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i.lab社内R&D 「Voice Mask」プロジェクト:連載④ プロトタイピング

こんにちは、i.labで業務委託でプロジェクトに参加しているプロダクトデザイナーの佐藤です。

特許取得を機に活動を再開したi.lab社内の取り組み「Voice Mask」プロジェクト。連載第4回目の今日は、現在進行形で活動しているVoice Maskのプロトタイピングについてです。

これまでの連載記事はこちら↓

ラピッドプロト:何を検証するため?

i.labでは目的やプロジェクトのフェーズに応じて、何をプロトタイプするかを決めています。プロジェクトでよくあるケースは、インタビューリサーチでユーザーにフィードバックをもらうためのラピドプロトを作成することです。その際は、素早く作ることができ、かつインタビュー対象者がアイデアのリアリティを持てるものを作成します。電子機器のアイデアであれば、CGや3Dプリントしたデバイスのモック、webサービスやアプリのアイデアであれば、アプリの画面イメージを並べた紙芝居のようなもの、食品のアイデアであれば、CGで描いた食品・パッケージ・販売風景のヴィジュアルイメージとともに、実食できる食品のサンプルを既製品を組み合わせて作成することもあります。

今回は、特許技術を具現化すること、インタビューを通じてフィードバックをもらうこと、そのために実際に人が装着するものとしてのリアリティが持てること、などがプロトタイピングの目的なので、CGと3Dモデルでラピッドプロトを作っていきます。

Step1:スケッチしながら利用シーンや形状を想像する

はじめに、具体的な利用シーンや形状をペンを走らせながら想像していきます。ネックスピーカーのように肩に載せる形状、ヘッドセットのように頭に固定する形状、スマホと一体型の形状、使用するときだけ顔に寄せる手持ち形状...など利用シーンを想像しながらぱっと思いつくカタチを簡単にスケッチしていきます。

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手を動かす中で、いくつかの方向性が見えてきました。もう少し詳細なスケッチを描きながらディティールをイメージしていきます。

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Step2:身近な素材で寸法等を確かめながらモデリング

スケッチをしながら、具体的な形状の方向性が見えてきました。「ヘッドフォンのように頭で挟むような形状」です。コンピュータで形状をモデリングするための具体的な寸法や機構を検討するために、類似の形状や機構を持つ既製品を探しました。リサーチしてみると、マウスガード・ヘッドフォン・カチューシャなど、様々な「口を覆う形状」や「頭を挟み込む形状」のプロダクトがあることがわかりました。それらを購入して採寸し、実際に装着してサイズ感を確かめながらCAD(三次元設計するためのアプリケーション)上でモデリング していきます。 

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2021年05月12日19時09分56秒_003_r

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Step3:フォトリアルなイメージをつくる

できあがった3Dモデルから、レンダラー(リアルなCGを作成するアプリケーション)を使って、色や素材感、ライティングを設定し、フォトリアルなイメージを作成しました。

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Step4:3Dプリンタでモックアップを作る

最後に作成したモデリングデータを、外部サービスを利用して3Dプリントしました。アイデアによっては簡易な紙模型、もしくはCGだけで済ませることもありますが、今回は、実際に装着して使用するプロダクトのアイデアなので、手にとってサイズ感や装着感を体感できるモックを作成しました。

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いかがでしたでしょうか?本エントリーでは、現在進行形で活動しているVoice Maskのプロトタイピングについて、思考や検証過程を振り返ってみました。・・・。次回の更新もお楽しみに!


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i.labでは、Voice Maskの実現に向けて一緒に協業していただける技術者や研究者、企業を募集しています。ご興味がある方は以下までお問い合わせください!

佐藤 邦彦
Kunihiko Sato   Senior Product and Space Designer

芝浦工業大学大学院工学研究科建設工学専攻修士。修了後デザインファームNOSIGNERに空間設計・プロダクトデザイナーとして勤務。mozilla JAPANオフィスの空間設計、AGC旭硝子のミラノサローネにおけるインスタレーション、その他様々な都市計画・伝統産業・地域活性・製品開発・企業のブランディングなどのプロジェクトに携わる。個人の活動と並行して現職。国際家具デザインコンペティション旭川2017長原實賞受賞。
問い合わせ先
メール:h-suzuki<at>ilab-inc.jp
担当者:i.lab ビジネスデザイナー 鈴木斉