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模合:沖縄で古くから行われている庶民金融の一形態 (CASE: 32/100)



▲「模合」とサステナビリティ

「模合(もあい)」は、沖縄で古くから行われている庶民金融の一形態で、毎月特定のメンバーでお金を出し合い、メンバーのうち1人が総取りするループを繰り返すものです。例えば10人の集まりで毎月1人1万円を出し合った場合、そのうちの1人が10万円を受け取ることになります。次の月もまた1人1万円を出し合い…と、受け取る人が一巡するまで毎月行います(利子があるケースも存在します)。模合は、金銭の相互扶助を気軽にできる仕組みとして、同級生、会社の同僚、社長仲間など様々なメンバー構成で何十年にも渡って行われます。


実は「模合」は沖縄・奄美諸島特有の呼び名で、他地域では「無尽」「頼母子」と呼ばれており、古くは鎌倉時代から昭和初期まで日本全国で盛んに行われていた仕組みとのことです。金融システムの発達に伴い無尽や頼母子が無くなる一方、模合は現在でも沖縄県民の過半数が行っていると言われるほど盛んで、専用のアプリも出ています。

そんな模合の面白い点は、最近ではお金の相互扶助というよりは、むしろ月1回集まって飲み会をする口実として利用されているところにあります。単にお金を出し合うだけでなく、その場で日々のこと、人生のことを話し合い、情報交換を行う。継続的に(そして、半強制的に)親睦を深めるための仕掛けとして、あえてデリケートなお金が絡む模合を相互の同意のもと活用しています。

模合のさらに面白い点として、「模合のメンバーになる」ことが、メンバー間の相互扶助への使命感を生んでいることが挙げられます。例えば自宅の引っ越しを手伝ったり、子供の進学時に祝い金を渡したり。模合を信頼関係の基礎として相互に支え合う文化が、沖縄には根付いています。

人間関係が希薄化する社会において、コミュニティの重要性を再認識しつつ、その持続可能性を高めることが、人の精神的な健康を支えるために重要になると思うと、模合から学べることも多そうです。

▲参照資料

https://www.jstage.jst.go.jp/article/lifology/26/0/26_KJ00009957479/_pdf/-char/ja

▲キュレーション企画について

イノベーション事例についてi.labがテーマにそって優れた事例のキュレーションを行い、紹介と解説を行います。
2022年のテーマは「サステナビリティ」です。

▲今回のキュレーション担当者

i.lab ビジネスデザイナー 鈴木斉

▲i.labについて

i.labは、東京大学i.school ディレクター陣によって2011年に創業されたイノベーショ ン創出・実現のためのイノベーション ・デザインファームです。東京大学i.school(2017年4 月 より一般社団法人i.school)が世界中のイノベーション教育機関や専門機関の知見を研究しながら独自進化させてきた理論知と、i.labが産業界で磨いてきた実践知の両輪で、企業向けにイノベーションのためのプロジェクトを企画·運営しています。

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