむように座ってから少し経つと、端末に呼び出しが表示された。と、ハルアキは自分の端末に、他のメッセージも入っていることに気がつく。サクヤだ。待ち受け画面の通知欄には、
『今どこ? 話の続きがしたい』
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