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会社が苦境に陥るときの5つの要因

こんにちは、戸田です。

会社や事業の再建を一定数お手伝いしてきていると、なんとなく、会社が再建をしなければならないような状況に陥った背景には、業種や地域や事業規模が違っていても、実は似たような要因が背景にあると感じたりします。

今回も雑記になりますけれども、「会社が苦境に陥るときの5つの要因」を、自分なりに書いてみたいと思います。

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1     見るべきを見ていない

目の前にある現実や問題、時代や競争の変化を「直視」していない
あるいは、自社への影響を過小評価している
一時的な好不況を超える、構造的な変化の長い時間軸に甘んじている

過去の成功や積み重ねてきた実績への自信がいつの間にか過信となり、将来の夢やビジョンはいいけれど、目の前にある実態とかけ離れた取り組みや一発ホームランを狙い続ける。結果として投資過大となりがちで、資金が回収できないまま財務がさらに痛む。

危機が迫っているのに十分な自己改革に踏み切ることなく、小手先の改善に終始することも含め、正しく大きく全体を絵として見ることができていない。仮にそれらを見ることができている人がいたとしても、経営レベルで公正な議論ができていない。

要因の一つ目ですが、これが全てと言ってもよいほど、大切なポイントと感じます。
同じ絵(優先すべき問題、構造的な課題)が見えていないと、何も始められません。

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2 決めるべきを決めない

経営の基本方針(基本的な考え方)は、何なのか。
経営がこれから向かおうとしている方向性は、どこなのか。
当社に適した経営の時間軸はどのような長さで、どんな中間地点をどこに置くのか。

個別の戦略や戦術の話ではなく、そもそもの企業の在り方をはっきり決めきれていない。日々のことから中期的なことまで、決定の芯や軸がなく、決めるべきことを決めない誰が決めるのかもわからないまま、“なんとなく”決まっていく

もともとの方針が明確に決まっていないがために、意思決定に締まりがなくなり、結果検証も緩くなる、或いは検証されないまま進む。

こうなると単年度の近視眼の取り組みや前例・前年踏襲でできることに終始し、会社の競争優位は徐々に、しかしながら確実に失われていくことになります。

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3 詰めるべきを詰めていない

経営方針の徹底、部門間の連携、会議体の中身や進行、個々人のミッションから行動まで、本来は詰めるべきポイントというものはあるが、組織として詰めきれていない
だから、決めたこともやりきれない。

あれこれと言い訳が先行して、個々人の緩みが組織全体の動きを大きく阻害し、変化への対応スピードが遅くなる。

OODA※も、詰めきるからこそ機能する。
単なる任せきりのOODAは組織がバラバラになるだけです。

※OODA;Observe(観察)、Orient(状況判断、方向づけ)、Decide(意思決定)、Act(行動)、のサイクルを現場主導で回していく業務推進の考え方

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4 変えるべきを変えられない

一見すると、決めることを決めていて、詰めているようであっても、実は変化の大きさに対して極めて小さな範囲、つまりは今までの“知っている”範囲の決定事項しか処理していない
たとえば、既存事業や業務を磨き上げるだけに終始している。

これは問うべきことが問われていないこととも通じます。
本来は、事業の前提そのものや、聖域と言われるような業界の慣習や構造を疑って変えていかないと、表面的な改革からは大きな成果は生まれない

今までの経営の考え方、自らの経営の捉え方そのものを自己破壊しようと試みない限り、本当に変えるべきことに気付くこともできない。

業種における専門知識が深ければ深いほど、その“常識”から抜け出すことができないように思います。

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5 整えるべきを整えていない

改革の声を高らかに上げるも、社内の誰もついて来れていない状態。

そもそもの経営統制(意思決定の権力の源泉)の在り方がゆがんだまま、または、組織としての環境(社員が動けるようなインセンティブや支援)がほとんど準備されていないのに、既存事業の改善と並行して変革活動をうまく両立しようとしても進みません

改革が上手くいかないばかりか、企業の体質がいつまでも変わらなければ、戦略や戦術を変えようとしても、結局はいつのまにか元に戻ってしまう。

また、成長戦略或いは企業変革の施策が上手くいかないときのPlan-Bが用意されていない。そのために当初の想定に戻すまでの挽回に必要以上の時間を要する。そして他社に後れを取る。

改革の実現を掲げて実際に進めるためには、組織の基盤を整えようとする意図と準備があって初めてできることだと思います。

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企業が苦境に陥る背景には、これらの1~5までが、個別に存在していたり、組み合わせになっていたりすることが多いと感じます。裏を返すと、該当している項目が変革の機会や出発点になり得るとも言えます。

思いのほか長くなりました。

本日は、以上です。

TRAIL INC.(トレイル)
経営変革のための伴走パートナーシップ
Open Management®
(オープン マネジメント®)


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