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i.lab社内R&D 「Voice Mask」プロジェクト:連載10 ユーザーインタビュー ③

こんにちは、i.labです。

特許取得を機に活動を再開したi.lab社内の取り組み「Voice Mask」プロジェクト。連載第9回目の今日は、3人目のユーザーインタビューのレポートです。

前回(2人目のユーザーインタビュー)の記事はこちら↓


インタビューの概要

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池田亮平さん

❶ 池田さんについて

3人目のインタビューは、全国どこでも定額制で住み放題、多拠点コリビングサービスを展開する「ADDressで事業開発ディレクターを、個人の仕事としてライフデザイナーとして活動をしている池田亮平さんです。実は、本アイデアのもとなる特許取得についてi.labマネージングディレクターの横田がFacebook上での投稿に対してコメントを下さったのが池田さんで、その際の「個人としてもADDressとしても使いたい」というコメントが印象的でした。個人として欲しい理由に加え、事業会社として欲しいというのはどういうことだろうか。そして特許取得時点と、アイデアを具体化した現時点とでどう印象が変わっているだろうか。そのような興味から池田さんにインタビューをお願いしました。


❷ 池田さんの属性、選定した理由

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インタビュー対象者を探すにあたり3つの属性を設定しました。池田さんは属性2に該当します。

お子さんがいて、ご夫婦で在宅ワークされているということで、設定としては属性2に関する話が伺えると考えました。また、1回目のインタビューでお話を伺った遠藤さんと属性は同じですが、性別やお子さんの年齢など、異なる質のインタビューができるとも考えました。それから、上述の通り事業者の視点でVoice Maskのアイデアをどのように考えているか聞けそうな点も大きな選定理由になりました。

❹ インタビュー場所

インタビューは、池田さんが普段仕事をされている東京郊外のご自宅に伺って実施させていただきました。i.labからは2名の参加です。ちなみにマンションの玄関前に着くと引越し用の段ボールが山積みされており、来月から鹿児島へ移住されるとのことでした。

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インタビュー内容

では、ここから実際のインタビューの内容をご紹介します。

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—— 普段のお仕事内容について教えてください。

池田さん:最近移住を目前に変わっていたりもしますが、株式会社アドレス(以下ADDress)という会社で週4-5日ほどメインの活動をしています。それ以外には、ADDressにジョインする前に、ソニー生命で10年ほどライフプランナーとしてお金周りの仕事をしていたのですが、その延長線上で個別相談を受けた方に対して、ファイナンシャルプランニングをしたりもしています。また、企業向けの研修をやってたりもしたので、その企業に向けて提供していたコンテンツをeラーニングのコンテンツ(お金の基礎知識と、お金に依存しすぎないライフデザイン)や、プログラムを作成するのに時間を使ってたりしています。

ADDressの仕事としては、事業開発ディレクターという立場で、物件獲得のチームをメインで動いています。細かくいうと、家を貸してくれるオーナーさん向けの説明会を実施したり、個別にお問い合わせいただいた方と面談したりオンラインで内覧をしたりしています。それ以外に自治体向けに講演をするとか、民間のコミュニティとかNPOから講演依頼が来たときに、以前は代表の佐別當さんがやっていたのですが受けきれないこともあり代わりに講演することも増えました。説明会や講演はほとんどオンラインなので、自宅でzoomで実施するというのが大半です。

—— 以前Facebookでコメントいただいた、「ADDressとして(Voice Maskを)使いたい」というのはどのような使い方を想定していたのですか。

池田さん:リモートワークをADDressの拠点で行いたいという方が会員の8-9割で、その際に音が課題になっています。ぼくが一時期、法人会員の営業・メンテナンスを一人で担当していたのですが、法人会員がADDressを導入しないケースは、現在は新型コロナウイルスが一番の理由なのですが、コロナの件を除外すると、理由として多いのはセキュリティとコンプライアンスなんですよね。ホテルなら防音性があるけど、普通の古民家とか一軒家なので「音漏れするんじゃないか。」と。リモートワークでオンラインで会議とかしたいけど、会社に話を通そうとするとNGになるというのがほとんどのケースです。そこをなんとかしたいという課題があります。

—— ADDress社員の方がリモートワークで使いたいという意味かと勘違いしておりました。

池田さん:事業モデルに組み込めるぐらいの勢いでやりたいと思っています。会員の方がアドレス拠点で仕事をするためにということですね。個人会員も法人会員も皆さん同じで、音について気にはしているけど、正面から会社に承認してもらおうとするとNGが出るだろうから、こっそりリモートワーク/ワーケーションをやっていたりする。いわゆる「隠れワーケーター」と呼ばれる方々ですね。それをちゃんとこういう機能のあるもの(Voice Mask)があるから大丈夫だよと言えると、だいぶ変わってくるのではないかと思っています。

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ADDressウェブサイトより

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ADDress公式noteにも利用シーンがイメージしやすい記事が満載でした。

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—— ここからは池田さんご自身についてお話し聞かせてください。現在のお住まいやご家族について教えていただけますか。

池田さん:妻と子供2人です。上が4歳の男の子で保育園児、下が0歳の女の子で、来月1歳になります。下の子も来月鹿児島に移住したら保育園に入れようと思っています。妻は、現在育休中ですが、来月鹿児島に移ってから転職する予定です。今の東京の自宅は賃貸で、鹿児島でも賃貸で住む予定です。現在の東京郊外の自宅には5年ほど前、長男が生まれる前に移ってきました。

—— 現在のテレワーク状況についても教えていただけますか。

池田さん:フルリモートです。出社は全くないです。コロナ前はなんだかんだみんな出社していたのですが、感染拡大の第一波以降は全社員で早々にフルリモートに切り替わりました。毎日ここにいます。

—— 仕事部屋(インタビュー場所)をお持ちみたいですが、以前からあったのですか。また、新たに購入した道具などはありますか。

池田さん:この部屋は、当初は物置的な部屋でした。リモートワークすることになり、最初はスタバとかで仕事をしていたのですが、お金もかかるし、感染リスクもある。「だったら使っていなかった部屋を仕事部屋にしたらどう?」って妻が言ってくれて、いろいろ物を片付けてここが仕事部屋になりました。

道具については、仕事用に揃えたものもあればそうでないものもあります。机はもともとはリビング用に購入したのですが、サイズを誤り大きいサイズが届いてしまったので、仕事机に使えるなということになりました。最初はノートパソコンのみで仕事していたのですが、ずっと仕事部屋にいるならノートでなくてもいいよなと考えるようになりました。そして個人的には、もう世の中がコロナ前の労働環境状況に戻るとは思っていないので、その前提で画面が大きいデスクトップパソコンを揃えていきました。それから、ぼくは仕事の能率が物理的な環境に作用されるタイプなんですが、普通のキーボードだと猫背になり肩が凝ってしまうんですよね。いろいろ模索した結果、セパレイト型のキーボードにして、さらに傾斜をつけて使うようになりました。

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—— ずいぶん大きなマイクを使用されているみたいですが、何かこだわりがあるのですか。

池田さん:マイクは最初はなかったのですが、eラーニングとかオンラインスクールのコンテンツを撮影するようになり、世の中に出す上でちゃんとしたものにしたいと思ったんですよね。その結果、最終的にはクオリティの高い音を拾ってくれるという評判のYetiのマイクにたどり着きました。このマイクは純粋のクオリティの高い音を拾ってくれるという評判でした。見た目が好きだったのもあるのと、コロナを機に研修講師をやっていた仲間たちがみんなオンラインにシフトしたのですが、このマイクを使っている仲間が多く、ちゃんとしたものだと思い購入しました。

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—— 仕事部屋でリモートワークする上で、「音」に関係する課題は何かありますか。

池田さん:今まさになんですけども、この部屋にはエアコンがないので窓を開けたいのですが、目の前で工事をされると終わる...というのは多いですね。(笑)また、小さな子供がいるので「子供の声」が入ってしまうリスクもあります。特に下の子は赤ちゃんなので、泣き声が聞こえてしまいやすい環境です。それに対しては「Krisp」というノイズカットしてくれるアプリを入れているんですが、赤ちゃんの声ぐらいなら全部カットしてくれるので便利ですね。

それから今有線のイヤフォンを使っていて、一度Bluetoothのワイヤレスのものを試してみたのですが、途切れたりなど安定しなかったので有線のものに戻りました。高級なものを使ったら違ったのかもしれませんが。また、オンラインゲームをするのでゲーム用のヘッドセットも購入したのですが、これは仕事では使っていません。特に夏場は耳が暑いのと、多分PCの設定の問題で、向こうの声は聞こえるけどこっちの声が聞こえないことなどがあって使わなくなりました。

—— 普段オンラインミーティングはどのぐらいの頻度でされていますか。

池田さん:時期にもよりますが、1日に3-4件ぐらい、3-4時間くらいはオンラインミーティングしています。この部屋で使う道具はイヤフォンとマイクですね。

—— 仕事部屋以外ではオンラインミーティングしないのですか?

池田さん:自宅では、この部屋以外ではしないですね。行くとしたら近くのモスバーガーですね。

——ミーティングもモスバーガーで?

池田さん:ミーティングは、モスバーガーに行くうちの10回に1回くらいの頻度ですね。自宅前の工事が激しかった時期は窓を閉めても騒音が入ってしまう上に暑すぎたので、逃げるようにモスバーガーのテラス席でやっていました。屋外なので暑いことには変わりないのですが、部屋の暑さよりもまだマシでした。(笑)

利用したのは機密情報とか喋らなくて良いときぐらいですね。主に「聴く専門」のミーティングで、iPhoneでモスバーガーから参加していました。屋内席だと、他のお客さんや店員さんの目が気になるので、テラス席です。店内でオンラインミーティングしたことはありません。モスバーガー以外だと、スタバのテラス席も利用したことがあります。

——テラス席で気になるのは「機密性」ぐらいですか。

池田さん:真夏と真冬は辛いですよね。(笑)そういう状況で、今回のこのVoice Maskのアイデアに興味持っています。究極の理想は、店内で喋ってミーティングをしていても周囲の迷惑にならないことだなと思っています。もしそこまでが難しかったとしても、最低限、テラス席で周りに情報が聞こえにくくなると良いなと思っています。

あとADDressをやっていることもあり、「家かカフェか」ではなく、色々な拠点を移動しながら屋外で仕事が出来たら良いなと思います。能動的に自然環境豊かなところに行って、椅子だけ持って川のほとりで仕事をする「チェアリング」のような選択肢が広がったら良いなと思います。

—— Voice Maskの技術などによって周囲の人への迷惑が解決されたとして、池田さんにとって理想の働き方はどのようなものですか。

池田さん:理想は、広い公園に子供を連れて行って、そこで子供を遊ばせながら、自分はその公園で仕事もしているという姿や、子連れでキャンピングカーでいろいろ行ってみたい気持ちもあります。友人が、ボックスカーの中を改造して、拡張された個室としてそこで仕事を快適にできるようにしていて、そういうことはやってみたいなと思います。

—— 現時点でのベストのワークスペースはどこになりますか。
池田さん:自宅以外だと、ここから一番近いモスバーガーですね。以前はスタバだったんですが、最近は店内で長時間仕事が出来ないくらい混んでいて快適ではなくなってしまって。モスバーガーは比較的すいていて、店内もテラスもそれほど混んでいないので、音声を発しない作業も、打ち合わせも両方できて快適です。

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—— ご自宅で仕事をする際に、ご自身と奥様の双方が打ち合わせをするなど、喋ることによるトラブルはありますか。

池田さん:うちの妻が音を気にするので、基本的に妻が向こうで仕事をしている時は、部屋の間のドアは閉められています。そうするとこの部屋がすごく暑くなります(笑)。ドアは1枚しか閉めないと音が伝わってしまって、妻がミーティングをしているときに、僕がゲームを喋りながらしていると怒られてしまう。ドアを2枚閉めると聞こえなくなります。うちの妻は、なるべく静かな空間で集中したいタイプですが、僕は外で工事していても音楽聴いていたら大丈夫なタイプ。その違いだと思います。

—— 仕事中のお子さんの様子は。お仕事で喋っている際にお子さんからの反応はあったりしますか。
池田さん:上の子が保育園から帰ってきていると、僕が部屋にいて喋っていると興味を持って入って来ようとしますね。音漏れしなければ入らないと思うんですけど、聞こえると興味を持って入りたくなっちゃうみたいです。音がなければ、いったんテレビなどを見始めるとこちらに関心は持ってこないです。

—— お子さんに聴かせたくないミーティングはあったりしますか。
池田さん:それはないです。ただ、機密性の高い話をすることもあるので、この環境は本当は良くないです。特に不特定多数が同じ空間にいるとなれば、会社はNGを出すんだろうなと思います。

—— ADDressの会員希望の方で音を気にされる方はどういう状況なんですか。
池田さん:ADDressには個人会員と法人会員があるのですが、入会時に特に音について気にするのは法人会員ですね。ADDressの家はシェアハウスのような形状で、常に他の会員や家守(建物の管理人的な役割)が同じ建物の中にいます。そのため、セキュリティやコンプラの目線で厳しく判断されてしまうと、音漏れのリスクがあると判断されて法人導入はNGになってしまうことが多いです。


ADDressも過去に、J Rの駅構内などにあるワークブースを置くことを検討したことがあるんですが、値段が高いし、重たいので採用は難しかったです。理想はそういうブースがあって、聞かれたくない時にはそこで仕事すること。それだけでも全然違うのだけど、ADDressは物件の数も多いので、その準備は現実的ではないですね。折衷案としては、集中できるようにパーティションを置くことなども考えたりはしたんですが、まだ実現はしていないです。全国10軒ならすぐにやっても良いんですけど、200軒、300軒あるとコストに響いてしまいます。あとは効果が数値化されて実証されていると良いんですけど、そういうのをうたっている商品があまりない。対企業だと数値があるだけでも話の通しやすさが違うんですけどね。今は、0か100で、防音ブースでほぼゼロにするか、そうじゃなければNOという構造なんですが、本当は中間があるはずで、もう少し減らせるエビデンスがあると良いなと思います。

——銃のサイレンサーは30%音を減らす程度でも、普通に世の中に普及しているようですね。
池田さん:30%でも十分意味はあると思います。ノイズキャンセリングのイヤフォンがあるなら、発生源にも同じことができるんだろうなとは前から思っていました。それをやろうとされているのは期待大です。

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——ADDressのおうちの品質は同じレベルに保っているんですか。

池田さん:ADDressが建物をが建てるわけではないので、ハード面のスペックは一軒一軒異なります。一棟借り上げ、宿泊施設提携と、普通の民家の一室とでは、レベルはバラバラになってしまう。それをテクノロジーやツールを使ってベースを底上げできたら良いなとは考えているのと、「ADDressの物件のうち、特に防音性が期待できるのはこのタイプです」という見せ方をするようになるかもしれません。ツールは、会員さんに有償レンタルしてもらうこともできると思います。Voice Maskが製品化が近くなった時には、ショーケース的にテストマーケティングに使ってもらったりもできます。最近では、某有名生活用品メーカーのプロダクトを、実験的にADDressで使ってもらっています。


——ADDress のサービスと、住まいを探すのは別ジャンルのものですか。
池田さん:ADDressのみで暮らしている人はまだ少数派です。残りの多数は、別荘的に使う人、ワーケーション場所として使う人、移住先探しのステップとして使う人などがいますね。僕も、東京以外のローカルの人やものと接して暮らしてみて、東京を出るのは良いなと思ったタイプ。まず東京を出ることのイメージをもち、どの場所が合うのかを探す時に利用してくれている人はけっこういるかなと思います。

—— 池田さんも鹿児島を何度も訪れて移住先に決めたんですか。
池田さん:今の話からは少し外れてしまうんですが、今回僕が鹿児島に移住するのは、ADDressで試したとかではなく、行ったことも2回しかないです。信頼できる親友がおりコミュニティーもあったのでそこに移住することにしました。ADDress会員の中には、家守を通じて地元の面白い人とつながったことで、ADDressを卒業して移住する人もでてきていますね。

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ここで一旦区切り、アイデアの説明に入りました。アイデア紹介資料をお見せしながら、モックを試していただきました。

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池田さん:この資料の中にある、「大部屋オフィスで、自席でミーティングをする時に使える」というのはイメージが湧きますね。ADDressでも、コロナ前にオフィスを借りていた時期は、打ち合わせに隣の人の声が入ってしまうという問題は感じていました。

—— このアイデアを見た印象としてどう思いますか。
池田さん:スマートなイメージで、着けることに抵抗を持ちそうな感じではないですね。新しいものは周囲からの目が気になるというのもあると思うんですけど、慣れてくればあまり人目を気にせずつけられそうな形状だと思います。

——どの辺にそういう印象を持つんでしょうか。
池田さん:シンプルかつゴツゴツしすぎていないからなんじゃないかな。重さはこのくらいなんですかね、これを着け続けた時の負荷やサイズ調整の可否は気になるところではありますね。

—— 1番最初に特許を見た時との印象の違いはありますか。
池田さん:思ったよりゴツくないなと思いました。もうちょっと機械機械した感じなのかなと思ったんですがそんなことないなというのが最初の印象です。

ただ、これを販売することをイメージすると、「装着している自分自身では、どれくらい音量を抑えられているのか体験できない」というのが課題になりそうですね。録音してみて聞いてみれば分かるんでしょうが。

それから個人に買ってもらうのではなく、店側がレンタルするのもいいのでは。例えば「電源使えます」というのを売りにしているカフェがあるように、この商品を使えるという点を打ち出したいカフェのオーナーなどはいると思います。一方で、ユーザー目線だと、衛生面を気にする人はいると思います。他人が使ったものは嫌だなと感じる人はいるでしょうし、自分で使う時にも衛生的でなくなる可能性はありそうですね。掃除しやすい、除菌しやすい形状や素材だと良いのかなと思います。

これが一般的に普及した後で言うと、マスク面の使い方は今後何か工夫ができるのかもしれない。パソコンの背面と同じようにステッカーを貼ったり、広告枠として使われるような空間になりそうな気がします。

—— それは個人利用とカフェの貸し出しなどの法人利用のどちらのイメージですか。
池田さん:個人が使っているここの枠を買わせてください見たいな話になりそうだと思います。利用する1ユーザーの広告枠を売るみたいな使い方ができそうだなと。

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——池田さんは、ご自身で使うことをイメージした時に、形状に関して何を重視しますか。
池田さん:今のライフスタイルだと、重さはあまり気にしないです。とはいえ、カフェで悪目立ちしないかは気になります。ただ、自分はモスバーガーにはキーボードやアクリル板を持っていったりしているので、気にならない。最初周囲の目を気にする人はいるだろうなと思います。

—— 口元のシェイドは、音を遮って口元の動きを隠す機能を想定していますが、必要でしょうか。
池田さん:口元のぱくぱくする動きを隠すのはそんななくても良いかなと思いました。むしろ透明でもいいかなという気はしました。

——これがあればこういうところでミーティングできそうだと思いましたか。
池田さん:資料の中にある、新幹線や電車の中での利用はイメージが湧きますね。今は車の相乗りサービスがあるけど、そういう同乗サービス中は打ち合わせはやりづらい。そこでこれがあると仕事の打ち合わせできるのかもしれないなと。移動する新幹線等の中で使うのは便利そうだなーと思いました。

—— どの程度の消音性能があると今池田さんがイメージされた価値が実現できそうですかね。
池田さん:カフェで隣の席、向かいの席でオンラインミーティングをやっていると気になる。でもそれは音が大きいからではないと思います。カフェでペアで喋っているのは気にならない。どちらかというと音よりもカフェでミーティングをしないというマナーがあるから気になってしまう、そのような気はします。それでも例えば半分くらいの音量だと気にならないかもなぁ、とは思います。

—— 内容は聞き耳立てたら聞こえるくらいでも成立しそうですかね。

池田さん:そうだと思います。カフェでの仕事の抵抗感をなくしたり、周りが気になくなるようになると、それくらいのレベルでも良い気がします。一方で、法人での導入を想定すると、やはり「聞き耳を立てれば聞こえてしまうレベル」だとNGだと思います。ただ、カフェではなくADDressの家の個室であれば、音量が半分くらいになるだけでも部屋の外からは聞こえなくなると思うので、そのあたりに大いに期待しています。


—— 会話の半分というのはフリーランスとして働いてきた感覚ですか。
池田さん:多分そうですね。でも、半分とは言ったものの、実際にデシベルが半分になったら具体的にどう感じるのかはわからないです。

—— その時に気にしているのはマナーとかそういうことですね。
池田さん:多分マナーを気にして、という人が半分くらいはいる気がします。音が小さくなれば、そういう人も目くじら立てなくなるのかなと思っています。いわゆる喫煙ルームのような、この機器をつけた人が集まるのも良いかもしれません。

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—— ビジネス視点で考えたときに、カフェやADDress以外で面白そうな業態はありますか。
池田さん:コワーキングやカフェの付加価値としてはあると思います。それから飲食も考えたんですけど、この技術で確実にニーズがあるのは、赤ちゃんですね。赤ちゃんが泣いた時に、逆位相をぶつけてそんなにうるさくなくなるようなシェードは売れると思いますね。ゼロにならなくていい、むしろゼロだと怖い。少し音量を下げるだけで十分ではないか。赤ちゃん側に逆位相の音をぶつけられるとニーズはあるだろうなと思います。

——最後に、VoiceMaskの特徴や価値を挙げるとしたら何ですか。
池田さん:自分の声が周りに聞こえづらくなるというところ。それによって、仕事をする場所の選択肢が大きく広がると思います。同じことですけど、オフィスとか自宅以外でやれる仕事の幅が広がる、とも言えると思います。ADDressがまさに暮らす場所の流動化をしている立場なんですけど、働く場所の流動化をする上で、こういうツールは大切だと思います。

—— ありがとうございました。

(インタビュー終了)

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インタビューの重要事実情報

以上がインタビューの内容でした。このあとは、インタビュー内容を分析するフェーズになります。

これらのインタビューでの発言(事実情報)の中から、アイデアの完成度を高める上で特に重要そうな発言(重要事実情報)を抜き出し、改善のための示唆を導き出していきます。

池田さんのインタビューから、i.labが抽出した重要事実は以下です。

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いかがでしたでしょうか?本エントリーでは、3人目のインタビューについてお話しました。次回の更新もぜひお楽しみに!

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i.labでは、Voice Maskの実現に向けて一緒に協業していただける技術者や研究者、企業を募集しています。ご興味がある方は以下までお問い合わせください!

問い合わせ先
メール:h-suzuki<at>ilab-inc.jp
担当者:i.lab ビジネスデザイナー 鈴木斉